福岡ソフトバンクのドラフトの狙い(2020)

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2020年の福岡ソフトバンクのドラフト戦略を分析します。

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福岡ソフトバンクのドラフト指名の特徴と傾向

〇タイプ:育成型→世代バランス型
〇監督:投手出身、バランス重視、固定メンバー
〇決定者:永井智浩編成育成本部長兼スカウト・育成部長
〇補強ポイント:スラッガー(右)、内野手、外野手

福岡ソフトバンクの指名の特徴

福岡ソフトバンクは12球団随一の潤沢な資金力があり、FA等で他球団の選手を獲得できるチームである。しかし2013年の鶴岡捕手、中田投手の獲得を最後にFA戦線に参加していなかった。また昨年は福田選手のFA移籍を許している。2018年は5年ぶりにFA戦線に参加、浅村選手、西投手の獲得を目指したが、二人とも獲得できないという結果となった。外国人では他球団で活躍した選手を獲得し、デスパイネ選手に加え2020年にはバレンティン選手も獲得をしている。

ただし、本質はドラフト会議を中心とした育成となっている。小川前編成部長時代に3軍制を強化し、千賀投手、大竹投手、石川投手、甲斐捕手、牧原選手、釜元選手、周東選手などを育成ドラフトから育てて、日本一に大きな貢献をしている。また現在も尾形崇斗投手や砂川リチャード選手など、多くの有望な選手を抱えている。3軍制は巨人や千葉ロッテも育成ドラフトで多くの選手を指名するなどし先陣を切っていたが、ただ選手を獲得しただけではだめで、その選手にしっかりと試合の機会を与えなければならず、その相手のレベルもある程度高くなければならない。しかしソフトバンクは九州の社会人や大学、四国ILなどと対戦を組み、3軍の選手もしっかりと試合に機会があり、育成されてきている。

ドラフトの指名は小川氏がフロントのトップを務めていた2016年までは、本ドラフト会議で1位指名はその年の目玉を狙い、2位以降は高校生の指名をそろえることが多く、育成枠でも高校生の指名が並ぶ高校生偏重気味のドラフトとなっていた。しかし、2017年に永井氏の体制になってからは高橋礼投手、杉山一樹投手、板東湧梧投手と本ドラフト会議で大学・社会人の選手の指名が増えており、昨年は5人中4人が大学、社会人の選手の指名となっている。

確かに高校生の指名から千賀投手や甲斐選手などが育ってきているが、2014年、2015年などを見ると、高校生はやはりプロに入ってから成功するかの振れ幅は大きいと感じられ、ある程度成功の予測が立てられる大学・社会人選手とのバランスは必要だろう。1軍のレギュラーメンバーが固まっていたため、1軍の強さは維持しているが、このまま続けれれれば、戦力バランスが悪くなる可能性もあった。

育成ドラフトについては2019年も7人を指名し、育成選手の数は変わらずに多くなっている。しかし2018年、2019年は地元九州の選手の割合が多くなった。確かに九州の球団で地元を優先するのは良いが、チームを強くするには全国のスカウト網で引っかかった選手から、より優れた選手を獲得すべきで、スカウトが全国に足を運べているのかがやや気にもなる。

フロント・監督のビジョン

2017年はパリーグで圧倒的に勝利し日本一にも輝くと、2018年はレギュラーシーズンは2位に終わったが、CSを勝ち抜いて日本シリーズに進出すると2年連続日本一に輝いた。昨年はCSを勝ち抜き、日本シリーズで巨人を圧倒して日本一となったものの、2年連続で西武にリーグ制覇を明け渡している。短期決戦に強いが、長期のリーグ戦でかつてほどの圧倒的な力が見られないのは、他球団の若い強打線にくらべ、ベテランが多く、またレギュラー陣が故障によってかけた事などがある。

工藤監督はあまりはっきりとしたビジョンを見せていないが、内川、松田、今宮、デスパイネといったレギュラー陣をしっかりとケアしチームを運用する力がある。また柳田選手の故障や、定着しないセカンドが2018年、2019年と続き、外野手とセカンドの選手起用に苦労をしているが、76勝を挙げてリーグ2位を確保している。ただし今後は、内川、松田、今宮といったチームを支えてきた選手も、いつまでチームを支えられるかはわからない状況となっており、やや戦力ダウンをしても我慢して若い選手を起用する必要も出てくるかもしれない。

ただし工藤監督は、現役時代の実績はもちろん、現役、そして引退後に得た野球の知識が多く、それを若手にかなり厳しい姿勢で伝えていっている。嫌われ者を買って出ているようなところもあり、これに選手やコーチ陣が追い付けずに孤立する所もあるが、この形が花開くかどうか、これについていける若手選手が出てくるか。

