社会人野球日本選手権は10日、準々決勝が行われ、NTT東日本が都市対抗準優勝の三菱自動車岡崎を破り、2022年以来となる準決勝進出を決めた。今秋ドラフトでヤクルトから6位指名を受けた石井巧内野手(23)が、今大会11打席目にして待望の初安打となる決勝タイムリーを放つなど、2安打1打点の活躍でチームを勝利に導いた。
11打席目の初安打が決勝タイムリー
苦しんでいたバットが、最高の結果を生んだ。「2番・遊撃」で先発出場した石井巧選手は、1-1の同点で迎えた2回2死一、二塁の場面で打席へ。外角の速球に食らいついた打球は、中前へ抜ける決勝のタイムリーヒットとなった。
今大会2回戦まで9打席無安打と快音が聞かれていなかったが、11打席目での待望の初安打が貴重な決勝点。「どんな球を打ったのかも分かんない。とりあえず1本出てよかった」と、塁上でホッとした表情を浮かべた。
この一打で吹っ切れたのか、4回の第3打席では左中間最深部へ達する二塁打を放ち、マルチ安打を記録。「ホームランを何本も打つバッターじゃないんで、チャンスで1本とか、自分がチャンスメイクできるような働きができるようになりたい」と、自身の役割を改めて強調した。
都市対抗を逃した悔しさ、日本一へ
守備では4回に「京セラ特有の芝の特徴」に苦しみ失策を記録する場面もあったが、直後の二ゴロ併殺打で切り抜け、無失点。「デカかったですね」と、守備でもチームの勝利に貢献した。
チームは今夏の都市対抗出場を逃しており、「都市対抗に出場できなかった分、選手権に懸ける思いっていうのは大きい」と、社会人最後となる大会での有終の美を誓う。大会後は、7学年上で「ずっと憧れの存在」だった兄・一成選手(日本ハムからFA宣言)と同じプロの世界へ。まずは日本一の置き土産を手にするため、準決勝に集中する。
石井選手は昨年に打撃のパワーが強化され、社会人2年目の今年のドラフト指名解禁に向けて注目されたが、今年は春先から思うような打撃ができておらず、チームでの都市対抗本戦出場を逃した。鷺宮製作所の補強選手で出場をしたものの、打撃では結果を残せておらず、この日本選手権でも安打は出ていなかった。
この日の左中間へのあたりが、石井選手の最も優れた点で成長した点であると思う。体は大きい訳では無いが、左方向の打球が伸びる。ショートの守備はプロでも一定以上のプレーができると思われるため、この左方向の打球を武器にプロで勝負して欲しい。ヤクルトは2位で、同じ遊撃手の松川玲央選手を指名しており、長岡選手などと激しい内野手争いとなる。
石井 巧 プロフィール
- 氏名:石井 巧(いしい たくみ)
- 所属:NTT東日本
- 出身:作新学院高校 – 中央大学
- ポジション:内野手
- 投打:右投右打
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト6位(ヤクルト)。走攻守のバランスが取れた遊撃手。日本選手権準々決勝で決勝打を含む2安打1打点と活躍し、チームを4強に導いた。兄は日本ハム・石井一成内野手。









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