全国高校野球選手権大会は本日、決勝戦が行われ、沖縄尚学(沖縄)が日大三(西東京)と対戦する。沖縄尚学が勝てば夏は初、沖縄県勢としては2010年の興南以来15年ぶりの全国制覇となる。チームを初の決勝の舞台へと導いたのは、2年生ながら絶対的なエースとして君臨する最速150キロ左腕・末吉良丞投手だ。今大会、全5試合に登板し512球を投げ抜いてきた琉球のドクターKが、最後のマウンドで沖縄に深紅の大優勝旗を持ち帰る。
「優勝した時、みんなで喜べれば一番いい」ポーカーフェイスに宿る熱き闘志
末吉良丞投手は「今までより疲れている。背中など重いところもあります」と話し、連投で疲労が溜まっている事を隠さずに話した。それでもエースは「先輩の方々との最後の試合。下級生として、勝ちで終わらせる、という気持ちを持って臨みたい」と話した。
ここまでの末吉投手の投球だけでも、この大会は末吉投手のものだったと言っても過言ではない。初戦の金足農戦では14奪三振の無四球完封。3回戦の仙台育英戦では延長11回を169球で投げ抜き12奪三振。準々決勝の東洋大姫路戦ではリリーフで3回無失点。そして準決勝の山梨学院戦では、6回途中4失点と苦しみながらも、同じ2年生の新垣有紘投手にマウンドを託し、チームの逆転勝利を呼び込んだ。「点を取られなければ負けない」という強い信念で、ここまで投げ抜いてきた。
強心臓ぶりは、マウンドの外でも変わらない。7年ぶりの金農旋風を期待する大応援団にも「自分に、と勘違いするタイプなんです」と話す。決勝の相手、日大三の強力打線についても、「自分が全国で、どこまで通用するか。打撃のチームはいい相手。緊張ではなく、楽しめることが大切だと思う」と話した。常にポーカーフェイスを崩さない笑わない投手が、「優勝した時、みんなで喜ぶことができれば一番いい」と話し、静かに、そして熱く闘志を燃やしている。末吉投手が笑う場面が見られるか注目される。
2年生Wエースで掴んだ決勝の舞台
今大会、末吉投手と共にマウンドを守ってきたのが、同じく2年生の右腕・新垣有絃投手だ。準決勝では、6回途中4失点で降板した末吉投手の後を受け、3回1/3を無失点に抑える完璧なリリーフで逆転劇を呼び込んだ。「末吉だけじゃないんだぞというのを見せつけられたかな」と語る新垣有投手。この夏、急成長を遂げた2年生Wエースが、沖縄尚学の歴史を塗り替えてきた。「この夏は2人で投げてきたので、最後まで2人で投げ切れて勝ちにつながればいい」。末吉投手は、頼れる相棒との最後の共同作業で、頂点を目指す。
沖縄の期待を背に「応援のパワーをプレーに」
沖縄県内は、15年ぶりの快挙に沸いている。準決勝の最中には街から人が消え、那覇と関西を結ぶ飛行機は臨時便が10分で完売したという。その熱狂ぶりを、選手たちも肌で感じている。「応援のパワーをプレーに発揮できれば」。沖縄尚学ナインが、うちなーんちゅの夢を乗せて、運命の決勝に挑む。
末吉良丞投手 プロフィール
- 氏名:末吉 良丞(すえよし りょうすけ)
- 生年月日:2008年11月18日
- 出身地:沖縄県浦添市
- 経歴:仲西ヴィクトリーBBC(仲西小2年) – 仲西中学校(軟式野球部) – 沖縄尚学高校(2年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:175cm・89kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速150キロを誇る2年生左腕。2025年夏の甲子園では全5試合に登板し、2完投、防御率1.10と圧巻の投球でチームを夏初の決勝進出に導く。沖縄県勢として夏の甲子園での2桁奪三振&1-0完封は史上初。












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