全国高校野球選手権和歌山大会は決勝が行われ、今春センバツ準優勝の智弁和歌山が星林に2-0で勝利し、2年連続28度目となる夏の甲子園出場を決めた。背番号11の最速152キロ右腕・宮口龍斗投手(3年)が、この大舞台で公式戦初となる4安打完封勝利し、侍ジャパンU18日本代表候補のエース・渡邊颯人投手(3年)を温存する形で4年ぶりの日本一、そしてセンバツ決勝で敗れた横浜へのリベンジへ、最高の形で名乗りを上げた。
背番号11・宮口龍斗、公式戦初完封!「先発でもいけると自信になった」
「監督から、投げるからにはゼロでと。絶対に無失点で投げ切ろうと思った」。その言葉通り、決勝という大舞台で、背番号11の宮口龍斗投手が圧巻の投球を披露した。1回から9回まで、ほぼ140キロ台を記録したストレートを投げ、9回4安打5奪三振で完封。3者凡退に抑えた9回には、この日の最速タイとなる147キロを計測するなど、最後まで球威は衰えなかった。
これが公式戦初完封だった。最速152キロの威力を誇り、リリーフで登板をしてきた。「いままでは後半に投げるのが得意だったけど、先発でもいけると自信になりました」と、胸を張った。
その裏には、フォーム改造の努力があった。球威がある分、制球力の課題を持ち合わせていたが、その課題克服のために今大会の途中から2段モーションに変更。「疲れにくく、試合の後半も強い球が投げられた」と、力感のないフォームがはまり、女房役の山田凛虎捕手(2年)も「終盤も直球は力強く、球の質は一つ上がった」とその進化を証言した。
エース渡邊颯人とWエース
智弁和歌山は、絶対的エースの渡邊颯人投手がいる中で、中谷仁監督は「宮口で勝負できる期待があった」と、決勝の先発に宮口投手を指名。「春から渡辺に勝つんだという思いでやってきてくれていた。この試合を投げきることができたら、一皮も二皮もむけると思った」と、その期待に見事に応えた。
宮口投手と渡辺投手は、ライバルでありながら最高の練習パートナーだ。「練習も一番、一緒にする」という二人は、互いに変化球のコツを教え合う仲。宮口投手は渡辺投手からフォークを伝授され、「この夏はしっかり使えるようになった」と、この日も勝負球として使用した。6回2死二、三塁のピンチでは、マウンドに伝令に来た渡辺投手から「ボールはいいから、自信を持ってどんどんいけ」と背中を押され、後続を断ち切った。
この和歌山大会、二人のWエースを中心に5試合で4完封、計3失点と圧倒的な投手力を見せつけた。中谷監督も、2021年夏に全国制覇した時の中西聖輝投手(青山学院大)らを擁した投手陣に「匹敵する」と、その仕上がりに自信を見せる。
「絶対に横浜に勝ってきます」センバツの雪辱へ
今春のセンバツ決勝で、横浜に11失点の大敗を喫した。その悔しさを晴らすため、ナインは27日に行われた神奈川大会決勝の横浜の試合をライブ中継で観戦し、士気を高めた。試合後の優勝インタビューで、宮口投手はスタンドに向かって力強く宣言した。「春に横浜に負けているので、夏は絶対横浜に勝ってきます」
4年ぶりの日本一へ、そして王者・横浜へのリベンジへ、智弁和歌山の準備は整った。
宮口龍斗投手 プロフィール
- 氏名:宮口 龍斗(みやぐち りゅうと)
- 生年月日:2007年4月5日
- 出身地:兵庫県川西市
- 経歴:多田エンゼルス(多田小3年) – 伊丹ボーイズ(多田中) – 智弁和歌山高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:183cm・85kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速152キロを誇る右腕。2025年夏の和歌山大会決勝で公式戦初完封勝利を挙げ、チームを2年連続の甲子園出場に導く。今大会途中から2段モーションにフォームを改造。U15日本代表経験あり。
渡邊颯人投手 プロフィール
- 氏名:渡邊 颯人(わたなべ はやと)
- 所属:智弁和歌山高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:最速147キロを誇るエース右腕。U18日本代表候補。今春のセンバツでは全5試合に先発し、チームを準優勝に導いた。宮口投手とのWエースで甲子園に臨む。









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