春季近畿地区高校野球大会の決勝が1日、さとやくスタジアムで行われ、東洋大姫路(兵庫)が今春センバツ準優勝の智弁和歌山(和歌山)を1-0で下し、1988年以来37年ぶり4度目の春の近畿王者に輝いた。この勝利で東洋大姫路は、2017年秋、18年春の大阪桐蔭(大阪)以来7年ぶり7校目、兵庫勢としては初となる秋春2季連続優勝の快挙を達成。背番号1を背負う最速147キロ右腕・木下鷹大投手(3年)が9安打を許しながらも要所を締め、公式戦初完封でチームを頂点に導いた。
新エース木下鷹大投手が公式戦初完封「ランナーが出ても、抑えられる自信があった」
まさにエースの投球だった。昨秋の近畿大会決勝と同カードとなった智弁和歌山との決勝戦、東洋大姫路は背番号1をつけた木下鷹大投手が先発すると、初回に1死満塁のピンチを背負うも二ゴロ併殺打で切り抜けた。その後も6イニングで走者を背負う苦しい展開となりながらも、「ランナーが出ても、抑えられる自信があった。そこが粘りにつながった」と話し、要所を抑えてホームを踏ませなかった。9回には4番でプロ注目の強打者・福元聖矢右翼手(3年)を見逃し三振に仕留めるなど、センバツ準優勝の強力打線を相手に9安打を許しながらも無失点。こちらもプロ注目の右腕・宮口龍斗投手との1-0の投手戦を制し、公式戦初完封を成し遂げた。
東洋大姫路は現在、左右の二枚看板だった147キロ右腕・阪下漣投手、142キロ左腕・末永晄大投手(ともに3年)を故障で欠く苦しい状況だが、その中で、センバツでも147キロの速球で好投を見せた木下投手が背番号1を背負った。「自分しかいないと思っていた」と責任感を力に変え、今春の公式戦全8試合に登板し防御率0.44(41回1/3、自責点2)と抜群の安定感を見せた。
履正社(大阪)時代を含め、自身初となる秋春連覇を達成した東洋大姫路の岡田龍生監督は、試合後、「バッテリーをほめてやりたい。この大会での収穫はすごい」と話し、木下投手の成長には、「もう実質今のところはエースですよね」とチームのエースとして認めた。センバツ2回戦で広島商に敗れた際には、木下投手が6失点と打ち込まれた反省から、「桑原もなかなか内角を使わない子で、ストライク先行と、インコースにどれだけ投げられるかが大事と常日頃、話してきた」と、捕手の桑原選手の成長を促し、新たな主戦バッテリーを育てた。
秋春連覇は、根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)らを擁した「最強世代」の大阪桐蔭以来の快挙。木下投手は「この春を通してバッテリーで考える力はついたと思う」と手応えを語る一方、「まだまだ阪下には及んでいない。何かが違うんですよね」話す。それでもこの日の公式戦初完封と、今大会エースとしてチームを近畿王者に導いたことは大きな実績になり、自信にもつながるだろう。「夏の大会につながって勢いがつくので良かったと思うが、優勝することで打倒東洋大姫路でくる。難しい試合になるけど、投手中心に粘っていけたら」と、夏の戦いへ向けて気を引き締めた。
木下鷹大投手 プロフィール
- 氏名:木下 鷹大(きのした ようた)
- 所属:東洋大姫路高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投(打席は調査中)
- 主な特徴や実績:最速147キロの右腕。2025年春季近畿大会決勝の智弁和歌山戦で9安打を浴びながらも公式戦初完封勝利を挙げ、チームを37年ぶり4度目の優勝と秋春連覇に導く。今春公式戦全8試合に登板し、防御率0.44。岡田龍生監督から「実質、エース」と評される。U18日本代表候補。






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