東京ヤクルトスワローズが、フロントと現場を含めた大改革を行うことが明らかになった。今季の低迷を受け、高津臣吾監督と球団初のゼネラルマネジャー(GM)である小川淳司氏が今季限りで退任。後任の監督には池山隆寛2軍監督、GMには青木宣親GM特別補佐の昇格がそれぞれ最有力となっている。ヤクルトは投手中心のチーム作りを進めてきたが、方針の転換がありそうだ。
2年連続Bクラスで体制一新
2019年のオフに小川淳司監督から高津臣吾監督に交代し、2020年こそ6位だったものの、2021年の日本一、22年のリーグ連覇を果たした。しかし、2023年に5位に低迷すると、昨季も2年連続での5位、そして今年も現時点で単独最下位に沈んでいるチーム状況を見て、球団は現体制に区切りをつける方針を固めた。高津監督は就任2年目から大きな功績を残したが、今季1年契約で臨んだ中で結果を残すことができなかった。
後任監督として最有力候補に挙がっているのが、2軍監督を務める池山隆寛氏だ。現役時代は「ブンブン丸」の愛称で親しまれたヤクルトのスター選手で、引退後もヤクルトや楽天で指導経験を積んでいる。2020年からファームを率いており、チームの選手を熟知している。他にも、DeNAの監督を務めたアレックス・ラミレス氏の名前も候補に挙がっている。
編成トップも交代、新GMには青木宣親氏が就任へ
現場トップの交代と同時に、編成のトップも刷新される。2020年から球団初のGMを務めてきた小川淳司氏も任期満了で退任する。長年スカウトや監督としてチームを支え、GMとして高津監督と共に連覇を成し遂げたが、近年の編成面のトップとして責任を痛感していた。退任は12月末となるが、10月23日のドラフト会議など、年内の編成業務は全うする。
後任のGMには、今季からGM特別補佐を務めてきた青木宣親氏が昇格する。球団幹部も「そのままGM職を担ってもらうのが自然な流れ」との考えを示しており、シーズン終了後にも正式に就任を要請する方針だ。青木氏は小川GMをサポートしながら編成業務を学び、7月には元阪神・青柳の獲得に尽力するなど手腕を発揮。日米通算2730安打を記録したレジェンドが、「ミスタースワローズ」としてチーム再建の舵を取る。
オーナー代行・衣笠氏の逝去、投手中心の方針も変更か
東京ヤクルトは2017年に村上宗隆選手をドラフト1位で指名して以降、2018年から2025年まで7年連続でドラフト1位指名は投手だった。今年2月に球団会長CEOでオーナー代行だった衣笠剛氏が逝去された。フロントとして高校生中心の補強や、高津監督による投手中心のチーム作りの方針を策定し、積極的にチーム作りに関与をしていた。
監督、GM、そして現球団社長オーナ代行の林田氏により、新たな球団のビジョンが示されることになるが、主力打者の山田選手がベテランとなり、村上選手のメジャー移籍が確実視される中で、野手中心のドラフトに方針をかえる可能性が高いのではないかと見られる。
これまでの体制、方針であれば健大高崎の石垣元気投手か青山学院大の中西聖輝投手、という1位指名が予想された。今年のドラフト会議まで小川GMが指揮を取るとしても、新監督や次のGMの意見が反映されることは間違いなく、創価大・立石正広選手などの野手1位指名の可能性もかなり出てきたと思う。あとは1位指名で競合してでも指名をするのかなども注目される。
池山 隆寛(いけやま たかひろ) プロフィール
- 生年月日:1965年12月17日(59歳)
- 出身地:兵庫県
- 経歴:市立尼崎高から1983年ドラフト2位でヤクルト入団。強打の内野手として活躍し、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞1回。通算304本塁打。引退後は楽天、ヤクルトでコーチを歴任し、2020年からヤクルト2軍監督。
青木 宣親(あおき のりちか) プロフィール
- 生年月日:1982年1月5日(43歳)
- 出身地:宮崎県
- 経歴:日向高、早稲田大を経て2003年ドラフト4巡目でヤクルト入団。首位打者3回、盗塁王1回など数々のタイトルを獲得。メジャーリーグでも7年間プレーし、日米通算2730安打を記録。2024年からGM特別補佐を務める。




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