【夏の高校野球2025】甲子園で見られなかった注目選手たち(九州編)

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全国で3396校が参加した今年の夏の高校野球大会も、残っているのは甲子園に出場する49校のみとなりました。各地の大会で敗れ、甲子園で惜しくも見られなかった注目選手を各地方大会大会一人に絞って紹介します。今回は九州地方編。
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福岡・九州国際大付:山本嘉隆投手 B-評価

昨夏はライトを守り、外野手としてプレーをしていたが、昨年秋に投球練習をすると148キロを記録し、外野からのレーザービームにも注目されていた。50m6.3秒の足で新チームでは1番にも起用され、長打力もこれから光りそうな選手だったが、この夏は外野手では出場をせず、投手に専念をしていた。

八女戦でリリーフで登板し2回を1安打2奪三振無失点に抑えると、準々決勝の八女学院戦でもリリーフで3回を投げて3安打2四死球も4つの三振を奪い、無失点に抑えていた。圧巻だったのは準決勝の東筑紫学園戦で、この日も3番手で7回1アウト2,3塁というピンチで登板すると、140キロ中盤のストレート次々と繰り出し、三振と内野フライで無失点に抑える。そして2回2/3をノーヒット7奪三振、無四球で無失点というパーフェクトリリーフを見せた。

決勝の西日本短大付戦では先発、2番手がそれぞれ3失点し、2回1アウトから登板した山本投手は、6回2/3を投げて8つの三振を奪ったものの、7安打4四死球で4失点と勢いを止めることはできなかった。まだ野手投げのような感じにも見えるフォームだが、これから投手としてのモーションを磨いてゆけば楽しみな投手ではないかと思う。

佐賀・鳥栖工:松延響投手 B評価

1年の時から最も有名な選手の一人で、1年生で最も驚いた投手だった。1年の夏に兄の松延晶音(あぎと)捕手とバッテリーを組み、仮面ライダーを知らない私にはなぜ騒がれているのかわからなかったが、とにかく兄弟バッテリーとして話題になっていた。

しかし、甲子園の投球に驚かされた。初戦の富山商戦では1−1の6回に2番手で登板をすると、低めのコーナーに決まる140キロの球を投げ、延長12回タイブレークまでの7回を5安打5奪三振1失点に抑えて見事に勝利した。続く日大三戦も7回から登板し2回1失点、1−3で敗れたが2年後が本当に楽しみな投手だと思った。

昨夏も佐賀大会決勝に勝ち進んだが結晶の有田工業戦で1−2で敗れる。そして今年、春季大会はリリーフで投げていたが、夏の佐賀大会は初戦から先発したものの、力感のない投球を目指していたとのことで、力が抜けていたし、球威も1年ほどは感じなかった。しかし、3回戦の敬徳戦で9回9安打も7奪三振で1失点、155球を投げて完投勝利したが、球の力を感じさせる投球をみせる。

そして準々決勝の鳥栖戦、9回まで2−2で延長タイブレークに入ると、10回に1点を奪われ、裏は得点が奪えずに敗れる。170球を一人で投げきった。「やりきったので悔いはないです」と話す3試合だった。安定したフォームから147キロの速球を低めに決める。プロ志望を表明しており、プロでの投球が非常に注目される。

長崎・海星:陣内優翔投手 B評価

長崎海星の陣内といえば、2021年にエースとして投げていた陣内健志投手(神戸学院大4年)だったが、2024年春のNHK杯で、弟の優翔投手が長崎県初となる完全試合を達成して一気に注目を集めた。177cmだった兄よりも高い185cmから最速145キロを投げる投手だった。

2年の夏はチームが初戦で敗れて登板は無く、秋は九州大会で完投している。そして春先には最速150キロに到達したというニュースが見られたが、春の九州大会では2試合あったものの登板はしなかった。そうして迎えた夏、長崎大会の初戦は全国制覇もしたことのある清峰との対戦に、陣内投手が先発すると、5回を投げて1安打4奪三振で無失点に抑え、5回までに7−0とリードしていたこともありここで降板した。続く島原戦は登板せず、準々決勝の九州文化学園戦も先発をしなかった。この試合では4回までに0−4となり、5回も1アウト1,3塁のピンチになった所で陣内投手が登板する。

しかし代わりばなにタイムリーヒットを許して1失点をしたが、その後は併殺で打ち取ると、その後はランナーを背負いながらも無失点の投球を続ける。試合は4点を奪って追い上げたものの4−5と1点が響いて敗れた。4回2/3を投げて3安打3奪三振無失点と投球は素晴らしかった。

185cmから150キロを投げ下ろす投手。見ていると、ストッキングを高くめくり、足の長さが際立って見える。腕も長くてしなやかに振られている。ただし、まだ力強さ下半身のどっしりが無く、これで土台がしっかりしてきたら、どんな球を投げるのだろうと恐ろしくもなってしまう。是非、プロの世界に挑戦をしてほしい投手だ。

