上武大が優勝、横田哲投手が4完投しMVP、三木亮選手はアピールに手ごたえ

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 大学野球選手権、決勝の上武大vs亜細亜大の試合は、上武大が清水和馬選手が6回に逆転の満塁ホームランを放つと、エース・横田哲投手が10安打を打たれながらも完投し優勝を果たした。

 じょーぶ、じょーぶ、だいじょーぶの応援が頭に残るほど大学野球選手権では常連の上武大だったが、ついに栄冠を勝ち取った。この日は1番・大谷昇吾選手が5打数3安打を記録、三木亮選手が4打数ノーヒットに終わるも、同じポジションでレギュラーを争った清水選手が代打で満塁ホームランを放つなど、チーム内のポジション争いのサバイバルを経験した打撃陣が、全国の舞台でも強い気持ちで勝利をものにした。

 投げてはエース・横田哲投手が5試合中4試合に完投、福岡工業大戦で完封すると、準決勝で明治大、決勝で亜細亜大と東京六大学、東都大学のチームを破った。決勝は10安打6死四球と本来のピッチングとは程遠い内容だったが、強い精神力からの粘りを見せた。

 三木亮選手は5試合で満塁ホームランなど8打点を記録、プロ入りを目指す三木選手はスカウトへのアピールについて「一番意識しているのは打点。大会通してできたんじゃないかと思います」と話していた。

 昨年の加藤翔平選手(2012年千葉ロッテドラフト4位)や井納翔一投手(2012年横浜DeNAドラフト3位、上武大-NTT東日本)、安達了一選手(2011年オリックスドラフト1位、上武大-東芝)など、プロでも多くの選手が活躍する上武大、今後も目が離せない。

  熱戦を、雑草軍団らしく締めた。初優勝目前の9回、1点差に迫られ、なお2死二塁。一塁後方にふらふらっと飛球が上がった。二塁手が右翼手と交錯しながらグラブに収めた。「9回は何かあると思ってました。絶対落としたと思ったんですけどねえ」。ナインの手で3度、宙を舞った谷口英規監督(43)は、感涙を隠すかのように冗談めかして振り返った。

 試合を決めたのは伏兵だった。6回に清水が代打満塁逆転本塁打。内外野を守り、代打、代走をこなすスーパーサブで、公式戦通算わずか1安打。それでも指揮官に迷いはなかった。「彼はいちばんの苦労人。あの子でダメならあきらめがつく」。いつ来るか分からない出番のために、今大会中も汗だくになってバットを振り続けてきた男が、最高の形で期待に応えた。

 反骨心で、頂点までたどり着いた。東洋大―東芝というアマ球界のエリートコースを歩んだ谷口監督は、00年に就任した当時を「(ドラマの)スクールウォーズみたいだった」と振り返る。バイク、たばこ、茶髪、サボり―。30歳だった青年監督は「10年後に、上武大野球部OBですと胸を張って言えるようにしてやる」と体当たりで指導。「14年目ですが、約束を果たせたかな」。当時の教え子たちはスタンドで涙を流した。

 「ずっと夢に見ていた日本一。獲れてうれしい。疲れはあったが自分が最後まで投げてやろうと思った」

 全5試合のうち4試合で完投。34回520球を投げ抜いた。前日の準決勝も126球を投げていたが、谷口監督に決勝の先発を志願。7回には指揮官から「エースとして代えないよ」と告げられた。10安打5失点もリードを守り切った。

 昨秋のリーグ戦が終了すると、約4カ月間徹底的に走り込んだ。毎日15キロ以上、多い日は30キロも走った。今春リーグ戦でも、14試合中10試合に登板した。冬場の鍛錬は、MVPと最優秀投手賞の2冠という形で返ってきた。「これでもかというくらい今まで走ってきた。やってきたことは無駄じゃない」。横田はかみしめた。

 歓喜の輪の中で、上武大の三木の笑顔がはじけた。「苦しい戦いになったけど、勝てて素直にうれしい。チームで勝ち取った日本一だと思います」。遊学館での3年間は甲子園に出場できなかった男が、大学ラストイヤーで全国の頂点を極め、胸を張った。

 2点を追う6回、先頭打者の三木が冷静に選んだ四球が一挙5得点の呼び水となった。逆転のグランドスラムを放った清水和馬(4年)は、三木とポジションが重なる遊撃手の控え。「これまで自分の調子が悪いときも自分が出てたので、(清水の)出場機会は少なかった。控え選手が打ったことでチームは盛り上がったし、喜びもひとしおです」と、声をはずませた。

 昨秋のリーグ戦で盗塁の際に右足首を骨折し、10月下旬に手術。本格的な練習再開は1月下旬までずれ込んだが、今大会で完全復活を証明した。3試合で決勝打を放ち、13日の準々決勝・天理大(阪神大学)戦では大会通算700号となる満塁本塁打。「秋のけがはつらかったけど、何とか取り返そうという気持ちでずっとやってきました」と感慨深げだった。

 5試合8打点と大暴れした3番打者は「一番意識しているのは打点。大会通してできたんじゃないかと思います」。ドラフト候補に挙がる三木の評価は上昇し、本人も「今大会で(スカウト陣に)アピールできたんじゃないかと思います」と手応えを口にした。自らの将来を占う秋に向け、最高の春となった。


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