全国高校野球選手権大会は準決勝が行われ、県岐阜商業(岐阜)が日大三(西東京)に延長10回タイブレークの末に敗れた。この夏、聖地を大いに沸かせたのが、生まれつき左手の指が欠損しているハンディキャップを持つ横山温大外野手(3年)だ。この日も同点となる犠牲フライを放つなど、最後まで全力プレーを貫いた。試合後、涙はなく、「自分みたいな選手でも甲子園に立てると示すことはできた」と、大学で野球を続け、プロを目指すことを力強く宣言した。
「最高の景色でした」聖地で輝いた全力プレー
「悔いはありません。甲子園は最高の場所でした。最高の景色でした」。試合後、横山温大選手は晴れやかな表情で語った。0-1で迎えた2回無死一、三塁のチャンス。「絶対に追いつくぞ」という気持ちで食らいついた打球は、同点となる貴重な右翼への犠牲フライとなった。準々決勝の横浜戦では、先制のピンチを救うスーパーキャッチを見せ、打っても4試合連続安打を記録。5試合で19打数5安打3打点と、攻守にわたりチームの16年ぶりのベスト4進出に大きく貢献した。
その姿は、多くの人々に勇気と希望を与えた。「自分と同じ境遇の子たちに勇気や希望を持ってもらえるプレーを」という思いを胸に聖地で躍動。「周りの人たちにも、困難があっても乗り越えられるような、勇気を与えられたかなと思っています」。その言葉通り、最後まで諦めないプレーで、甲子園に確かな足跡を刻んだ。
ハンディを乗り越えて「他の人に負けないくらいできる」
生まれつき左手の指がない。右翼の守備では、捕球後、グラブを左脇に挟んでボールを持ち替え、送球する。その一連の動作は、想像を絶する努力の賜物だ。「苦労したところとか、困難とか壁にぶち当たった時があったんですけど、そういうことを乗り越えて、そういうことがあったからこそ、今この舞台まで自分は立てたと思う」。
藤井潤作監督が「周りの目を気にせず自分を使ってくれた」ことに感謝し、その期待に応えたい一心だった。MLBで活躍したジム・アボット投手の動画を参考に、自分なりのプレースタイルを確立。「ハンデがあっても、他の人に負けないくらいしっかりできるんだぞっていうところを、4強という舞台まで示せたのは良かった」。その言葉には、確かな自信が満ち溢れていた。
「プロに行けるような選手に」大学で続ける夢
試合後、横山選手は大学に進学し、野球を続ける意向を明言した。「いろんなレベルでもっともっと野球を頑張りたい。大学に行って、もっともっとレベルアップして、その先でも長く野球をやっていけるように、頑張っていきたいです」。そして、その先に見据えるのは、プロの世界だ。「どこまでいけるか分からないけれど、プロに行けるような選手になりたいと思います」。聖地で得た自信と、支えてくれた人々への感謝を胸に、横山温大選手の挑戦はまだまだ続いていく。
変な言い方になってしまうが、岐阜大会の中継を見ていて、ハンディに全く気が付かなかったし、甲子園で注目されてからもプレーでは全くそれを感じず、普通にドラフト候補のスイング、守備を見せていた。これからも「そういえばハンディがあった」と言われなければ気が付かない選手として、ドラフト候補として見てゆきたい。
横山温大選手 プロフィール
- 氏名:横山 温大(よこやま はると)
- 生年月日:2007年7月17日
- 出身地:岐阜県各務原市
- 経歴:緑陽スポーツ少年団(小3) – 愛知江南ボーイズ(緑陽中) – 県岐阜商業高校(3年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:170cm・70kg
- ポジション:外野手
- 主な特徴や実績:生まれつき左手の指が欠損しているハンディを持つ。2025年夏の甲子園で4試合連続安打を記録するなど、攻守にわたる活躍でチームを16年ぶりのベスト4に導く。卒業後は大学へ進学し、プロを目指す。






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