東都大学野球春季リーグでは、史上初の7連覇を狙う王者・青山学院大に対し、亜細亜大(亜大)は2-10で完敗を喫した。苦しい展開のなかで今秋のドラフト候補に挙がる主将・山里宝内野手(4年=神戸国際大付)が8回、今秋ドラフト1位候補の最速154キロ右腕・鈴木泰成投手(4年)から左翼席へ豪快な2ラン本塁打を放ったが、敗戦の悔しさを語った。
ドラ1候補・鈴木泰成から左越え2ラン、「うれしい一発ではなかった」
差を付けられた試合展開に加え、雨が激しさを増した8回、山里宝選手のバットが快音を響かせた。1死一塁、マウンドにはそれまで亜大打線を圧倒していた青学大のエース・鈴木泰成投手。山里選手は、プロのスカウト陣が注視するなか、キレイにバットを振り抜くと、打球は左翼席へと吸い込まれるリーグ戦通算6号となる2ラン本塁打となった。しかし、ダイヤモンドを一周しベンチに戻った主将の表情に笑顔は一切なかった。「(チームが勝てなかったので)うれしい一発ではなかった(スポーツニッポン)。」と話した。
点差が開いた状況での一発に、喜びよりも責任感が勝った。主将として、そして1番打者としてチームを勢いづけられなかった自責の念が、その言葉には滲んでいた。名門・亜大の背番号1を背負う者として、求めるものは個人の数字ではなく、あくまで「勝利」のみだった。
ポケットに忍ばせた「自作データカード」。正村監督も認める“高い意識”
山里選手の強みは、高い守備力、そしてこの日見せた長打力だけではない。緻密な分析に基づいた「野球IQ」の高さも注目される。試合中、山里選手のポケットには、自ら作り上げた「データカード」が入っている。相手チームの映像を徹底的に確認し、投手の癖や配球パターン、打者の傾向などをまとめたもので、試合中も繰り返しこれを確認し、遊撃の守備位置をミリ単位で工夫し、打席での狙い球を絞り込む。
これには亜細亜大の正村監督も「下級生の時から変わらずに、高い意識を持ち続けている(スポーツニッポン)。」と話し、その準備力を絶賛、この姿勢はチーム全体にも波及している。小柄な体格を補う高い意識、それを実行に移す継続力。それが山里選手の魅力の一つだ。
「スムーズに振る意識」で欲を制す。次戦へ向かう主将の眼差し
プロ注目投手から本塁打を放った山里選手で自信になるのは間違いない。しかし、「(打った感触の)残像が残り、次の打席で欲が出てしまう。打席では振りすぎないように、スムーズに振る意識で(スポーツニッポン)。」と話す。
常にニュートラルな状態で次のプレーに備え、決して大振りにならず、1番打者としての役割を完遂する。山里選手の視線は、すでに第2戦へと向けられていた。打撃、守備、そしてどんなリーダーシップを見せるのかが注目される。
【山里 宝】 プロフィール
- 氏名: 山里宝(やまさと・たから)
- 所属: 亜細亜大学(4年・主将)
- 出身: 兵庫県(神戸国際大付高卒)
- ポジション: 内野手(遊撃手)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 174cm、78kg
- 主な特徴や実績: 26試合連続無失策を記録した東都屈指の守備職人。新チームから主将と遊撃手を務める。2026年春季リーグ開幕戦で青学大・鈴木泰成から2ランを放つ。自作のデータカードを駆使した高い戦略眼が武器の2026年ドラフト候補。









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