全国高校野球選手権埼玉大会の準決勝では、今春のセンバツで4強入りした浦和実業が昌平に0-1でサヨナラ負けを喫し、初の夏の甲子園出場はならなかった。エース左腕・石戸颯汰投手(3年)が8回まで無失点と好投したが、9回にスクイズを決められ力尽きた。試合後、涙はなく、大学での再起を誓った。
あと一歩で逃した決勝、9回1死一、三塁、痛恨のサヨナラ負け
最後の夏は、あっけなく幕を閉じた。0-0で迎えた9回1死一、三塁のピンチ。昌平の中島航作選手(2年)がバットを寝かせ、スクイズの構え。石戸颯汰投手はマウンドを駆け下りグラブトスを試みたが、間に合わなかった。「スクイズ警戒とは言われたんですけど、1球スイングしていたので選択肢から外してしまった。相手の監督さんがうまかった」と、淡々と勝負の分かれ目を振り返った。
右足を高々と上げる独特のフォームで、今春のセンバツを沸かせた変則左腕。この日も、準々決勝までの5試合で50得点を挙げてきた強力・昌平打線を相手に、8回まで2安打無失点と完璧な投球を披露していた。しかし、左肘のコンディションが万全ではなく、9回を投げ切ったのはこの日が今夏初めて。「序盤がきつかったですね」と、気温36度の酷暑の中、最後まで一人で投げ抜いたが、あと一歩及ばなかった。
「3年間、思ったよりも成長できた」涙なき敗戦、次のステージへ
試合後、涙はなかった。辻川正彦監督が「もう一回、甲子園に行きたい」と語っていた夢は叶わなかったが、石戸投手はしっかりと前を見据えていた。「3年間、思ったよりも成長できたと思います。こういう緊迫した試合でもしっかりゼロに抑えられるピッチャーになりたいです」。U-18日本代表候補にも選ばれた左腕は、大学でも野球を続ける意向だ。変則フォームの左腕で球速は120キロ台でも強豪を完璧に抑える。高校野球でも様々な議論を読んだサウスポーが、大学野球でどのような旋風を巻き起こすのか、今から楽しみでならない。
石戸颯汰投手 プロフィール
- 氏名:石戸 颯汰(いしど そうた)
- 所属:浦和実業学園高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 主な特徴や実績:右足を高々と上げる変則フォームが特徴の左腕。2025年春のセンバツでチームをベスト4に導き、U-18日本代表候補にも選出された。夏の埼玉大会準決勝で敗退するも、8回まで無失点の好投を見せた。卒業後は大学で野球を続ける意向。





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