第32回 WBSC U-18ワールドカップは9日に1次ラウンド最終戦が行われ、侍ジャパンがプエルトリコに3-0で勝利し、開幕5連勝でA組1位通過を決めた。この試合で今大会初先発のマウンドに上がった横浜高の二刀流左腕・奥村頼人投手が、自己最速を更新する148キロをマークし、3回を5奪三振無失点と快投。投打での活躍が期待される「奥村ルール」で、まずは投手として最高のパフォーマンスを見せた。
3回5奪三振の快投!減量効果で球速アップ
「5番・投手兼指名打者」として先発出場した奥村頼人投手は、立ち上がりから躍動した。調子が良いと本人も認めるように、夏の大会時よりも球威のあるストレートと鋭いスライダーを投げ、初回を三者凡退に抑えると、2回にピンチを招いても連続三振で切り抜ける圧巻の投球を見せた。3回までを投げ、2安打5奪三振無失点と、力を見せつける内容でマウンドを降りた。
この日のストレートは自己最速を2キロ更新する148キロを計測。夏の甲子園後、約4キロの減量に取り組んだといい、「動きやすくなって球が走るようになった」とその効果を実感。「しっかり自分の球を投げることができた」と、納得の表情を見せた。
「奥村ルール」での活躍誓う、ロッテスカウトも高評価
140キロ台中盤から後半の威力あるストレートに、視察したプロのスカウトも注目している。
千葉ロッテ・榎アマスカウトディレクター:「真っすぐが強いし、打撃もあってセンスがある。ことしの左投手では上の方」
ストレートはボールが大きく向かってくるような雰囲気があり、ボリューム感がある。他の投手にはない特徴だろう。夏の甲子園では4番レフトで出場する事が多く、投球としてはリリーフで2試合6回2/3を投げただけで、ややアピールが足りない印象だったが、このU18W杯では投手としての魅力を十分に見せている。
チームの愛されムードメーカー
今大会は国際大会ということもあり、DH制が適用され、降板後も指名打者として出場できる、通称「大谷ルール」も適用されている。小倉全由監督は「奥村ルールだ」と話し、二刀流の奥村選手を使い切るためのルールと話し、奥村選手にハッパをかけられたが、この日は打撃では3打数無安打に終わった。「中軸なのに、ああいう結果になってしまった」と反省し、「次はその名が根付くようにやっていきたい」と、二刀流での活躍を誓った。
マウンドでの頼もしい姿とは一転、ベンチではチームのムードメーカーだ。「沖縄尚学の比嘉監督から、末吉のこと頼むよといわれたので、弟のようにかわいがっています」と話し、唯一2年生で選出された沖縄尚学のエース・末吉良丞投手を、お笑いコンビトム・ブラウンのみちおさんに似ていることから、「みちお」と呼んでかわいがっているという。「末吉が良くないことをしたら、相方のギャグのまねして、ダメ~って言ってます」と明かすなど、その明るいキャラクターも見せている。
侍ジャパンU18代表は1位で一次ラウンドを突破したが、スーパーラウンドではグループBを勝ち抜いたアメリカ、台湾、パナマと対戦することが決まった。特にアメリカは投手陣のほとんどが150キロを超す球を投げ、台湾、パナマ、オーストラリア、中国との4試合でわずか1失点と非常に強力なチームとなっている。
U18W杯連覇には、このアメリカの投手陣からどのように得点を奪うのか、明日、早くも対戦するアメリカ戦に注目したい。
奥村 頼人(おくむら らいと) プロフィール
- 所属:横浜高校(3年)
- ポジション:投手、外野手
- 投打:左投左打
- 主な特徴や実績:名門・横浜高校でエースで4番を務める二刀流。U-18W杯プエルトリコ戦で自己最速を更新する148キロを計測し、3回5奪三振無失点の快投。チームのムードメーカーでもある。














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