全国高校野球選手権は5日、甲子園球場で史上初のナイター開幕戦が行われ、創成館(長崎)が小松大谷(石川)に3-1で勝利した。阪神タイガースの主砲と同姓同名のエース、最速149キロ右腕・森下翔太投手(3年)が、投げては毎回の13奪三振で1失点完投、打っては同点のタイムリー二塁打を放つ二刀流の大活躍で、チームを3年連続の初戦突破、そして長崎県勢初の開幕戦勝利へと導いた。
「名前に恥じないピッチング」153球13Kの圧巻完投
「名前に恥じないようなピッチングをしたいという思いがあった」。この甲子園で阪神の主軸として活躍する森下翔太選手と同姓同名で、その言葉通り、聖地のマウンドで森下翔太投手が躍動した。
初回に3安打を浴び1点を先制されたが、「初回は相手が上でした」と冷静に切り替えると、2回以降はスライダー中心の組み立てで小松大谷打線を翻弄。終わってみれば6安打1失点、毎回の13奪三振を奪う圧巻の投球。153球の熱投で、見事な完投勝利を飾った。
初回については監督から、「相手がどれだけついてこれるか」を見るためにストレートを投げることを指示しており、それによって3安打1失点をしたが、2回以降は得意のスライダーを中心に組み立て、カーブでカウントを稼ぎ、決め球には高めに伸びる143キロのストレートを使った。
5回には、それまで2打席でショートゴロ、センターフライに抑えてきた全国屈指のスラッガー・田西称選手との勝負で、スライダーやストレートで追い込むと、最後は外角低めの素晴らしい所に沈むフォークボールで三振を奪った。フォークボールはこれまでの投げている数が少なく、田西選手とのここぞの勝負球に取っておいた。
開幕戦での毎回奪三振&2桁奪三振は、1974年の金属バット導入後では初の快挙。歴史的なナイター開催となった試合で、新たな歴史を刻んだ。
虎の応援歌に乗ってバットでも同点打
“本家”が本拠地とする甲子園で、もう一人の森下翔太もバットで輝きを放った。1点を追う2回2死一塁の第1打席、アルプススタンドから奏でられたのは、なんと阪神・森下の応援歌。友情応援に駆けつけた九州文化学園吹奏楽部の粋な計らいに後押しされ、逆方向の左翼線へ同点のタイムリー二塁打を放った。「自分が先に点を取られていたので何とか返したいと思って打ちました。バッティングは好きです」と、自らのバットで、初回に与えた1点を奪い返した。
昨秋ベンチ外から急成長「小さくても、という気持ちで」
昨秋に最速135キロの投手はベンチにも入れなかった。しかし、冬のトレーニングにより球速は14キロアップの最速149キロに。見事エースナンバーを掴み取り、長崎大会では全5試合に先発し、チームを3連覇に導いた。「小さくても、という気持ちでここまでやってきた」という170cmのエースは、大舞台のマウンドで大きく見えた。
試合後、本家である阪神の森下選手からも「同じ名前なので次も勝てるように頑張ってほしい」とエールが送られた。次戦の相手は、昨夏、一昨夏と2年連続ベスト4の強豪で九州王者の神村学園(鹿児島)。「絶対に隙を見せず勝ちたい」。新時代の甲子園で最初のヒーローになった右腕が、九州対決を制し、”創成館の森下翔太”を全国に響かせる。
森下翔太投手 プロフィール
- 氏名:森下 翔太(もりした しょうた)
- 生年月日:2007年7月18日
- 出身地:熊本県
- 経歴:西合志南野球クラブ(西合志南小2年) – 熊本西リトルシニア(西合志南中) – 創成館高校(3年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:170cm・68kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速149キロを誇る右腕。阪神タイガースの森下翔太選手と同姓同名。2025年夏の甲子園開幕戦で1失点13奪三振の完投勝利。打っても同点タイムリーを放つ。昨秋はベンチ外だったが、冬のトレーニングで急成長。好きな言葉は「下克上」。50メートル走6秒1、遠投100メートル。













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