春のセンバツ高校野球大会で優勝を果たした横浜高校。その立役者の一人である左腕エース・奥村頼人投手に対し、プロのスカウトが投手としての能力はもちろん、打者としての素質も高く評価していることが明らかになった.
リリーフエースと4番打者でチームを牽引
奥村頼人投手は、横浜高校の絶対的なエース左腕。今春のセンバツ大会では、2年生の織田翔希投手が先発を担う試合が多く、奥村投手は主にリリーフとして5試合に登板し、14回2/3を投げて13安打14奪三振6失点、防御率3.68という成績を残した。
特に、市和歌山戦と西日本短大付戦では、リリーフで4回を投げ、相手打線をノーヒットに抑える圧巻の投球を披露。やや不安定な場面も見られた先発の織田投手にとって、奥村投手の存在は大きな安心感につながっていた。
一方、打者としても奥村選手はチームに不可欠な存在で、全5試合で4番打者を務め、21打数8安打、打率.381、4打点をマーク。3番の強打者・阿部葉太選手の後に座ることで、相手投手が阿部選手との勝負を避けられない状況を作り出していました。
プロスカウトも驚嘆!投打に光る才能
そんな奥村選手に対し、プロのスカウト陣は投打両面で高い評価を与えています。
あるパ・リーグ球団のスカウトは、「投打二刀流で毎試合、どのタイミングで登板するか分からないし、投げ込みも不足する中、難しい役回りをこなした」と奥村選手の器用さを評価。その上で、「投手として評価する球団は多いと思う。最速150キロを超える2年生の織田のような派手さはないが、それでも昨秋は130キロ台だった直球の平均球速はひと冬越えて数キロ上がった。ここぞの場面でギアを上げるなど投球に強弱もつけられる。フォームはボールの出どころが見づらいうえ、ほぼ同じ腕の振りで直球とチェンジアップを投げられるのが強み。母校の先輩で、1年目から2ケタ10勝をマークした阪神・伊藤将司のような投手になる可能性を秘めているとみています」と、具体的な選手名を挙げながら、その将来性に太鼓判を押した。
さらに、このスカウトは打撃についても高評価。「準決勝の健大高崎戦では、今秋ドラフト1位候補の右腕、石垣元気が投じた高めの150キロ速球を逆方向へはじき返し左翼フェンス直撃の二塁打を放った。左翼方向への追い風に乗った部分もあったにせよ、石垣から唯一、長打を放った。仮に投手として活躍できなくても、打者として潰しがきく。今後の成長次第では二刀流での指名を検討する球団が出てくるかもしれません」と、打者としての能力にも大きな期待を寄せています。
本人は課題も痛感、さらなる成長誓う
センバツ大会の準決勝と決勝戦では、疲労の影響からか序盤のような勢いのある投球ができなかった。奥村選手は「チームとしてはうれしいですけど、個人として、投手であまり貢献できず、こんな投球をするために冬に頑張ってきたのかって言われると違う。まだまだ未熟だと思います」と、自身の課題を冷静に分析している。
しかし、その実力は高く評価されており、侍ジャパンU18代表候補合宿にも選出されている。今後は、先発投手として長いイニングで安定したパフォーマンスを発揮できるようになれば、投手としての評価はさらに高まるだろう。
現時点でも将来のイメージは、伊藤将司投手や横浜高校の先輩である成瀬善久投手のようなタイプになりそうな奥村投手だが、成長を続けられる選手であり、プロの世界で150キロ前後の速球を投げている投手になりそうな可能性も十分にある。
また、打撃に関しても高校生トップレベルの実力を持っており、レフトの守備では余裕のあるプレーを見せるなど、守備センスと度胸の良さも持ち合わせている。
奥村頼人選手は、今後も二刀流として注目を集める存在となることは間違いない。

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