全国高校野球選手権大会は準々決勝が行われ、東洋大姫路(兵庫)が沖縄尚学(沖縄)に1-2で惜敗し、43年ぶりのベスト4進出はならなかった。今春のセンバツで右肘靱帯を損傷した“元エース”阪下漣投手(3年)が今夏初先発を果たしたが、2回途中で降板。その後、新エースの木下鷹大投手(3年)が粘りの投球を見せた。試合後にはともに大学進学の意向を明言した。
「ケガを怖がってしまった」152日ぶりの先発マウンド
「プレッシャーに押し勝てなかったのは実力不足。ケガを怖がってしまった」。試合後、阪下漣投手は涙ながらに語った。今春のセンバツ1回戦で右肘を痛め、医師からは手術を勧められた。しかし、「このメンバーじゃなかったら手術していた」と、仲間ともう一度甲子園で戦うために保存療法を選択。懸命なリハビリを経て、152日ぶりに掴んだ先発のマウンドだった。
しかし、聖地のマウンドは甘くなかった。2回に自らのエラーも絡んで無死満塁のピンチを招き、無念の降板。「木下を1イニングでも短くというのができず悔しい」と、後を託した盟友へ申し訳なさを口にした。
新エース木下、8回無失点の快投も…「自分が点を取られて負けた」
その盟友の思いを背負い、2回無死満塁の場面でマウンドに上がったのが、新エースの木下鷹大投手だ。犠牲フライなどで2点を失ったものの、3回以降は圧巻のピッチングを披露。5回以降は一人の走者も許さない完璧な内容で、8イニングを5安打無失点と力投した。
阪下投手の離脱後、「自分が甲子園に連れていく」とエースの穴を埋めてきた右腕。「阪下がいなければ、今の自分はいない。阪下に感謝したい」と、その存在の大きさを語る。しかし、試合に敗れると、「自分が点を取られて負けてしまった」と涙を流し、責任を背負った。名将・岡田龍生監督も「これだけ粘れるバッテリーは今まで指導した中でもなかなかいない」と、二人の奮闘を称えた。
Wエースは大学へ「最終的にはプロの世界で」
試合後、二人はそれぞれの進路について話し。阪下投手は、「目指すはプロ野球ですが、大学でもう一回、死に物狂いで治してプロで活躍したい」と、大学で完全復活を目指すことを宣言。木下投手も大学進学の意向を明言した。
昨年秋は怪我の木下投手に、「俺が甲子園につれていくから」と阪下投手が声をかけ、今年春には、故障の阪下投手に「今度は俺が甲子園につれていく」と声をかけた木下投手。ともに約束を守り、春夏の甲子園に出場をした。
阪下投手はもし故障がなければ、強いプロ志望の意志を持っており、今年の高校生投手では健大高崎の石垣元気とともに注目された投手になっていただろう。まずは肘をしっかりと直したい。木下投手は上背こそないものの、この日も見せたように強いストレートを軸に総合的に抑えることができる投手で、大学でも早い時期からチームの主戦になっていけると思う。しかしまずはおそらく侍ジャパンU18代表入りすると思うので、U18W杯でその力を見せたい。
阪下漣投手 プロフィール
- 氏名:阪下 漣(さかした れん)
- 生年月日:2007年7月5日
- 出身地:兵庫県西宮市
- 経歴:浜脇タイガース(小2) – 兵庫西宮ボーイズ(浜脇中) – 東洋大姫路高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:181cm・86kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロ右腕。今春センバツで右肘靱帯を損傷するも、保存療法で復活。2025年夏の甲子園準々決勝で152日ぶりに先発登板。卒業後は大学へ進学し、プロを目指す。
木下鷹大投手 プロフィール
- 氏名:木下 鷹大(きのした ようた)
- 所属:東洋大姫路高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:最速147キロ右腕。阪下投手の離脱後、エースとしてチームを牽引。2025年夏の甲子園準々決勝で2回からリリーフ登板し、8回を5安打無失点と好投。卒業後は大学へ進学する。








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