第32回 WBSC U-18ワールドカップは、1次ラウンド第4戦が行われ、日本代表が南アフリカに10-0で5回コールド勝ちし、スーパーラウンド進出を決めた。今大会初登板初先発となった大阪桐蔭のエース・中野大虎投手が5回を4安打9奪三振無失点と圧巻の投球を披露。生粋の阪神ファンとしても知られる右腕が、前夜のリーグ優勝に刺激を受け、4人態勢で視察に訪れた阪神スカウトの前で快投を見せた。千葉ロッテも視察し高い評価を示している。
圧巻の9奪三振、火の玉ストレートも
「大阪桐蔭のエースですから。自信を持って投げてくれると思う」。小倉全由監督の期待に応え、中野大虎投手は初回から3者連続三振と完璧な立ち上がりを見せる。雨による中断を挟んでもリズムを崩さず、3回までパーフェクトピッチングを続けた。
最大のピンチは4回。2アウト満塁の場面で、中野投手はギアを上げた。5球すべてストレート勝負。最後はスピンの効いた142キロの火の玉ストレートで見逃し三振に仕留め、雄叫びを上げた。「持ち味である強い真っすぐをピンチで出していけたのがよかった」。5回を投げ抜き、毎回の9奪三振を記録した。
この日は相手はやや力的に格下だったが、勝てばスーパーラウンド進出が決まる一戦、これまで登板が無く、溜めていた力を一気に放出した。最速145キロ、5回4安打9奪三振無失点、味方も5回までに10点を奪ってコールドを決め、完封勝利となった。
祖父は私設応援団長、生粋の虎党が阪神Vに発奮
「大虎」という名前は、阪神の私設応援団を率いるほどの熱狂的な阪神ファンだった祖父の遺言で名付けられたという。自身も大の虎党で、前夜は宿舎のテレビで阪神のリーグ優勝の瞬間を見届け、「叫びながら動画を撮っていました」と話した。憧れの投手と公言する藤川球児監督の胴上げを目に焼き付け、この日のマウンドに上がっていた。
この日のスタンドには、その阪神が竹内球団副本部長ら4人態勢で視察。運命的な巡り合わせの中で力投を見せ、猛虎魂をアピールした。千葉ロッテも視察し、
千葉ロッテ・榎康弘スカウトディレクター:「勝負根性がある。直球に力があり、スライダーも切れがあった」
と評するなど、各球団のスカウトも高い評価を見せた。
高卒でのプロ入りを目指す右腕は、「この大会でレベルを1つ上げたい」とさらなる成長を誓う。世界一の称号を手に、憧れのタテジマのユニフォームに袖を通すことができるか。その魂の投球から目が離せない。
中野 大虎(なかの だいと) プロフィール
- 所属:大阪桐蔭高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm・80kg
- 主な特徴や実績:2007年6月18日生まれ、18歳。大阪府出身。最速149キロ。大阪桐蔭では主将でエース。祖父が阪神の私設応援団長だった生粋の阪神ファン。U-18W杯南アフリカ戦で5回9奪三振無失点の快投。















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