孫オーナーはアメリカにも負けない世界一の球団になることを目指し、資金力を提供している。MLBドラフト1位のスチュワート投手を獲得したり、その道を進む。ドラフト上位ではその年の目玉選手を指名し、即戦力・高校生のバランスをとるドラフトを継続し、育成では高校生を指名して3軍で育てていく形で1軍戦力の充実を図る。また、熊本ゴールデンラークスはソフトバンク傘下のチームとしてプロ化を発表した。今後は、九州全体の独立リーグなども視野に、さらに野球のすそ野を広げていくようだ。日本の球団の将来の姿を次々と見せてほしい。

チーム状況

2019年の戦力と将来予想(投手)

 2019年5年後予想
先発千賀滉大(27)13勝8敗
高橋 礼(24)12勝6敗
大竹耕太郎(24)5勝4敗
武田翔太(26) 5勝3敗
和田 毅(38) 4勝4敗
高橋 礼(29)
大竹耕太郎(29)
武田翔太(31)
甲斐野央(28)
笠谷俊介(28)
板東湧梧(30)
中継ぎ甲斐野 央(23)65試合28HP
嘉弥真新也(30)54試合21HP
高橋 純平(22)45試合20HP
椎野 新 (24)36試合11HP
松田 遼馬(25)54試合 7HP
嘉弥真新也(35)
津森 宥紀(27)
高橋 純平(27)
尾形 崇斗(25)
椎野 新 (29)
松田 遼馬(30)
森  唯斗(32)
抑え森 唯斗(27) 54試合35S杉山一樹(22)
2軍
(3年目まで)
笠谷俊介(23)73.0回
板東湧梧(25)72.1回
渡辺健史(22)49.2回
泉 圭輔(23)49.1回
杉山一樹(22)36.0回
古谷優人(21)35.2回

先発はエース・千賀投手と若い高橋投手がそれぞれ十分な成績を残してチームを引っ張ったものの、他の先発陣はやや苦しんだ形となり、リリーフ陣が奮闘して投手陣を支えた。チーム防御率はリーグトップの3.63を記録している。

2018年も千賀投手が中心で、バンデンハーク、東浜がある程度実績を残したが、昨年は調子を落とし、実績のある武田、大竹とベテランの和田投手も、先発として満足のいく数字ではなく、高橋投手の台頭が無ければ連覇も危うかった。そして千賀投手は2018年に続き2019年もポスティングでのメジャー移籍の想いを球団に伝えており、球団も一定の理解を示している。今年オフにもポスティングでの移籍という事になりそうで、その前に先発の柱を確立しておく必要がある。リリーフでものすごい球を投げる甲斐野投手や高橋純平投手の先発転向、または田中正義投手、杉山一樹を育てていくことを考えていかねばならない。

2020年シーズンにおいても千賀投手、高橋投手は侍ジャパンに選出される可能性が高く、東京オリンピックで戦う事になりそうだ。そうなると、オリンピック後のシーズン後半戦は疲労などで思うような成績が残せない事も考慮しなければならない。武田、大竹、和田にミランダ、二保ではやや心もとなく、東浜投手の復活や笠谷投手、板東投手、泉投手などの台頭が優勝のポイントとなってくる。

リリーフは非常に素晴らしい成績を残した。特に甲斐野投手は中継ぎの軸であり、リーグを代表する投手になっている。また高橋純平投手も頭角を現し始めた。しかし、甲斐野投手は東京オリンピックに出場する可能性が非常に高く、後半戦はやや休養が必要になるかもしれない。それでも杉山投手、そして即戦力ルーキー・津森宥紀投手は大学での実績十分で、1年目からリリーフで抑える力がある。抑えの森投手もここ数年負担が大きく故障の心配はあるが、サファテ投手もそろそろ復活するかもしれない。リリーフの層の厚さは日本一だろう。

2019年の戦力と将来予想(野手)

