2023年に注目された高校生投手の、今年1年間の評価の変遷と、ドラフト指名予想をしてみます。
高校生投手のドラフト上位候補
選手名 | 学校 | 投打 | 特徴 | 評価 | 1月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
投 | 前田悠伍 | 大阪桐蔭 | 左左 | 180/77 | A | A |
福田幸之介 | 履正社 | 左左 | 180/76 | A- | – | |
坂井陽翔 | 滝川二 | 右右 | 186/75 | A- | B+ | |
河内康介 | 聖カタリナ | 右右 | 180/73 | A- | – | |
東松快征 | 享栄 | 左左 | 177/83 | B+ | A- | |
木村優人 | 霞ケ浦 | 右右 | 185/74 | B+ | – | |
武田陸玖 | 山形中央 | 左左 | 174/70 | B+ | B- | |
東恩納蒼 | 沖縄尚学 | 右左 | 172/71 | B+ | B | |
高橋煌稀 | 仙台育英 | 右右 | 183/80 | A | B | |
湯田統真 | 仙台育英 | 右右 | 181/84 | A | – | |
平野大地 | 専大松戸 | 右右 | 180/81 | B+ | B+ | |
中村海斗 | 明大中野 | 右右 | 187/97 | B+ | B+ |
ドラフト1位確実の圏内に入ってくるのは大阪桐蔭・前田悠伍投手一人。1年時から大阪桐蔭のエース格として投げていたが、球速がなかなか上がらず、また春のセンバツでも期待した成長が見られなかったことから、一時期はドラフト1位圏内も危うかったものの、夏の大阪大会の投球で持ち直し、そして侍ジャパンU18代表の投球で1位確実に返り咲いた。出力が上がらずにキレや総合力で抑えるタイプとしては、2016年ヤクルト1位の履正社・寺島投手が似ており、プロで活躍できずに引退している点がスカウトにもやや不安を与える可能性はあるものの、うまく成長することができれば、将来の左のエースになれず存在にもなるというイメージもでき、評価は分かれるかもしれない。
福田幸之介投手は一般的な評価はBランク(ドラフト下位か育成)という感じだが、個人的に将来性を見ると、福田投手が一番恐ろしい投手になるのではと思っている。ドラフト会議では2位までの上位指名に入らないと思うが、あえてA-(ドラフト上位クラス)をつけておく。
坂井陽翔投手も1月の時点でB+(ドラフト指名確実)がつくほど評価が高く、長身から角度のある140キロ後半の速球はドラフト1位クラスとして期待された。春から夏も良い投球をみせており、評価が下がる場面も無かったものの、一気に上げる場面も無かった。しかし、将来の右のエースになれる素質を持った投手として期待できA-とする。実際には2位で指名される可能性が少々で、3位から4位という指名になりそう。
河内康介投手は夏の大会で一気に評価を挙げた投手で、指摘するべき課題があまり見えず、柔らかい腕の振りから150キロの球を投げ、坂井投手や木村投手と比較しても遜色ない。現時点でドラフト上位クラスと評価する球団はまだ出ていないものの、ドラフト3位、4位あたりを基本戦に、2位で指名されても驚かない。
東松快征投手は150キロを超す球を投げる左腕で、春はA-ランクとし、前田投手と東松投手の左腕BIG2と評価もしていた。特に大きな評価を下げる要素は無いが夏のやや結果が出ずに、パワーに寄って全力で抑えていくスタイルに、高校生には将来性を高くみるスカウトには、やや警戒感が生まれた感じがする。B+(ドラフト指名確実)ランクとし3位指名有力とするが、パワー投手が特にリリーフで活躍する現在の野球を見ると、逆に2位までに指名されてもおかしくない。
木村優人投手も春から夏に急成長をした投手で、ゆっくりと手順を踏んで投げるようなフォームから角度のある140キロ後半の球を投げ、沈むボールも評価できる。ドラフト上位クラスに名前を挙げる球団もあるが、U18代表での投球でも波もあり、ドラフト上位クラスまでは個人的には評価できなかった。しかし東松投手と同じく、好みの差が大きなタイプだと思うので、2位で指名されてもおかしくないし、5位くらいに残っていても驚かない。
