全国高校野球選手権大会の甲子園練習が31日に始まり、2年連続で出場する金足農業(秋田)が登場した。オリックス・吉田輝星投手を兄に持つエース右腕・吉田大輝投手(3年)が聖地のマウンドの感触を確かめ、右肘手術からの復活を目指す兄へエールを送るとともに、7年前に兄が成し遂げられなかった全国制覇を力強く誓った。
兄から贈られたグラブで聖地のマウンドへ「ここに戻ってこられてうれしい」
1年ぶりに、聖地のマウンドに帰ってきた。吉田大輝投手は、兄・輝星投手からプレゼントされたオレンジ色のグラブを手に、マウンドから10球を投げ込んだ。「去年は悔しい思いをして、この場にもう1回立つという気持ちでやってきた。やっとここに戻って来られて一番うれしいです」と、その感触を噛み締めた。
7年前、兄が「金農旋風」を巻き起こしたあの夏。「小学生の時にスタンドから見て、絶対、輝星超えてやると思った」。その思いは今も変わらない。兄を超えるには、日本一しかない。
リハビリ中の兄へ「今度は自分が勇気を与えられたら」
偉大な兄は今、3月に受けた右肘のトミー・ジョン手術からの復活を目指し、リハビリに励んでいる。「今までずっと輝星から元気、やる気をもらっていたので、次は自分が輝星に勇気を与えられるように」。昨年は1回戦で敗退し、「情けない姿を見せた」と悔やむ。この夏、聖地で躍動する姿を見せることが、兄への最高のエールになることを知っている。
夢は「プロの世界で兄と野球をする」
甲子園出場選手の事前アンケートで、将来の夢の欄に吉田投手はこう記した。「プロの世界で兄と野球をする」。その大きな夢を実現させるためにも、この甲子園で新たな金農旋風を巻き起こす。まずは昨夏果たせなかった初戦突破、その先に、秋田勢初の深紅の大優勝旗を見据える。
そしてその先にプロ野球の世界が待っている。最速146キロの速球にスライダーなどの変化球も鋭く、何より秋田大会では、準決勝の明桜戦で9回7安打無四球で完封、決勝の鹿角戦でもタイブレークの10回までを一人で投げぬき、7安打7奪三振1失点に抑えて勝利した。準決勝は1−0、決勝は2−1とまさに吉田投手の力で甲子園出場を決めている。
兄は最速149キロに鋭いスプリットを投げ、2018年の甲子園では鹿児島実戦で1失点、大垣日大戦で3失点、横浜戦で4失点、近江戦で2失点、日大三戦で1失点で、それぞれ完投勝利を挙げている。吉田大輝投手も甲子園でまずは球速で兄に届く可能性があり、そして高い完投能力によって勝ち上がっていく力が十分にある。そうした結果を残した時、プロ側の評価も兄のものに近づいていく事も考えられる。
将来の夢にプロの世界と書いた大輝投手の卒業後の進路にも注目される。
吉田大輝投手 プロフィール
- 氏名:吉田 大輝(よしだ たいき)
- 生年月日:2007年4月23日
- 出身地:秋田県潟上市
- 経歴:天王ヴィクトリーズ(小1) – 天王中学校(軟式野球部) – 金足農業高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:179cm・85kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:オリックス・吉田輝星投手を兄に持つ最速146キロ右腕。2025年夏の秋田大会決勝で延長10回を1失点完投し、金足農業を同校初の2年連続夏の甲子園出場に導く。昨夏もエースとして甲子園に出場。将来の夢は「プロで兄と一緒にプレーすること」。





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