大分・藤蔭:梶原一晋遊撃手 B-評価

181cmの大型遊撃手で、大型ながら広い守備範囲を見せる守備と、左打席でインコースもうまく捌く打撃ができる楽しみな選手だ。

今夏は初戦の宇佐産業科学戦で第1打席に早速インコースをうまく捌いてライト前へのヒットを打つと、2回にはチャンスで再びインコースの球をすくい上げ、打球はライトフェンス直撃の三塁打となり、その打撃の良さを十分見せた。それだけでなくコールド濃厚の5回には登板し、130キロ台の球で三者三振を奪った。

大分雄城台戦では打撃では、ショートがセカンドベースの後方に守り、サードが三遊間を守る梶原シフトを敷かれた中でライト線への3ベースヒットと、広くあいた三遊間へのヒットなどを放った。守備では柔らかい動きも見せる反面、肩の強さや腰の高さには課題も見せたと思う。

とにかく打撃については非常にレベルが高い。プロ志望をすれば、育成指名かもしれないが、福岡ソフトバンクはどこかで指名をしてくるだろうと思う。名前をしっかりと覚えておきたい。

宮崎・延岡学園:藤川敦也投手 A-評価

入学時からその体格で期待をされており、2年の春に最速153キロを記録した怪物だった。2年夏は3試合全てに先発、都城東戦で6回9奪三振も6安打で3失点、日南学園戦は6回を1安打9奪三振で無失点と圧巻の投球、準々決勝の富島戦では3回まで7安打を浴びて4失点し降板と、圧倒的な球威を持つが試合によって波がある所も見せていた。

3年になると183cm92kgとなり、その投球が注目されたが、5月の宮崎県招待試合で明徳義塾を相手に7回4失点も、その投球は更に成長していた。力感の無いフォームから放たれるストレートは140キロ中盤でもかなりのギャップを感じさせ、ものすごい投手になっていた。

最後の夏、初戦の宮崎商戦で7回2安打10奪三振無失点、やや球速を抑えていたが、相手打者に特大ファウルを打たれると、その次の球は力を入れて140キロ後半で空振り三振を奪っていた。小林秀峰戦は制球が定まらずに3回5安打1四死球で2失点し降板を告げられてしまう。そして準々決勝では昨夏に打ちのめされた富島を相手に、本調子ではなかったが140キロ後半の速球を投げ、7回2/3で6安打8奪三振2失点と粘りを見せた。試合には1−2で敗れたものの、成長した姿は見せたと思う。

まだまだ投球としては未完成、しかし、そのポテンシャルは高校ナンバーワンと言って良い。宮崎県では聖心ウルスラ学園聡明中で中学ナンバーワンと言われた森陽樹投手が大阪桐蔭に行ってしまったが、福岡から来た怪物が森投手よりも高い評価でプロ入りする事になりそうだ。

鹿児島・れいめい:伊藤大晟投手 B-評価

鹿児島には154キロ右腕の神村学園・早瀬朔投手がおり、左ではこのれいめいの伊藤大晟投手が146キロを投げてそれぞれナンバーワンだった。

この夏は1回戦からの戦いとなり、いきなり強豪の鹿児島城西との試合となるが、伊藤投手は9回5安打8奪三振で見事に完封をする。2回戦は登板せず、3回戦の鹿屋農戦で9回4失点も完投勝利、そして準決勝の鹿児島実戦に先発すると、この試合も150球を投げて9安打11奪三振3失点、8回まで無失点に抑えるも9回に3失点して逆転を許す。しかし、9回裏に2点を奪ってサヨナラで勝利するという、チームメイトに感謝の試合となった。

そうして迎えた決勝は鹿児島のナンバーワン右腕と左腕の対戦となったが、伊藤投手、早瀬投手ともに6回まで5失点と4失点という、事前に予想もできない試合となった。試合は両エースが降板後に6−15と神村学園が打力の差を見せて勝利した。伊藤投手は6回で147球を投げて9安打5奪三振10失点(自責点6)という内容だった。

足を高めに上げて左からの反動をつけ、投げられるストレートの威力は十分、スライダーもしっかりとその役割を果たしていた。右打者、左打者のインコース低めにストレートを投げられており、非常に良い素質を持っている。これからも注目される投手になりそうだ。

沖縄・エナジックスポーツ:イーマン琉海内野手 B評価

センバツの初戦・至学館戦で1番セカンドで出場し5打数4安打2得点、そして2回戦の智弁和歌山戦でも渡邊颯人投手、田中息吹投手、宮口龍斗投手という140キロ超の投手からそれぞれ安打を放つなど、5打数4安打で2盗塁を決め、まさに縦横無尽の活躍を見せていた。

勢いは夏にも続き、所詮で3打数3安打3打点3得点1盗塁、八重山戦で4打数3安打。名護戦で3打数ノーヒット、宜野座戦で4打数ノーヒットだったものの、決勝の沖縄尚学戦では4打数2安打を記録した。18打数8安打が物足りないとも感じさせる。打席でも体は小さいが、外角の140キロ台の球も強く弾き返すことができ、緩急をつけられても、カチンと引っ張って安打にする。

今年は沖縄でU18W杯が行われる。選出された侍ジャパンU18代表チームは、大会の前に大学日本代表との壮行試合を行ったあと、沖縄選抜との壮行試合も行われる。イーマン選手はどちらのチームでこの試合に出場したとしても、安打を打ってくれると思う。

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この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

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