徳島商の森煌誠投手が、愛工大名電を相手に9回を投げて5安打10奪三振1失点、甲子園でも完投勝利を挙げた。中日スカウトが評価している。
誰にもマウンドを譲りたくない
森煌誠投手は徳島大会で5試合45イニング全てを一人で投げぬき、593球を投げて甲子園出場を手にした。そして甲子園の初戦でも、強豪・愛工大名電を9回5安打10奪三振1失点に抑えた。「強いチームなのでしっかりと食らいついていこうと思いました。相手も良いピッチャーなので先頭をできるだけ出さずにしっかり自分のペースで投げて行こうと思っていました」と話した。
圧巻だった。大きな体から140キロ台中盤の速球と、カーブ、スプリットの2種類の変化球のみで「器用じゃないので」と話すが、体のバランスが非常に良く、テンポよくストライクを奪って行った。初球からスプリットを投げて空振りを奪うなど、相手の心もよく読みながらの絶妙の配球とコントロールを見せた。
視察した中日の野本スカウトは「1年生からずっと見ているが、コントロールがよくてポテンシャルもある。投げる体力があるのは知っていたが、今日も素晴らしかった」と評価した。また、米村シニアディレクターは森投手が社会人入りを希望していることについて、「投手らしい本格派。スケールが大きくカーブがいい。3年後はいい位置になる」と話し、3年後のドラフト上位候補と評価した。
また、元横浜DeNAのスカウト部長だった吉田氏も「私が巨人のスカウトだった時に獲得を目指した明大・川上憲伸を思い出したよ。」と話し、「フォームにクセもなく、鍛えれば常時140キロ台後半を出すことも可能な将来性を感じさせる。高校で志望届を提出しても、3位指名を受けるだけのポテンシャルがある。」と話し、「仙台育英の投手陣が本来の調子ではなかったが、いまのところNO.1だと感じた。これからも追ってみたいとスカウト魂に火をつけさせる選手だね。」と高く評価した。
森選手は徳島商に入学時はサードだったが、強いスローイングが森影監督の目に止まり、1年生の6月に投手に転向した。140キロ後半の速球を投げるようになると、この春には侍ジャパンU18代表候補強化合宿にも参加、「有名人ばかりで、恥ずかしくて帰りたくなった」と話したものの、全国の好投手を近くで見ることで、自分の課題改善に取り組み、「左足を大きく上げると、体が大きく使える」と今のフォームを作り上げた。
憧れの投手はオリックスの山下舜平大投手で、「球種が少なくても、それぞれがカウント球にも決め球にもなればやれる」と話す通り、スプリットをカウント球にも決め球にも使える。甲子園では一人でどこまで行けるのか挑戦し、次のステージへの大きなステップとしたい。

10K 森煌誠 板東英二2世 ー スポーツ報知紙面

◆徳島商・森煌について中日・野本圭スカウト 「1年生からずっと見ているが、コントロールがよくてポテンシャルもある。投げる体力があるのは知っていたが、今日も素晴らしかった」


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