全国高校野球選手権大会の3回戦では、尽誠学園(香川)が昨夏王者の京都国際(京都)に2-3で惜敗し、23年ぶりのベスト8進出はならなかった。今大会唯一の「エースで4番で主将」を務める広瀬賢汰投手(3年)が、投げては9回3失点完投、打っては一時逆転となる2点タイムリーを放つなど、最後までチームを牽引。試合後、大学に進学することを明らかにした。
「負けたら全て自分の責任」三つの重責を背負い投げ抜いた大黒柱
広瀬賢汰投手はこの日、初回に味方のエラーで甲子園初失点を喫したものの、2回から5回まではパーフェクトピッチング。6回にピンチを招いても、自らの牽制で切り抜けるなど、マウンドで躍動した。8回に逆転打を浴び力尽きたが、「一球一球を悔いなく投げられたので後悔はないです」と、最後まで投げ抜いた。9回101球を投げて6安打3奪三振無四球で3失点、「すごく悔しいけど、仲間と一緒にやり切った」試合後に広瀬投手は清々しい表情で語った。
バットでもその存在感は際立っていた。1点を追う5回2死満塁のチャンスで、変化球を捉えライト前に運ぶ逆転の2点タイムリーヒット。初戦の完封勝利に続き、この日も投打にわたる大活躍を見せた。
「負けた試合は全責任、自分だと思ってやってきた。その責任を与えてもらっていたからこそ、成長することができた」。エース、4番、主将という三つの重責を最後まで全うした大黒柱に、スタンドからは惜しみない拍手が送られた。
「同じ高校生」王者相手に一歩も引かず
対戦相手は昨夏の全国王者・京都国際。「チャレンジャーの気持ちで立ち向かった。やっぱり強い相手でした」と相手を称えつつも、試合前には「相手が上だと思いすぎると力を出し切れない。同じ高校生という言葉は気持ちを楽にしてくれる」と仲間を鼓舞。その言葉通り、チームは王者相手に一歩も引かない堂々たる戦いを見せた。
大阪府堺市出身で、中学時代に「今の実力では大阪の強豪校と戦えない」と、レベルアップの場を香川に求めた。昨夏、初戦敗退の悔しさから主将に立候補。「全国で勝てるチームにしたい」と、チームを牽引してきた3年間が、この日の熱戦に凝縮されていた。
大学で日本一、そしてプロへ
試合後、広瀬投手は大学へ進学する事を明らかにした。「次は大学で日本一を取れるように」。そして、その先に見据えるのはプロの世界だ。「チームを勝たせることができる投手になってプロを目指します」。甲子園での悔しさを胸に、広瀬賢汰の新たな挑戦が始まる。
広瀬賢汰投手 プロフィール
- 氏名:広瀬 賢汰(ひろせ けんた)
- 生年月日:2007年4月16日
- 出身地:大阪府堺市
- 経歴:野田サザンファイターズ(ソフトボール・小1) – 堺初芝ボーイズ(野田中) – 尽誠学園高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:179cm・82kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:エースで4番、主将を務める“三刀流”。2025年夏の甲子園では2試合に登板し18回を投げ自責2。打っても4打点を記録。2回戦では夏の甲子園での「投手兼4番兼主将」として25年ぶりの完封勝利を達成。卒業後は大学へ進学し、プロを目指す。







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