社会人野球日本選手権の関東代表決定戦が行われ、今秋ドラフト候補の日本通運・冨士隼斗投手(24)が先発。最速155キロを誇る右腕は7回途中3失点でチームは敗退し、今季の主要日程を終えた。国内10球団のスカウトが見守り、巨人のスカウト次長が評価している。
150キロ連発も痛恨の2ランに泣く
ドラフト前の最後の舞台だった。冨士隼斗投手が先発し、151キロのストレートを投げたものの、初回に2つの四球から犠牲フライで1失点、3回には四球ノアとに2ランホームランを浴びて2失点と、最速153キロを記録した球速とは別に、四球からの失点をしてしまった。「真っすぐを張られるタイミングで、きれいに打たれた。もうちょっと違う球を投げるか、考えていかないと」と話した。
それでも4回以降はしっかりと修正して立ち直り、得意の変化球も安定すると7回までコンスタントに150キロ前後の速球を投げ込み無失点に抑えた。6回2/3を投げて3安打7奪三振3四球で3失点、チームも敗れた。
10球団が視察し巨人が評価
都市対抗本戦ではアピールの機会がなかった。チームは初戦で敗れたが、接戦の中でブルペンで待機していた冨士投手はその機会がなかった。そしてこの日、満を持して登板をしたものの、本来の投球を掴む前に失点した。
それでも数少ない社会人投手の候補として、その注目度は高い。この日のスタンドには、国内10球団のスカウトが集結し、高い評価を示している。
巨人・榑松スカウト次長:「馬力、スピードは十分。スライダーなど変化球が良くなっている」
155キロ右腕は「前より変化球でストライクが取れるようになった。真っすぐのスピードは落ちないので、課題はムラがあることと再現性」と、自身の成長と課題を冷静に分析する。
必ずしもドラフト上位という評価を得る事は、この日の投球だけでは難しいだろうが、これまでの実績や、今年のドラフト候補の少なさなども考慮すると、ドラフト上位での可能性も出てくる。
ただし、まだアピールの機会が完全にないとは言えず、最近ではプロ球団との交流戦も多くなったし、CSや日本シリーズに出場する球団が、その調整として社会人野球などのチームと練習試合を行うこともある。まだアピール不足であり、プロ側のスカウトももう少し見たいという気持ちはあると思うが、そういう機会に恵まれ、それが最終判断の場になる事もありそうだ。
「弟には負けたくない」
冨士投手にはプロへの強い思いがある。冨士投手は大学時代にプロ志望届を提出したものの指名漏れとなっていた。そして昨秋、西武から育成1位指名を受けた左腕の冨士大和投手が急成長し、球団のプロスペクトとなっている。
冨士投手は弟について「自分より身長があって、真っすぐで空振りがとれる弟には負けたくない」と言葉に力を込めた。どうしてもプロに行かなくてはならない右腕、ドラフト会議までが注目される。
冨士 隼斗 プロフィール
- 氏名:冨士 隼斗(ふじ はやと)
- 所属:日本通運
- 出身:平成国際大学
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 身長・体重:180cm・86kg
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト候補。最速155キロの本格派右腕。長いイニングでも球速が落ちないスタミナが武器。弟は西武育成の冨士大和投手。
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