全国高校野球選手権和歌山大会は決勝が行われ、27年ぶりに決勝へ進出した星林が智弁和歌山に0-2で惜敗し、35年ぶりの夏の甲子園出場はならなかった。エースの則藤瑞起投手(3年)が、全国屈指の強豪打線を相手に9回を6安打2失点に抑える投球を見せたが、あと一歩及ばなかった。試合後に涙はなく、将来は大学からプロ入りを目指すと話した。
「最高の試合ができた」強豪相手に120球の熱投
「絶対に最後まで投げきろうと思ったけど、力を温存していたら、どんどん点を取られてしまう。最初から全力で飛ばしていきました」。その言葉通り、則藤瑞起投手は初回からアクセル全開だった。自己最速145キロに迫る144キロを何度も計測するストレートとスライダーを軸に、今春センバツ準優勝の智弁和歌山打線に真っ向勝負を挑んだ。
3回に2点を失ったものの、その後は6回から9回まで毎回得点圏に走者を背負いながらも、気迫のピッチングで追加点を許さなかった。120球を投げ抜き、最後までマウンドを守り抜いたエースは、「疲労よりも、智弁和歌山の打線にも通用して、楽しい試合でした。最高の試合ができた。これまで指導してくださった方々に成長した姿を見せられた」と、清々しい表情で語った。
苦難乗り越えた8人、深まった絆
ソフトバンク・小久保裕紀監督の母校でもある県立の星林は、和歌山の強豪の1つだったが、今年の3年生部員はわずか8人。1年生の時には、前監督の不祥事が原因で練習をボイコットした経験もある。しかし、その苦難を乗り越え、絆は深まった。「辻監督からは、自分で考えて練習をしなさいと教えを受けている。野球をするのが楽しい」と、自主性を重んじる練習で才能を開花させた。
強豪私学に負けない体を作るため、昨秋からは週2日のジムトレーニングで約10キロ増量。「7、8割の力で投げ、要所でギアを上げる余裕が出てきた」と、その成長を実感していた。
大学進学でプロ目指す
試合後、則藤投手は進路について、大学に進学して野球を続ける意向を示した。っして将来のプロ入りが目標になるかという問いに「はい」と言い切った。
「このメンバーで長く野球がしたい」という思いで戦い抜いた夏。智弁和歌山にリベンジは後輩に託し、則藤投手の挑戦は次のステージへ続く。
則藤瑞起投手 プロフィール
- 氏名:則藤 瑞起(のりふじ みずき)
- 生年月日:2007年11月12日
- 出身地:和歌山市
- 経歴:貴志少年野球団(貴志南小1年) – 和歌山ボーイズ(貴志中) – 星林高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:173cm・68kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速145キロ右腕。ソフトバンク・小久保裕紀監督の母校のエース。2025年夏の和歌山大会決勝で、智弁和歌山相手に9回6安打2失点と好投。卒業後は大学へ進学し、プロを目指す。星林高校では1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。






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