東都大学野球春季リーグは8日、神宮球場で第1週の2回戦が行われ、亜細亜大(亜大)は昨秋王者・青山学院大に1-8で敗れ、開幕カード連敗を喫した。苦しい展開のなか、8回にマウンドへ上がったのは、今秋のドラフト候補に挙がる最速156キロ右腕、川尻啓人投手(4年=高岡商)。今季初登板となったマウンドで、公式戦自己最速となる155キロを計測。1イニング3安打1失点と課題を残したものの、ネット裏で見守った中日の永野チーフスカウトらからその高いポテンシャルを絶賛された。
自己最速に迫る155キロの衝撃。ショートイニングゆえの「力み」と反省
6点ビハインドの8回裏、満を持して今季初の神宮のマウンドに立った川尻啓人投手は、スカウトのスピードガンは早くも自己最速(156キロ)にあと1キロと迫る「155キロ」を叩き出した。しかし、最初の打者の初球を中前へ弾き返されると、続く打者にもライト前ヒットを許すなど1イニングで3本の安打を集中され1失点。川尻投手は「ショートイニングということもあって力が入った。ちょっと力を入れたっていうのもあるけど、もっとバランスよく入れたかな。」と話したものの「次のカードにつなげる登板はできた(デイリースポーツ)。」と次の登板を見据えた。
たまにばらつきがあり、高めに浮くのを抑えようとして投げた低めを安打にされた。ストライク率は高く、制球に苦しむということではないのだが、細かいコントロールがやや欠けると、球速だけで押せない東都の、そして青山学院大のレベルの高さを改めて実感する形となった。
中日・永野チーフスカウトが絶賛、「サイズもスピードもある。ポテンシャルが高い」
それでも、ネット裏に集結したスカウト陣の評価は高い。特に熱い視線を送っていたのが中日ドラゴンズの永野吉成アマスカウトチーフは、川尻投手の持つ能力に注目した。
中日・永野吉成アマスカウトチーフ:「サイズもあって、スピードも出せる。ポテンシャルが高い。継続して見ていきたい。」
180センチを超える体躯から投げ下ろされる150キロ台の直球は、プロで投げても威圧できる武器の一つだ。そして、これからも成長の可能性を感じさせる川尻投手に、底しれぬものを感じていた。
正村公弘監督が明かす「守護神からの脱皮」
川尻投手への期待は、現場の指揮官も人一倍強い。正村公弘監督は、教え子の持つ圧倒的な球威と、オープン戦から積み重ねてきた安定感を高く評価している。現在は抑えとして起用をしているが、その先にあるプロの世界を見据えた将来像についても言及した。「オープン戦も悪くなかった。きっちり投げれば、打たれるわけがない。8、9回をやってもらおうと思っているが、本人にはこの先、先発で行ってもらうことが必要になってくると伝えてある(中日スポーツ)。」
まずは勝利の方程式の一角としてチームを支えながら、いずれは長いイニングを支配するエースへの進化を指揮官は描く。この日も最後の打者には150キロ台を連発して三振を奪い、1イニングを1失点で抑えた。この春のリーグ戦で抑えから連発へと周り、156キロの剛腕に安定した制球とスタミナが加われば、亜大の投手力が強力なものとなるだろう。
高岡商から神宮、そしてプロへ。不屈の右腕が誓う王座奪還
富山・高岡商時代から、185cmの上背から140キロの直球を投げて注目を集めていた川尻投手。この春は成長も役割も過渡期になるようだが、秋には先発の柱として150キロの速球でマウンドに仁王立ちする姿を見せられれば、ドラフト直前に一気に評価を高めてドラフト1位に躍り出る可能性がある。
この日の155キロから、秋への第2章へと続く成長の軌跡を見逃さないようにしたい。
【川尻 啓人】 プロフィール
- 氏名: 川尻啓人(かわじり・ひろと)
- 所属: 亜細亜大学(4年)
- 出身: 富山県(高岡商業高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 180cm、83kg
- 主な特徴や実績: 自己最速156キロを誇る本格派右腕。2026年春季リーグ開幕の青学大戦で155キロをマーク。高岡商時代から注目されていたが、大学でさらに出力を上げた。高い奪三振能力と、中日スカウトが「ポテンシャルが高い」と評する素材の良さが武器。2026年ドラフト上位候補。













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