侍ジャパンU18代表の石垣元気投手(3年=健大高崎)が、「第32回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」スーパーラウンドの米国戦で延長8回1死満塁のピンチを切り抜ける圧巻の救援を見せた。最速155キロなど150キロ台の剛速球を連発し、ライバルをねじ伏せ、チームを決勝進出へ大きく前進させる勝利に貢献した。
絶体絶命のピンチを救う「魔神」の剛腕
7回に同点に追いついた侍ジャパンは、延長8回のタイブレークでも勢いに乗り、5点を勝ち越した。そして直後、今度はMLBドラフト候補たちのいるアメリカの攻撃となる。
その守りでは6回から登板していた西村一毅投手(京都国際)が1点を返され、なおも1死満塁と一発が出れば同点という場面となった。しかしそこで登板したのが、今秋ドラフト1位候補の石垣元気投手で、小倉全由監督も「ストレートが一番強い石垣でいった」と絶大な信頼でマウンドに送り出した。
その期待の中で石垣投手は、米国の5番・マーフィー選手を3球連続の154キロの直球で空振り三振に斬って取ると、コステロ選手にも力で押し込み、この日最速の155キロを計測した速球で二塁フライに打ち取りって激闘に終止符を打った。マウンド上では殺気すら漂う気迫のピッチングだったが、試合後には「ストレートで押すと横山と話していた。やってやるぞの気持ちでしかなかった。打たれる気はしなかったので、三振狙いでいきました」と話し、「4点差あったので楽に投げられました」と、マウンドでの表情とは好対照の笑顔で振り返った。
前田健太から得た「マエケン流」脱力投法
この日の快投の裏には、大きな進化があった。昨冬、都内のトレーニング施設で偶然居合わせたMLBヤンキース傘下の前田健太投手の投球練習を目にし、キャッチボールのような力感でスピンの効いた球を投げる姿に衝撃を受けた。「脱力して投げる大切さを学んだ」という石垣投手は、昨年秋までの力任せのフォームを改良し、今年は更に出力を上げることができていた。
この日も「いつもは気持ちが上がってしまうが、今日は落ち着いて冷静に投げられた」と語るように、進化した姿を披露した。自己最速タイの155キロを記録した投球については「100点です」と胸を張った。
恩師と指揮官の期待に応える快投
この日のスタンドには、健大高崎の恩師・青柳博文監督も応援に駆けつけていた。「見に来られたのでいつもより気合が入りました」と恩返しを果たした。小倉監督も「押し出しになって、やっぱり怖いですからね。間違えたら長打がある。一番いいストレートの石垣に代えました」と信頼を語った。
今夏の大会は、群馬大会と甲子園1試合で、わずか7イニングのみの投球しかしていなかった。リリーフで専任したということもあるが、出力が高くなる一方で体が持つかを心配した青柳監督の配慮によるものだった。この日、青柳監督の前でその全開の投球を見せ、青柳監督にとっても、本当の意味で肩の荷が下りた事だろう。
「絶対に勝たなきゃいけない相手だった」という全勝対決を制し、スーパーラウンド単独首位に立った侍ジャパン。大会連覇へ向け、頼れる守護神がチームを牽引する。そして石垣投手はMAXの力をこの夏ようやく見せることができ、ドラフト会議へと進んでいく。
石垣 元気 プロフィール
- 所属:健康福祉大学高崎高校 3年
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト1位候補。最速158キロの本格派右腕。U-18 W杯スーパーラウンド米国戦で自己最速タイの155キロを計測し、延長8回1死満塁のピンチを抑える好リリーフを見せた。前田健太投手を参考に「脱力投法」を取り入れている。

https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202509110002386.html
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2025/09/12/kiji/20250912s00001002024000c.html
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202509110002329.html
https://www.chunichi.co.jp/article/1131459?rct=highschool
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202509110002292.html
https://hochi.news/articles/20250911-OHT1T51278.html
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