第56回明治神宮野球大会は17日、高校の部準決勝が行われ、神戸国際大付(近畿・兵庫)が英明(四国・香川)を6-2で下し、初の決勝進出を果たした。勝利の立役者となったのは、左太もも裏を負傷しながらも強行出場した4番の川中鉄平外野手(2年)。3回にバックスクリーンへ突き刺さる先制2ランを放ち、手負いの主砲がチームを初の頂点へ王手をかけた。
左太もも負傷も…執念のバックスクリーン弾
まさに執念の一振りだった。0-0で迎えた3回2死一塁。4番の川中鉄平選手は、フルカウントからの外角直球をフルスイング。打球は神宮のバックスクリーンに直撃する、高校通算16号の先制2ランとなった。「センター方向に打てたのがよかった。持ち味のパワーと飛距離は誰にも負けていない」と胸を張った。
アクシデントとの戦いがあった。川中選手は14日の練習中に左太もも裏を負傷。15日の準々決勝では1打席で交代していた。この日も全力疾走は難しい「80%」の状態で、守備位置を一塁に変更しての強行出場。「もうやるしかない」とテーピングで患部を固定し、決勝弾を放った。ホームインの際は左足を引きずりながらも、主砲の役割を果たした。
ライバル・九国大付 牟礼のアーチに発奮
手負いの4番を奮い立かせたのは、ライバルの存在だった。準決勝前日、同じく来秋ドラフト候補として注目される九州国際大付の牟禮翔選手(2年)がバックスクリーン弾を放つのを目撃。「負けられへん」と刺激を受け、宿舎で治療よりも素振りを続けたという。
チームは今大会2試合で5本塁打と、低反発バットをものともしない破壊力を見せつける。その秘訣は、打球角度を20度以内に抑える「ノーバレル打法」。「ボールを上から見てたたきつける」という意識が、逆に神宮の空にアーチを描かせている。
初の決勝の相手は、奇しくもそのライバル・牟礼選手を擁する九州国際大付との“国際大付対決”となった。「守備からリズムをつくり、チャンスで返す神戸国際大付らしい野球をしたい」。手負いの主砲が、チームを初の秋日本一へ導く。
川中 鉄平 プロフィール
- 氏名:川中 鉄平(かわなか てっぺい)
- 所属:神戸国際大学附属高校 2年
- ポジション:外野手・一塁手
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:2026年ドラフト候補。神戸国際大付の4番。高校通算16本塁打。神宮大会準決勝で左太ももを負傷しながら先制2ランを放った左のスラッガー。







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