武田陸玖選手については投手よりも野手として評価されることが多い。個人的には左腕投手として前田投手、福田投手に次ぐクラスと評価、投手としてB+(ドラフト指名確実)とする。外野手としての力も評価されれば、2位までには指名される可能性が高いのではないかと思う。
東恩納蒼投手は今年、春のセンバツで評価を高めると、夏の甲子園でもその力を見せ、U18ではパーフェクト投球で猛烈なアピールをした。体のサイズや総合的な投球スタイルによってドラフト上位クラスという声が聞かれないが、個人的には桑田真澄投手のような印象で総合力の高さを純粋に評価したい。ドラフト会議では3位か4位で指名されそうだが、2位で指名されても納得する。
他に、仙台育英の高橋煌稀投手は昨年夏の甲子園でも主戦で活躍し、今年も春・夏の甲子園、そしてU18代表入りして投げていた。150キロの球の強さがあり、夏の甲子園やU18では本調子ではないように見えたが、今年の高校生投手のNO.1だったと評価する。プロ志望をすれば2位指名以内に入ってきたのではないかと思う。湯田統真投手は今夏の甲子園の主役で、高橋投手以上の力、安定感を見せていた。プロ志望届を提出していれば2位以内は確実だったと思う。平野大地投手は昨年に150キロの圧倒的な球を投げており、秋以降やや変化球をメインとした投球になりつつも、ファンもプロのスカウトも評価は非常に高かった。夏も千葉大会では早坂投手を相手に実力を見せつけたが、腕の血行障害によりプロ志望届を提出しなかった。志望届を出していれば、長い期間見ていたスカウトも多く、ドラフト2位までには指名される投手だった。中村海斗投手は一般的にはあまり名前は挙がってこなかったが、中学時からの力は圧倒的で、明大中野ということで大学進学を想定しながらの3年間になった気がする。大学卒業時にプロ志望をするかどうかわからないが、大学で非常に注目されるのではないかと思う。
その他にドラフト会議で指名が予想される高校生投手
選手名 | 学校 | 投打 | 特徴 | 評価 | 1月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
投 | 仁田陽翔 | 仙台育英 | 左左 | 175/74 | B | |
日當直喜 | 東海大菅生 | 右右 | 190/95 | B | B- | |
杉山遙希 | 横浜 | 左左 | 181/79 | B | B | |
天野京介 | 愛産大工 | 右右 | 182/86 | B | ||
松石信八 | 藤蔭 | 右右 | 173/68 | B | A- | |
細野龍之介 | 札幌新陽 | 右右 | 178/72 | B- | ||
西村昴浩 | 白樺学園 | 右右 | 175/72 | B- | ||
伊知地晴 | 旭川志峯 | 右右 | 178/75 | B- | ||
成田晴風 | 弘前工 | 右右 | 185/81 | B- | ||
大内誠弥 | 日本ウェルネス宮城 | 右右 | 191/77 | B- | ||
今野一成 | 古河学園 | 右左 | 170/82 | B- | ||
ハッブス大起 | 東北 | 右右 | 185/83 | B- | ||
清水麻成 | 樹徳 | 右右 | 187/75 | B- | ||
早坂響 | 幕張総合 | 右右 | 176/70 | B- | ||
篠崎国忠 | 修徳 | 右右 | 192/85 | B- | B- | |
下司凱世 | 不二越工 | 右右 | 182/73 | B- | ||
青野拓海 | 氷見 | 右右 | 180/80 | B- | ||
武内涼太 | 星稜 | 右右 | 183/77 | B- | B | |
清水凰史 | 愛知啓成 | 右右 | 181/85 | B- | ||
宮國凌空 | 東邦 | 右右 | 177/80 | B- | B | |
中山勝暁 | 高田 | 右右 | 178/81 | B- | B | |
