高校野球の強豪として知られる茨城・明秀日立高から、創立以来初となる東京大学合格者が、野球部から誕生した。同校は10日、公式サイトを更新し、野球部OBで台湾からの留学生である李玟勲(リ・ブンシュン)さんが、最難関の東京大学理科二類に合格したことを発表した。現役時代は大型の左打者として4番も任されたスラッガーが、野球で培った不屈の精神を武器に、受験勉強で2度の挑戦で合格を勝ち取った。
挫折を糧に掴んだ合格、大学生活と両立させた不屈の受験勉強
李玟勲選手は、2018年の夏の甲子園を台湾で見て、根尾選手、藤原選手などが初夏連覇をした姿を見て日本の高校野球に憧れを持ち、台湾から明秀日立に留学をした。183cm87kgの左のスラッガーとして注目され、練習試合では特大のホームランを放ち、4番として出場したこともあるなど期待された選手だった。
同時に、東大を目指していた。昨年に高校を卒業し現役合格を目指したものの、東大に合格することができず、第二志望の立教大学へと進学していた、入学後も東大への想いを断ち切ることはできなかった。大学での講義や生活をこなしながら、受験勉強を継続すると、妥協を許さない姿勢で再挑戦に挑み、ついに赤門をこじ開けた。同校サイトでは「不屈の精神で挑んだ再挑戦で、ついに最高峰の赤門をこじ開けました」と、その努力を称えている。
台湾から夢見た「甲子園」、中学3年で日本語最高位N1合格の知性
日本への留学を決意した時、李選手は日本語の家庭教師に就いて猛勉強を開始。熱心に目標に向かって進む姿勢は当時から際立っており、外国人対象の日本語能力試験で最高レベルとされる「N1」に、わずか中学3年生で合格した。台湾での学業成績も常に上位をキープしていたという。
数ある選択肢のなかから明秀日立高への進学を選んだのは、同校が台湾からの留学生受け入れ実績を持っていたこと、そして何より巨人・坂本勇人選手らを育て上げた名将・金沢成奉監督の指導を仰ぎたいという強い希望があったからだ。高い知性と強靭な意志を持った少年は、海を渡り、茨城の地で野球と勉強の両輪を回し始めた。
金沢監督のもとで磨いた長打力、深夜の食堂で続けた「文武両道」
金沢監督率いる明秀日立高での3年間、李玟勲さんは大型の左打者としてその才能を開花させた。恵まれた体格から放たれる打球は鋭く、金沢監督の厳しい指導のもと、技術だけでなく勝負所での精神的な強さを磨き上げた。グラウンドで泥にまみれて汗を流す一方で、寮に戻ればペンを握り、学業への妥協も一切しなかった。
強豪野球部での生活は多忙を極めるが、李玟勲さんは「時間は自分で作るもの」と言わんばかりに、深夜の食堂を自習室に変えて勉強を続けた。野球部でのレギュラー争いというプレッシャーと、東大合格という高い目標。その両立は並大抵の努力ではなかったはずだが、彼はそれを「当たり前」のこととしてやり遂げた。
憧れの東京六大学へ、東大野球部の門を叩くか注目集まる
西武でプレーし、今年のWBCにも出場をしていた呉念庭選手に憧れを持つ李選手は、高校時代から「東京六大学野球でのプレー」を目標に掲げていた。今回、その舞台である東京大学への合格を果たしたことで、今後は神宮球場での活躍にも期待がかかる。東大野球部は、全国の高校球児が集まる明治大、早稲田大、法政大、慶応大、立教大と対戦をする中で、1勝を挙げる事に必死な戦いとなっているが、明秀日立のスラッガーが入部することになれば、チームにとって大きな戦力となるは間違いない。
そして、スポーツの強豪校として名高い明秀日立高から東大生が誕生したことは、日本の高校野球界にとっても非常にインパクトのある出来事だ。「野球だけ」ではない、あるいは「勉強だけ」ではない、両方を高いレベルで追求できることを李玟勲さんは証明してみせた。台湾から来た少年が赤門をくぐり、今度は東京六大学の舞台でプレーを見せてくれるのか注目される。
【李 玟勲】 プロフィール
- 氏名: 李玟勲(リ・ブンシュン)
- 所属: 明秀日立高校OB(東京大学理科二類合格)
- 出身: 台湾
- ポジション: 内野手(一塁手)、外野手
- 投打: 右投左打
- 身長・体重: 183cm、85kg(高校時データ)
- 主な特徴や実績: 明秀日立高初の東大合格者。高校時代は大型のスラッガーとして注目され、4番も務めた。中学3年時に日本語能力試験N1合格。1年間の浪人生活(仮面浪人)を経て東大理二に合格。憧れの選手は坂本勇人、呉念庭。










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