巨人は水野スカウト部長のほか、桑田真澄ファーム総監督が甲子園を訪れ、高校野球大会を視察した。
コミュニケーションを取りながら
水野スカウト部長やスカウトと行動した桑田ファーム総監督は、「目的はスカウトの方たちと行動をともにして、コミュニケーションを取って、発掘と育成を一緒にやっていくということですね。現場の意見、思いやスカウトの方たちの思いとか、コミュニケーションを取りながら一体となってチーム強化をしていくということです」と話し、現場とスカウト部門の意思疎通が目的であることを話した。
桑田氏、そして水野氏も、この甲子園の歴史に名を刻んだ選手で、「水野スカウト部長をはじめ、スカウトの方たちと選手を見る視点や、自分もここでプレーした経験があるので、どういったタイプがプロで伸びていくのか、いろんな意見の交換ができたのは有意義だったと思います」と、甲子園での選手の見方などを議論した。
そして「甲子園でプレーしている選手たちが、この経験を活かして将来どの道に進んでも活躍できる人材に育って欲しいと思います」と、野球の道だけでなく、他の道に進んだ時でも甲子園の経験を活かして成長していけると話した。
プロ野球の球団では、スカウト部門と現場部門の意思疎通は大変重要なもので、悪くするとお互いに責任を押し付け合う形になってしまい、チームの育成が機能不全となる。またチームづくりを誰が行うかで主導権を巡るトラブルもあり、属人的な形で一時的にチームが強くなっても、持続可能な取り組みになっていなかったりもしていた。
最近は各球団ともそれぞれのやり方で、特に大きくこの問題が見られるという事は少なくなったようにも感じるし、育成に関しても特に大きく失敗するような事も少なくなっている気もするが、やはり、この選手がどのように成長していくのか、どのように育てていくのか、そしてチーム全体でどのような戦い方を目指し、そのためにどんな選手が必要なのかといった事は、同じ方向性や視点を持っていなければならない。
ファーム改革、育成選手、3軍制といった組織的な進化、ホークスの育成施設やDeNAのDockなど育成の技術的な進化、そしてコミュニケーションの進化で、より良いプロ野球界をつくり挙げてゆきたい。
ちなみに、オコエ瑠偉選手をドラフト1位指名した2015年の東北楽天は、オコエ選手の俊足を評価し、将来に渡って1番センターの役割を期待してドラフト1位という高い評価をしたと思うが、オコエ選手は長打を打つことを目指しており、チームの方向性とは違う形となり、最終的に7年間プレーした後、球団を移籍した。これはチーム、スカウト、そして選手の将来の方向性が違った例になってしまったが、特に選手本人の将来のイメージとスカウトのイメージが共通していなかった点が挙げられる。これは現在もスカウトとアマチュア選手が直接触れ合うことができないため、この課題はまだ残っており、今後はプロアマの壁を更に撤廃していくことで解決できるのではないかと思っている。



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