広島は13日、マツダスタジアム内でスカウト会議を開き、10月23日のドラフト会議で創価大学の立石正広内野手(21)を1位指名することを、3年連続となる12球団最速で公表した。アマチュアNo.1スラッガーと評される逸材を「近い将来の4番候補」と最高評価。複数球団との競合は必至で、新井貴浩監督(48)が3年連続で大役のクジ引きに臨む。
打力強化へ「近い将来の4番候補」を最高評価
チームの未来を託す決断だった。今季、リーグ5位の得点力と最下位のチーム本塁打数に苦しんだ広島。打力強化は最大の補強ポイントであり、その白羽の矢が立ったのが大学No.1スラッガーの立石正広選手だった。
田村恵スカウト部長は「近い将来の4番バッター候補として、一番高い評価をさせてもらった。打つだけでなしに、守備にしても足にしても、とにかく能力が非常に高い選手」とその実力を絶賛。「なによりも勝負強い。ここで打ってほしい時に必ず打つし、走者がいない時は一発で仕留めてスタンドに放り込む。しかも彼の場合は逆方向に本塁打が打てる」と、長打力と勝負強さを兼ね備えた逸材に惚れ込んでいる。
また立石選手は山口県防府市出身で、高川学園高校時代に甲子園に出場し、ホームランを放っている。地元中国地方の逸材としても、昨年の宗山塁選手同様に獲得したい選手であり、また「一番評価した選手で行こうではないか」という方針のもとに1位指名を決定した。
3年連続の最速公表、誠意で口説く
広島の1位指名公表は4年連続で、12球団最速となると3年連続だ。昨年は5球団が競合した明大・宗山選手を公表し、抽選で外したものの、熱意と誠意を示す球団のスタイルを貫く。田村部長は「結構な数で競合すると思うが、立石君でいくことは決まっている」と話し、「誠意を見せるじゃないが、カープとして立石君で行くことは決まっているので、この段階で発表させていただいた」と話す。田村新井監督とも事前に意見交換し、評価は一致したという。
チームは2年連続Bクラスの5位に終わり、新井監督は「エースと4番、核となる選手を育てないといけない」と話している。昨年もドラフト1位で右の強打者・佐々木泰 を獲得。内野はベテラン・菊池、首位打者・小園、昨年ゴールデングラブ賞獲得の矢野などがひしめき合う激戦区だが、得点力不足解消のためにさらに野手の逸材を獲得していく。
一方で、今秋ドラフトの対象選手として注目されるスタンフォード大学の佐々木麟太郎選手については、田村部長が「リストに入っていない。意思を尊重する」と話し、指名を見送る方針を明らかにしている。
新井監督、3度目の正直なるか
立石選手には、池山監督が就任してスラッガーの獲得を目指す東京ヤクルトや、岡本和真選手や佐藤輝選手といった主力スラッガーがメジャーに移籍する可能性がある巨人、阪神など、5、6球団の指名重複が予想されるが、抽選となった場合に田村スカウト部長は「そこは監督にお願いしたいと思います」と話し、抽選の大役を担うのは3年連続で新井監督となる。
2023年には2球団競合の末に常広投手(青学大)を引き当てたが、昨年は宗山選手の交渉権を逃した。15年ぶりの借金20で5位に沈んだチームの再建へ、指揮官が自らの手で未来の4番を引き寄せることができるか。運命の日に注目が集まる。
立石 正広 プロフィール
- 氏名:立石 正広(たていし まさひろ)
- 所属:創価大学 4年
- 出身:高川学園高校
- ポジション:内野手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm・86kg
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト1位候補。大学日本代表で4番も務めたアマチュアNo.1スラッガー。東京新大学リーグでは2年春に三冠王、4年春にはMVPと2冠を獲得。リーグ通算15本塁打。

















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