坂本大和 | 倉敷 | 右両 | 176/67 | B- | ||
藤原大翔 | 飯塚 | 右右 | 177/70 | B- | ||
黒木陽琉 | 神村学園 | 左右 | 183/76 | B- |
仁田陽翔投手は175cmながら左で150キロの球を投げる。このポテンシャルは高く評価される。日當直喜投手も実績的ににも、三振をバッタバッタ奪うようなアピールをする事は無かったが、大型の右腕で150キロを投げる力を高く評価している球団がある。杉山遙希投手も1年時から名門・横浜で好投を見せ、前田投手と共に期待される左腕だったが、もう1段階上の所には行けなかった感じもある。ただし持っているポテンシャルと安定感はドラフト会議では指名確実と評価できる。
天野京介投手は昨年夏、そして今年夏と力のある球を投げ評価もされていた。一般的には指名されるかされないかという評価かとも見られるが、個人的にはB(指名確実)の所にいると思う。松石信八投手は評価が大きく分かれると思う。昨年、そして今年は特に制球の課題が大きく、早くに姿を消してしまいスカウトも見れた人は少なかったのではないかと思う。しかし小さな体で1年時から140キロ後半を記録し、その勢いのある球を見るとどうしても可能性を信じたくなる。ドラフト会議では育成、または指名漏れという事もあるかもしれないが、個人的にはBランク以下には落とさない。
B-(ドラフト指名の可能性がある投手)には19人を残した。中でもポテンシャルが高い選手で特に指名されそうなのは弘前工の成田晴風投手、幕張総合の早坂響投手の二人。そして投球フォームの良さなどで札幌新陽の細野龍之介投手、旭川志峯の伊知地晴投手、不二越工の下司凱世投手を、また実績も含めた評価で星稜の武内涼太投手、東邦の宮國凌空投手、神村学園の黒木陽琉投手を挙げた。
さらにハッブス大起投手、青野拓海投手は1,2年時から注目され、長い間見ているスカウトも多そうで、大内誠弥投手、清水麻成投手、篠崎国忠投手は高身長から力のある球を、今野一成投手は153キロを、中山勝暁投手は153キロを計測するなど140キロ後半の球を投げる力がある。清水凰史投手、坂本大和投手、藤原大翔投手もそれぞれ147、148キロを記録するが、C+に評価した投手とは大きな差は無く、スカウトが見れていて、良いと評価をしたかどうかという所だと思う。
指名順位予想
最後に、2022年に指名された高校生投手と比較して、2023年の指名順位を予想してみる。
順位 | 2022年 | 2023年 |
1~2位 | 斉藤優汰・苫小牧中央 門別啓人・東海大札幌 | 前田悠伍・大阪桐蔭 武田陸玖・山形中央 東松快征・享栄 坂井陽翔・滝川二 |
3~4位 | 齋藤響介・盛岡中央 田中晴也・日本文理高 森山暁生・阿南光 安西叶翔・常葉大菊川 茨木秀俊・帝京長岡 大野稼頭央・大島高 森下瑠大・京都国際 坂本拓己・知内高 | 木村優人・霞ケ浦 東恩納蒼・沖縄尚学 福田幸之介・履正社 河内康介・聖カタリナ 仁田陽翔・仙台育英 日當直喜・東海大菅生 杉山遙希・横浜 |
5位以下 | 日高暖己・富島 山田陽翔・近江 | 天野京介・愛産大工 早坂響・幕張総合 |
育成 | 吉川悠斗・浦和麗明 赤羽蓮・霞ケ浦 田村朋輝・酒田南 古賀康誠・下関国際 白濱快起・飯塚 野中天翔・明桜 辻大雅・二松学舎大付 吉村優聖歩・明徳義塾 今野瑠斗・東京都市大塩尻 内野海斗・武田 岡植純平・飾磨工 草野陽斗・東日本国際大昌平 佐々木明都・学法石川 大城元・未来沖縄 北村流音・桐生第一 森本哲星・市立船橋 | 中山勝暁・高田 宮國凌空・東邦 松石信八・藤蔭 成田晴風・弘前工 武内涼太・星稜 篠崎国忠・修徳 西村昴浩・白樺学園 細野龍之介・札幌新陽 伊知地晴・旭川志峯 大内誠弥・日本ウェルネス宮城 今野一成・古河学園 ハッブス大起・東北 清水麻成・樹徳 下司凱世・不二越工 青野拓海・氷見 清水凰史・愛知啓成 坂本大和・倉敷 藤原大翔・飯塚 黒木陽琉・神村学園 |
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