明治神宮野球大会の決勝戦で、初の決勝進出を果たした立命館大学(関西五連盟第二代表)は、青山学院大学に0-4で敗れ、悲願の初優勝はならなかった。この試合、0-3の7回から2番手としてマウンドに上がったのは、来秋のドラフト上位候補左腕・有馬伽久投手(3年・愛工大名電)。しかし、連投の疲労から本来の投球ができず2回1失点。「力不足です」と、試合後は悔し涙が止まらなかった。
6日間で4登板、疲労隠せず「抑える力がなかった」
秋の神宮に「有馬旋風」を巻き起こした左腕が、最後は力尽きた。3点を追う7回から登板したが、先頭打者に四球を与えると、暴投でピンチを拡大し、適時打を浴びて決定的な4点目を献上。2イニングで3つの四球を与えるなど制球に苦しみ、今大会初失点を喫した。
初戦から6日間で全4試合に登板するという過密日程。「初戦と比べれば万全ではなかった」と疲労を認めつつも、「それは相手も一緒。その中で抑える力が自分にはなかった。思ったところに投げられず、もう一つギアを上げられる力が必要だと感じた」と、言い訳することなく完敗を受け入れた。
「中西さんのように」絶対的エースへの進化誓う
目の前で胴上げ投手となったのは、大学日本代表でチームメートだった青学大のエース・中西聖輝投手。17奪三振完封という圧巻の投球を見せつけられ、「最後も力の差を感じました」と脱帽した。
今大会、有馬伽久投手は1回戦で大会新記録となる10者連続奪三振を達成し、準々決勝では優勝候補の明治大を封じ込めるなど、全国にその名を轟かせた。しかし、決勝での悔しさは何物にも代えがたい。「今回は全て救援登板だった。中西さんのように先発して、チームを勝利に導く絶対的なピッチャーになって神宮に帰ってきたい」。流した涙を糧に、来年は先発完投できる大黒柱として戻ってくることを誓った。
4年生への感謝と恩返し
「キャプテンを筆頭に、4回生がチームをまとめてくれて、3回生以下がのびのびプレーできるように引っ張ってくれた。その4回生に日本一という結果で恩返ししたかった」。涙ながらに先輩への感謝を口にした有馬投手。昨春のリーグ戦10戦全敗という屈辱から這い上がり、全国準優勝までたどり着いたチームの象徴として、ラストイヤーは頂点だけを目指す。
元々ドラフト1位候補として評価されているが、この大会で大きく評価される投球を見せた有馬投手、来年は注目の中で、リーグ戦や全国大会、そして大学代表の左のエースとして投げることになる。
有馬伽久 プロフィール
- 氏名: 有馬 伽久(ありま・がく)
- 所属: 立命館大学(3年)
- 出身: 愛知工業大学名電高等学校
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 175cm、77kg
- 主な特徴や実績: 最速151キロの直球とキレのある変化球を操る本格派左腕。独特のテイクバックから繰り出すボールで三振の山を築く。今大会1回戦で10者連続奪三振の大会新記録を樹立。来秋のドラフト上位候補として注目を集める。













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