花巻東(岩手)で高校通算140本塁打を放ち、米・スタンフォード大学に進学した佐々木麟太郎内野手(20)が、今秋のNPBドラフト会議で指名対象選手となる事が確認され、複数球団が上位候補としてリストアップをするなど、日米の争奪戦となる。
日米間の新ルールで「解禁」、10月のドラフト指名が可能に
先日報じたように、ドラフト会議での新しいルールがMLBとNPBで確認された。「その年度のMLBドラフトの指名対象となる選手は、約10ヶ月前のNPBドラフトで指名対象となる」というもので、すでにNPB12球団に通達されたという。来年4月に21歳となる佐々木麟太郎選手は、来年7月のMLBドラフトの指名対象となるため、この新ルールに則り、今年10月のNPBドラフトでの指名が可能となる。
昨年、プロ志望届を提出せずに渡米した佐々木選手だが、一部球団がドラフトでの指名を検討するなど、その扱いは不透明なままだった。今回のルール明確化により、今秋のドラフト会議で、ドラフト候補として確実にリストアップされる選手となりそうだ。NPB球団が交渉権を獲得した場合、来年5月の大学リーグ戦終了後から交渉が可能となり、契約がまとまれば来シーズン中盤にも日本球界デビューの可能性がある。
セ・リーグDH制導入も追い風、複数球団が1位候補に
佐々木選手への注目度をさらに高めているのが、2027年からのセ・リーグDH制導入だ。本職が一塁手で、打撃が最大の魅力である佐々木選手にとって、DH制はプレーの機会を大きく広げる。これまで獲得に慎重だったセ・リーグの球団にとっても、その存在は願ってもない補強ポイントとなる。
すでに巨人、福岡ソフトバンク、埼玉西武などが米国へスカウトを派遣し、その動向を注視。今秋ドラフトでは、複数球団による1位指名競合も十分に考えられる。
焦点はアメリカでの成績と本人の意思
佐々木選手がドラフト会議で指名可能となった事は、一つのハードルをクリアした形になるが、依然としてNPB12球団が指名をするには悩ませる事がある。最大の悩みは佐々木選手本人の意思で、スタンフォード大学入学前には「2年後以降にNPB、MLB両方のドラフトにかかるチャンスがある」と語っており、将来的なメジャー挑戦への思いも強い。今秋のNPBドラフトで指名されたとしても、来夏のMLBドラフトの結果を踏まえ、最終的な決断を下すことになりそうで、それによってはドラフトの指名枠に1つ穴を空けてしまう可能性がある。それがドラフト1位指名だった場合には、獲得できなかった時のリスクは大きい。
また、大学1年目の今季は、51試合に出場し打率.274、7本塁打、41打点という成績だった。大学1年で結果は出しているものの、高校卒業時の140本塁打の評価と比べて、更に成長したと言えるものかどうかは実際の試合などを確認しておかなければならないが、すでに今季の戦いは終わっており、ドラフト会議までに佐々木選手のプレーを確認するのは難しい。これまでにアメリカに足を運んだ球団のみが、それを判断できるため、全球団がリストアップをしていくということは難しいのではないかと思う。
それでも2年前とは状況が変わった点もある。2年前は日本の高校の野球部に所属する選手として、日本学生野球協会の明確で厳しいルールがあり、NPBの球団と直接に接触することはできなかった。しかし、今は大学生ではあるものの、接触してはいけないというルールは無い。
先日も甲子園球場を訪れ、父・佐々木洋監督が率いる母校・花巻東に声援を送る姿が見られたが、日本にいる期間に、接触をしている球団もあるのではないかと思う。そこで佐々木選手の意志を確認し、行けるとなった時には秋のドラフト会議で「佐々木麟太郎 内野手 スタンフォード大学」というコールが聞かれる事になりそうだ。
佐々木麟太郎選手 プロフィール
- 氏名:佐々木 麟太郎(ささき りんたろう)
- 生年月日:2005年4月18日
- 出身地:岩手県
- 経歴:江釣子スポーツ少年団 – 金ケ崎リトルシニア – 花巻東高校 – スタンフォード大学
- 投打:右投左打
- 身長・体重:184cm・113kg
- ポジション:内野手
- 主な特徴や実績:高校通算140本塁打の歴代最多記録を持つ。花巻東高校卒業後、米国のスタンフォード大学へ進学。大学1年時には51試合に出場し、打率.274、7本塁打、41打点を記録。今秋のNPBドラフトで指名対象となることが確定した。


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