全国高校野球選手権宮城大会は決勝が行われ、仙台育英が東北学院榴ケ岡に10-0で勝利し、2年ぶり31度目となる夏の甲子園出場を決めた。プロ注目のエース左腕・吉川陽大投手(3年)が先発し、7回を3安打無失点、6者連続を含む11奪三振と圧巻の投球を披露した。この試合には巨人の水野編成本部長代理が視察した。
圧巻の6者連続11K「この日のためにやってきた」
その投球は、エースの風格に満ちていた。先発した吉川陽大投手は、自己最速に迫る146キロを計測したストレートとキレのあるスライダーを軸に、3回1死から5回1死にかけては圧巻の6者連続奪三振を記録する。7回までを投げて3安打11奪三振無失点、三塁を踏ませぬ完璧な内容で、この日のマウンドを支配した。
「絶対にバッターを抑える気持ちをずっと持っていた。甲子園への思いが本当に強かったので、みんなが一体になれたと思います」。昨夏、決勝で敗れた先輩たちの姿をスタンドから見ていた。3季連続で甲子園を逃した悔しい日々。「この日のためにやってきたのでうれしいです」と、安堵の表情でマウンドを振り返った。
巨人スカウトも高評価「甲子園でもっと見たい」
この快投に、ネット裏のプロスカウトも熱い視線を送った。この日視察した巨人の水野雄仁編成本部長代理は、その将来性を高く評価した。
巨人・水野雄仁編成本部長代理:「甲子園でもっと見たい投手です」
吉川投手は175cm71kgと大型ではない左腕投手だが、最速147キロのストレートとスライダーなどの変化球のキレが抜群で、春にはプロ志望をすることを明言している。昨年のドラフト会議で山口廉王投手がオリックスのドラフト3位で指名されているが、大型で速球派だが素材型の山口投手と比べると正反対の投手だが、将来性という点では共通している。
父は元代表監督、母は“世界NO1リベロ”の勝負根性
吉川投手の両親は、父・正博さん(62)は元バレーボール女子日本代表監督、母・博子さん(54)は「世界NO1リベロ」とも称された元日本代表選手だった。須江航監督は、中学時代は無名だった吉川投手を視察した際に、「体のバネ、勝負根性。伸びしろを感じました。流れている血が未来を描けた」とその才能を見抜いたという。父・正博さんも「チームのために頑張ろうとする姿が見えたのがとてもうれしい」と、息子の成長に目を細めた。
大会直前、練習中の緩慢なプレーに須江監督が涙ながらに「甲子園に行きたいのは俺だけか」と訴え、チームは一つになった。「先は見ずに1戦1戦、1人1人、1球1球をテーマに戦っていきたい」。2年ぶりの聖地で、東北勢初の夏連覇へ。ライオン軍団が、再び頂点を目指す。
吉川陽大投手 プロフィール
- 氏名:吉川 陽大(よしかわ あきひろ)
- 生年月日:2007年12月28日
- 出身地:神奈川県横浜市
- 経歴:茅ケ崎エンデバーズ(小3) – 横浜都筑シニア(中学) – 仙台育英高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:176cm・72kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロを誇るプロ注目左腕。2025年夏の宮城大会決勝で7回3安打11奪三振無失点の快投を見せ、チームを2年ぶりの甲子園出場に導く。巨人など複数球団が注目。父は元バレーボール女子日本代表監督の吉川正博氏、母は元同代表リベロの博子さん。好きな言葉は「枕に悩みを持ち込むな」。







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