全国高校野球選手権大会準々決勝では、昨夏準優勝の関東第一(東東京)が日大三(西東京)との“東京ダービー”に3-5で敗れ、2年連続のベスト4進出はならなかった。「3番・投手」で出場した投打の大黒柱・坂本慎太郎投手(3年)は、6回5失点と本来の力を発揮できず、打席では2年連続でチーム最後の打者となった。試合後、大粒の涙を流した二刀流エースは、大学で野球を続け、天国の両親に活躍を届けることを誓った。
2年連続で“最後の打者”に「同じことを繰り返してしまった」
「自分がこの夏は勝たせてあげたいと思っていたのに、自分がチームの足を引っ張ってしまった」。試合後、坂本慎太郎投手の涙は止まらなかった。昨夏の決勝、京都国際との一戦で延長タイブレークの末に三振に倒れ、最後の打者となった。その悔しさを晴らすため、「初球から振る」と心に決めて臨んだこの1年。しかし、2点を追う9回2死、またしても最後の打者として打席が回ってきた。初球からフルスイングしたが、結果は中飛。「同じことを繰り返してしまい、まだまだ練習が足りないと思った」。その目には、悔しさだけが残った。
マウンドでも、ライバル日大三の強力打線を相手に苦しんだ。得意のカーブを狙われ、6回を投げ7安打5失点。「気持ちの面でちょっと負けていたのかなと思います」と、唇を噛んだ。
天国の両親へ「お疲れさま、と言ってくれると思う」
その小さな背中には、大きなものを背負っていた。小学4年生で母・雪子さんを、そして昨年の12月には父・三男さんを亡くした。「両親に勝っている姿、自分がもっと活躍している姿を見せてあげたかった」。試合中、苦しい時には「慎太郎ならできる」という父の言葉を胸に、最後まで腕を振り、バットを振った。「両親は上で見ていてくれて、お疲れさまという言葉をかけてくれると思います」。涙ながらに語った言葉には、天国の両親への感謝の思いが溢れた。
大学で続ける二刀流、目標はプロ野球選手
試合後、坂本投手は大学に進学し、野球を続ける意向を明言した。「大学でも二刀流はこだわっていきたいと思います。最大目標はプロ野球選手なので、技術をしっかり磨いていきたい」。この日、試合前には昨夏のライバル、京都国際の西村一毅投手とすれ違い、「頑張れよ」と声をかけられたという。「それにもこたえられなかった」と悔やんだが、その悔しさを力に変え、次のステージへと進む。
坂本慎太郎選手 プロフィール
- 氏名:坂本 慎太郎(さかもと しんたろう)
- 生年月日:2007年5月1日
- 出身地:千葉県野田市
- 経歴:松戸柏リトル(中央小) – 取手リトルシニア(野田一中) – 関東第一高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:170cm・65kg
- ポジション:投手、外野手
- 主な特徴や実績:投打二刀流のプロ注目左腕。2025年夏の甲子園準々決勝で敗退後、大学進学を表明。昨夏の甲子園準優勝に貢献。U15、U18日本代表候補。







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