全国高校野球選手権西東京大会は決勝が神宮球場で行われ、東海大菅生が日大三4−8で敗れ甲子園出場はならなかった。プロ注目の152キロ右腕・藤平寛己投手は試合後、進路についてまだ決まっていないと話したものの、プロ入りに気持ちが傾いていることを明らかにした。また、上原慎之輔投手、前田蓮内野手は大学に進学する。
エース上原投手、38イニング連続無失点も決勝で力尽きる
鉄壁を誇ってきたエース左腕・上原慎之輔投手は今大会、38イニング連続無失点を続けてきたが、この日の日大三戦は3回に2死から連打を浴び、先制の2点タイムリーを許した。1点を追う5回にも、逆転の2点タイムリー二塁打を浴びるなど、本来の投球ができなかった。「試合始まる前から点を取られることはわかっていたので、バックを信じて投げ続けました」と振り返ったが、「甘いところを1球で仕留めてくるところだったり、追い込まれてからも粘ってくる。投げづらかった」と、相手打線を称えるしかなかった。
また、プロ注目の152キロ右腕・藤平寛己投手も6回からリリーフ登板したが、日大三打線の勢いを止められず、8回には自らのエラーも絡んで失点。3回を投げて2安打2失点で終え、「今までのゲームとは違った」と、決勝の舞台の重圧を語った。
東海大菅生の若林弘泰監督は、「追い込んでからの甘いボールは上原の課題だった。最後の最後に来て克服させてあげられなかった」と、最後まで投げ抜いたエースをかばった。
中学時代のWエース、藤平と近藤が聖地で約束の投げ合い
この決勝の舞台には、もう一つのドラマがあった。東海大菅生のプロ注目右腕・藤平投手(3年)と、日大三のエース・近藤優樹投手(3年)は中学時代、東京青山シニアで共に汗を流したチームメイトであり、「ダブルエース」としてチームを牽引したライバルだった。「夏の決勝で投げ合おう」。中学時代に交わした約束がこの日、実現した。
先発した近藤投手に対し、藤平投手は6回からリリーフで登板したが、その裏、2死の場面で藤平投手が代打で打席に入り、直接対決が実現した。結果は近藤投手に軍配が上がったが、試合後、二人は抱き合い、「ありがとう」とお互いを称え合った。藤平投手は「優勝しろよ」と旧友に夢を託し、近藤投手は「ずっと、ライバルでいてくれてありがとう」と感謝を口にした。「対戦相手の思いも背負って、1戦1戦大事にやっていきたい」と、近藤投手は聖地での飛躍を誓った。
それぞれの道へ
藤平投手は春の関東大会で140キロ後半の速球を連発し、今大会には150キロ右腕として登場、リリーフとして本調子ではなかったかもしれないが、素晴らしい投球を見せていた。プロのスカウトからも「高い出力のある選手」と評価されていた。この日はチームを甲子園につれていきたかった。でもやりきった感じはあります」と話し、今後の進路については、「監督とは、甲子園で活躍してから、の話だったので、まだどうなるか分からない」と話した。しかし、「8対2くらいでプロ」と、プロ入りに気持ちが傾いていることを明らかにした。
2年前の春、入寮したばかりの頃に「甲子園いきたいね」と上原投手と語り合ったという主将の前田蓮選手も、強打の遊撃手として注目された。主将として昨秋の1回戦敗退からチームを立て直し、春の準優勝、そして夏の決勝まで駒を進めたが、あと一歩届かなかった。「この悔しい思いを生かして次にやっていってほしい」。その言葉を、後輩たちに託すと、進路については、「大学で野球をやります。走攻守そろったショートとして、プロで活躍できるようにしたい」と、4年後のプロ入りを見据えた。
そしてエースの上原投手も「大学進学を決めました。体作り、直球の質を高めて、4年後絶対にドラフト1位でプロに行きたい」と力強く宣言をし、暑い夏が終わると、それぞれの道へと進んでいく。
藤平寛己投手 プロフィール
- 氏名:藤平 寛己(ふじひら ひろき)
- 所属:東海大学菅生高校(3年)
- ポジション:投手、外野手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:プロ注目の最速149キロ右腕。2025年夏の西東京大会決勝でリリーフ登板するも、チームは敗退。卒業後の進路は大学進学も視野に入れている。日大三・近藤優樹投手とは中学時代のチームメイト。
上原慎之輔投手 プロフィール
- 氏名:上原 慎之輔(うえはら しんのすけ)
- 所属:東海大学菅生高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 主な特徴や実績:プロ注目のエース左腕。2025年夏の西東京大会では準決勝まで38イニング連続無失点を記録。スクリューボールを決め球に持つ。卒業後は大学へ進学し、4年後のドラフト1位でのプロ入りを目指す。
前田蓮選手 プロフィール
- 氏名:前田 蓮(まえだ れん)
- 所属:東海大学菅生高校(3年)
- ポジション:内野手
- 投打:調査中
- 主な特徴や実績:東海大菅生の主将。今大会は1試合平均9.6点の得点力を誇る打線を牽引した。卒業後は大学へ進学し、プロでの活躍を目指す。




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