守備2019年5年後予想
捕手甲斐拓也(27)137試合、打率.260、11本甲斐拓也(32)
一塁手内川聖一(37)137試合、打率.256、12本増田 珠(25)
二塁手牧原大成(27)114試合、打率.242牧原大成(32)
三塁手松田宣浩(36)143試合、打率.260、30本野村大樹(24)
遊撃手今宮健太(28)106試合、打率.256今宮健太(33)
外野手上林誠知(24) 99試合、打率.194
釜元 豪(26) 86試合、打率.220
グラシアル   103試合、打率.319、28本
柳田悠岐(36)
上林誠知(29)
田城飛翔(26)
2軍・捕手九鬼隆平(21) 93試合、打率.259
栗原陵矢(23) 55試合、打率.323、9本塁打
【予想打順】
1上林
2田城
3増田
4柳田
5野村
6田城
7甲斐
8牧原
9今宮
2軍・内野手増田 珠(20)111試合、打率.278、 7本
三森大貴(20) 85試合、打率.239
川瀬 晃(22) 87試合、打率.246
美間優槻(25) 83試合、打率.276
2軍・外野手真砂勇介(25)107試合、打率.253
田城飛翔(21)112試合、打率.307

昨年は打線の軸だった柳田選手が抜けたものの、グラシアル選手と内川、松田の両ベテランが何とかカバーをした。捕手の甲斐選手、ショートの今宮選手の守備が軸となり、堅い守りを見せる。柳田選手が返ってくれば、柳田、グラシアルの打線は強力で、昨年からの上澄みはありそうだ。

しかし、柳田選手が故障が多くなっているのが心配で、その柳田投手が抜けた時の外野手に課題を見せた。上林選手は能力は高いものの打撃に波があり、釜元選手も成績的にはまだまだで、いろいろな外野手を試したがレギュラーを奪うような勢いのある選手はいなかった。またその候補だった福田選手がFAで移籍をし、外野手はポイントの一つとなっている。それでも2019年は佐藤直樹選手と柳町達選手を獲得し、その穴を埋めるドラフトを見せた。タイプの違う二人で、この課題を埋めてくれそうな選手だ。

内野手は今宮選手がまだ年齢も若く、ショートについては任せてよい状態が続く。ただし、控えの遊撃手は常に準備をしておくことが必要で、セカンドの牧原選手の他にも若い選手の台頭を待ちたい所。また球界トップクラスの足を見せる周東佑京選手は、常に足を見せたい所。セカンドやサードに入り、打撃を向上させたい。

そして内野手は、ベテランの内川、松田の後を任せる選手という事になる。松田選手はここ数年、ポスト松田という事で増田珠選手、野村大樹選手、そして小林珠維選手などを獲得している。またポスト内川についても、これらの選手の他に、ウインターリーグで活躍した砂川リチャード選手などもおり、ある程度、可能性のある選手がそろっている。それでも昨年のドラフト会議では、先発投手に候補がそろっていたが、石川昂弥選手を優先して1位指名した。柳田選手の後の主砲をチームは望んでおり、昨年のドラフトでは獲得をできなかったため、今年も補強ポイントとして優先される可能性もある。

捕手は甲斐選手がまだ年齢も若い。しかし昨年のドラフトで海野隆司選手を獲得し、石塚綜一郎選手も指名した。数年前には捕手に苦しみ、FAで他球団から集めまくった事があるため、手を緩める事なく捕手の補強をしている感じ。また甲斐選手の打撃は上がっているが、さらに打てる捕手の獲得を目指している。

2020年のドラフト指名候補は?

2020年の補強ポイント

 投手捕手内野手外野手
チーム・監督の方針から
2020年戦力から
将来のチームから
2019年指名選手から

昨年獲得ができなかった主砲候補と、千賀投手が抜ける事になりそうな先発投手が大きな補強ポイントとなる他、福田選手が抜け、グラシアル選手、柳田選手頼りの外野手の層を、さらに厚くしたい所。

捕手は充実をしており、今年の指名は無くても良いだろう。二遊間は、特に打てる選手を獲得したいが、主砲クラスの選手が獲得できれば良い。先発投手についてはリリーフ陣を先発に転向させることを前提に、リリーフの獲得を進める可能性もある。

1位、2位指名予想

パターン1は昨年取れなかった主砲候補の獲得。佐藤選手はサードや外野を守れ、柳田選手クラスになる可能性がある。2位では残っている中で最も良い投手を指名、ポスト千賀の可能性がある小林投手を挙げた。

パターン2は若さと外野手を優先、来田選手は打力に足、肩もあり、身体能力は抜群。チームに勢いをもたらす選手でポスト松田としてリーダーを託せる。2位では即戦力投手を指名、永井部長が好きな社会人投手から栗林投手と、ポスト和田として早川投手を挙げた。ただし2人とも残っている可能性は低いか。

パターン3は、甲斐野投手、杉山投手、津森投手などの先発転向を考えて、リリーフ候補の伊藤投手を指名、ただし伊藤投手も先発としての力も十分ある。2位では内野の主砲候補で牧選手が獲得できれば、セカンドの穴も埋まる事になりそうだ。

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