全国高校野球選手権の甲子園大会2日目では仙台育英(宮城)が鳥取城北(鳥取)に5-0で快勝。プロが注目する147キロ左腕・吉川陽大投手(3年)が5安打12奪三振の圧巻の投球で、今大会完封一番乗りを飾った。
エース吉川投手が圧巻の129球「一日一日を大切にしてきた」
聖地のマウンドで、仙台育英のエース、最速147キロを誇るプロ注目左腕・吉川陽大投手が先発すると、伸びのある直球に得意のスライダー、カットボール、そして効果的にカーブを織り交ぜ、鳥取城北打線を翻弄。9回を投げ抜き、許した安打はわずか5本、12個の三振を奪う快投で、129球の完封勝利を挙げた。
試合後、吉川投手は「目標を変えずにやってきてよかった。一日一日をずっと大切にしてきた。そこが成長につながっている」と話したが、投球内容には満足しておらず、「四死球があったのと、自分が有利なカウントで打たれた場面があった。自己採点は70点です」と厳しめの自己評価を見せた。
吉川投手は147キロの左腕投手で、体は大きくなく、圧倒的なストレートを見せるタイプではないが、この日のスライダーは昨年の京都国際の優勝投手・西村投手のような高校生では打てないとも言われそうなスライダーを投げた。ストレートも割合は少ないものの、打者の懐に差し込む鋭さがあり、キーとなる球になっていた。
吉川投手はプロ志望で、すでにプロ複数球団が注目し、巨人の水野スカウト部長など幹部クラスも視察をしている。プロ入りに向けても大きなアピールとなる完封勝利となった。
監督の采配ズバリで難敵を突破
全国制覇時の1回戦でも同じ鳥取勢の鳥取商と対戦し、勝利して勢いに乗った。この日の鳥取城北も球速で吉川投手と同じくらいのたまを投げる田中勇飛投手、鈴木欧音投手がおり、簡単な相手ではなかった。
しかし、攻撃の方で0-0で迎えた4回、ヒットエンドランやスクイズを絡めた多彩な攻撃を成功させ、6安打を集中して一挙4点を先制すると、5回には原亜佑久中堅手(3年)が右中間スタンドへ今大会第1号となるソロ本塁打を放ち、試合を決定づけた。
須江航監督は、2年ぶりの甲子園について、「一度流れが止まると、それを再開させていくのは大変な労力が必要。よく頑張った」と選手たちを称賛。また、試合中に自軍の選手が足をつるアクシデントがあった際、鳥取城北の選手たちが介抱する姿に触れ、「それが高校野球だなと。僕たちもそういう振る舞いをしないといけない」と相手チームのスポーツマンシップに敬意を表した。



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