東都大学野球春季リーグが7日、神宮球場で開幕した。リーグ史上初の7連覇に挑む王者・青山学院大は、亜細亜大との1回戦に10-2で快勝。マウンドでは今秋のドラフト1位候補筆頭に挙がる最速154キロ右腕、鈴木泰成投手(4年=東海大菅生)がエースの風格を見せつけた。NPB12球団に加えメジャー3球団、計15球団のスカウト陣が熱視線を送るなか、8イニングを125球、5安打2失点の力投。プロの平均を大きく上回る直球の回転数と、進化した変化球のコンビネーションを披露し、中日に進んだ前エース・中西聖輝投手の後を継ぐ「勝てるエース」としての第一歩を刻んだ。
日米15球団が集結、ネット裏が唸った「2500〜2600回転」と圧倒的な将来性
試合前、三塁側ベンチ前でキャッチボールをしていた鈴木泰成投手の視界には、ネット裏を埋め尽くすスカウト陣の姿があった。「キャッチボールの時にすごいいるなあとは思ったんですけど、その後は緊張が勝ってあんまりう見てなかったです」と話す。試合が始まると小雨が降る悪条件のなか、初回2死からこの日最速の151キロを計測し、その球質も中日・永野スカウトが2500〜2600回転を記録しているとし、プロの平均値(2200〜2300)を凌ぐ空振りが取れる球を、力感のないフォームから次々と投げ込んだ。
視察した各球団のスカウト陣は、鈴木投手の持つ「出力の安定感」と「高い修正能力」を次のように評している。
中日・永野吉成アマスカウトチーフ:「平均球速が150キロ近く出ていて一級品です。回転数も2500~2600をマークしている。目玉だと思います。これだけのスピードを出すことができ、スプリットとフォークの投げ分けもできている。自分の投球スタイルを確立できていますね。」
東京ヤクルト・橿渕編成部ディレクター:「真っすぐが早いし、変化球のコンビネーションもいい。去年からまた一段とストレートが強くなった印象。出力の安定感。体が柔らかくて、使い方がうまい。まだまだ全然伸びる可能性をもっている。」
福岡ソフトバンク・永井スカウト部長:「基本的にはストレートがいい。スプリットも、決め球とカウント球もある。十分、先発できる能力がある。まだまだ体も大きくなるし、上積み、将来性を感じます。」
広島・高山健一スカウト:「力感なく手元で切れのあるボールが魅力。フォークも投げ分けているように見えた。1位になる投手。」
巨人・木村スカウト:「ストライクが率が高い。きょうは調子が良くなかったと思うが、これから上がってくるのが楽しみ。」
阪神・吉野スカウト:「いろんな変化球を使いながら抑えていて良かった。ボールの質がいい。伸びしろに期待したい。」
亜細亜大の正村監督も「遊ばれていたかなと。大人の投球をされた」と話し、レベルの高い投手が各大学にそろう東都リーグの中でも、頭一つ抜きん出ている鈴木投手の投球に脱帽だった。
「中西さんのような勝てる投手に」エースナンバーの重圧を力に
昨年までは、今春中日ドラゴンズで開幕ローテーション入りを果たした中西聖輝投手が先発の柱となっており、鈴木投手は2戦目の先発、またはリリーフで登板をしていた。今季は「先発の柱へ」という転換期のシーズンでもあり、中西投手が常に指針となっている。「1戦目、3戦目で本当にずっと勝ってきた中西さんだったので、勝たなきゃいけないっていうプレッシャーもある。お手本というか、そういうふうに思っている。目指すべきところは中西さんのような勝てるピッチャーかなと思います(スポーツニッポン)。」
この日の好投を支えたのは、女房役である渡部海捕手(4年=智弁和歌山)との信頼関係だ。鈴木投手の気合が入りすぎてボールが浮き始めると、渡部捕手は絶妙なタイミングで声をかけ、冷静さを取り戻させた。「気合が入りすぎてしまって、上がり気味になってしまうところを1回冷静に見れるというか、そういう面で、はい、すごい助けていただいています(スポーツニッポン)」と話す。同学年で大学1年からバッテリーを組み続け、大学日本代表でも共に戦った黄金バッテリーの安定感は、王座死守を狙う青学大にとって最大の強みとなっている。
史上初「7連覇」の金字塔へ
1931年に創設された東都大学野球連盟において、いまだ成し遂げられたことのない「7季連続優勝」。その歴史的な挑戦が、最高の形で幕を開けた。鈴木投手は「連覇を意識しすぎないように、1試合1試合を勝っていきたい(中日スポーツ)」と気を引き締める。目標は「ドラフト1位指名」であり、そして何より「このチームでの優勝」だ。
「ドラフト1位で行きたいっていう思いはあるんですけど、とにかく勝てるピッチャーっていうところが自分に一番足りないところかなと思うんで、しっかり体現できるように頑張りたい(スポーツニッポン)。」茨城の少年団から東海大菅生、そして青山学院大へで、常にエースとして注目されてきた右腕のアマチュアラストシーズンは、華やかなもので終わりたい。
【鈴木 泰成】 プロフィール
- 氏名: 鈴木泰成(すずき・たいせい)
- 所属: 青山学院大学(4年)
- 出身: 茨城県(勝田野球スポーツ少年団-友部リトルシニア-東海大菅生高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 187cm、91kg(または92kg)
- 主な特徴や実績: 最速154キロ。直球の回転数2500〜2600を誇るプロ注目右腕。3年時に大学日本代表。2026年春季リーグ開幕戦で151キロを計測し、8回2失点。スプリット、フォーク、カーブ、スライダーを自在に操る、今秋のドラフト1位候補筆頭。
















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