秋季近畿大会は26日に準々決勝が行われ、大阪桐蔭(大阪1位)が天理(奈良2位)を10-0の6回コールドで下し、ベスト4に進出。2年ぶりとなる来春の選抜高校野球大会出場を確実にした。この試合で先発したのは、既にプロのスカウトが追う1年生の最速146キロ左腕・川本晴大投手。6回を2安打7奪三振無失点に抑える完璧な投球で、名門対決を圧勝に導いた。
192cmの「新怪物」、名門・天理を圧巻
前田悠伍、森陽樹、大阪桐蔭にとってこの時期は、中学時代から注目された1年生投手が主戦として投げ、その投球が注目されることが多く、1年生の力でセンバツ出場を決めるという流れがある。そして今年は、192cm95kgの大型左腕・川本晴大投手がその主役となっている。
センバツ出場が懸かる大事なマウンドで、川本投手がそのポテンシャルを存分に見せつけた。天理戦で先発すると、初回に連打で1死一、三塁のピンチを招いたが、相手4番を遊ゴロ併殺に仕留め、冷静に切り抜ける。2回以降は立ち直り、5イニングを無安打に抑え込む圧巻の投球。終わってみれば6回を2安打7奪三振、無失点の完封劇で、春夏通算57度の甲子園出場を誇る天理打線を完全に沈黙させた。
「大事な試合に投げさせてもらって、天理を0点に抑えた。すごく自信になります」。試合後、16歳とは思えない堂々とした口調で、自身の投球を振り返った。
U-15世界一左腕、西谷監督も期待
埼玉出身の川本投手は、中学3年時には侍ジャパンU15日本代表に選出され、W杯で世界一を経験した逸材。恵まれた体格から投げ下ろすスケールの大きな投球は、早くもNPBスカウトの注目を集めている。西谷浩一監督も「まだ荒々しく一生懸命だが、それでもゲームをつくってくれたのが勝因」と、新エース候補の働きに目を細めた。
3年生の思いも背負い、3季ぶり聖地へ
前チームは6年ぶりに春夏連続で甲子園出場を逃し、今春のセンバツでは98年ぶりに大阪勢の出場が途絶えるという屈辱も味わった。新チームには、その悔しさを知る2年生と、新たな才能を持つ1年生が融合。ドラフトで指名漏れした前エースの中野大虎投手らが引退後も打撃投手を務めるなど、チーム一丸で「打倒・天理」を果たした。「桐蔭のプライドとして3季連続は絶対ないぞとプレッシャーをかけてきた」と主将の藤田選手が語り続けてきた。
そして怪物伝説が、歓喜の最後を迎えることも期待される。大阪桐蔭は川本投手のように全国から注目の中学生が集まり、1年時にその高い能力をみせ、ドラフト候補として注目される。そして2年生の春にセンバツで好投を見せ、その才能が輝く。
しかしその後に、さらなる成長をするステップの中で、2年時・3年時にもう一段の成長を見られず、2年春がキャリアハイだったと感じる投手も少なくない。これだけの投手が集まる中で、ただでさえチームの競争にとってベンチ入りできずに、投げられなくなる投手もいる大阪桐蔭には、1年時にみせた力を更に上のステップに引き上げていくことを、特に期待し、お願いしたいところだ。
近年の甲子園では、24年春・健大高崎の石垣投手、佐藤投手、24年夏・京都国際の西村投手、25年春・横浜の織田投手、25年夏・沖縄尚学の末吉投手・新垣投手と、2年生エースがいるチームが全国を制覇しているが、川本投手の大阪桐蔭もその可能性が見え始めている。
川本 晴大 プロフィール
- 氏名:川本 晴大(かわもと はると)
- 所属:大阪桐蔭高校 1年
- 出身:埼玉県飯能市
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:192cm・95kg
- 主な特徴や実績:2027年ドラフト候補。最速146キロの大型左腕。U-15日本代表で世界一を経験。秋季近畿大会準々決勝の天理戦で6回2安打7奪三振の完封勝利を挙げ、来春センバツ出場を当確させた。









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