全国高校野球選手権の甲子園大会6日目では、全国最多41度目の出場となった北海(南北海道)が東海大熊本星翔(熊本)に敗れ、初戦で姿を消した。それでも先発マウンドに上がった1年生右腕・森健成投手が、自己最速を3キロ更新する147キロをマークし、その投球に元DeNAスカウト部長が「桑田2世」と絶賛した。そして昨年までエースとして投げていた松田収司投手も復帰となる登板で147キロを記録、大学で野球を続ける事を明らかにした。
自己最速147キロ、中田翔超えの衝撃デビュー
「マウンドに上がってからは緊張はなかった。自分の投球をしないと、という気持ちだった」。甲子園初登板の1年生右腕・森健成投手は物怖じしなかった。初回、いきなり自己最速を3キロ更新する147キロを2度計測し、甲子園での1年生の球速としては、2005年夏の大阪桐蔭・中田翔投手の146キロを超える衝撃の数字を叩き出した。しかし、その立ち上がりに連打と味方のエラーも絡んで2点を失い、3回4安打2失点で降板。「すごく悔しい」と、ほろ苦い聖地デビューとなった。
平川敦監督は「攻撃の打順の巡りを考えて交代になったが、もう少しいかせたかった。力は示してくれた」と、1年生右腕を評価した。森投手自身も涙はなく、「この経験を生かして、5回甲子園に出られるように頑張りたい。来年の選抜に出て150キロを投げたい」と、すでに来春を見据えていた。
元DeNAスカウト部長・吉田孝司氏が絶賛「桑田2世」
この投球に、元DeNAスカウト部長の吉田孝司氏は、「驚いた。こんなに素晴らしい投手がいるとは知らなかった」と絶賛し、「170cm73kgと小柄ながらクセのないフォームはバランスが良く、上からボールをはじくことができている。堂々としたマウンドさばきは、とても1年生に見えない」と、その完成度の高さを評価した。
一方で、「カーブを投げる時は腕の振りが緩い」と課題も指摘し、「目指すべきはPL学園・桑田真澄のスタイル。しっかりと腕を振るフォームから繰り出す直球、カーブの2種類で2回も甲子園を制覇した」と、桑田投手のようになる事を期待した。
中学時代は札幌東シニアでプレーし、多くの高校から誘いを受けたが「地元の高校で日本一になりたくて来ました。目標は3年生で155キロを超えること。北海道を背負う投手になりたいし、世代を背負う投手にもなりたい」と、北の大地を離れること無く、まずは1度目の甲子園のマウンドを踏んだ。
元エースも復帰登板で147キロ
昨年、2年生ながらエースとしてチームを甲子園に導いた松田収司投手も、復活の登板を見せた。劣勢となった7回から4番手で登板すると、最速147キロを記録するなど常時140キロ超の球を投げ、1回2/3を投げて2奪三振1失点だった。
松田投手は1年秋の明治神宮大会の初戦・作新学院戦に先発すると、プロ注目投手だった小川哲平投手と9回まで0−0の投げ合いを演じて注目された。2年時のセンバツでは初戦で大阪桐蔭と対戦し、2回1/3で4失点して悔しい甲子園デビューとなったが、夏はエースとして南北海道大会に出場するも本調子ではなく、南北海道大会の初戦で敗れた。
その後も本調子ではない状態が続いていたが、今夏の南北海道大会前に肋骨を疲労骨折していたことが判明し、南北海道大会では登板がなく、この甲子園に合わせて調整をしてきた。クイック気味のフォームに変えると、指にかかるストレートが復活し、この日、自己最速となる147キロを記録した。「甲子園では自己最速の147キロを出すことができてよかったです」と話した。
1年時から北海高校を支えたが、順風満帆とは行かなかった。そして次は大学の舞台で投げる。「大学4年間で実力を磨いて、育成ではなく、支配下で行ける投手になりたいです」と話し、4年後に支配下ドラフトで指名される事を目指す。
森健成投手 プロフィール
- 氏名:森 健成(もり たけなり)
- 生年月日:2009年7月31日
- 出身地:北海道
- 経歴:北白石ワイルドナイン(小2) – 札幌東シニア(北白石中) – 北海高校(1年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:170cm・73kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:2025年夏の甲子園1回戦で先発し、自己最速を3キロ更新する147キロをマーク。元DeNAスカウト部長の吉田孝司氏から「桑田2世」と評される。北海高校では1年春からベンチ入り。理想の投手は西武・平良海馬。座右の銘は「獅子搏兎」。





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