ダルビッシュ投手が日本球界を去ることとなった。テキサスレンジャースとの契約がまとまり、今年からMLBでプレーする。
ダルビッシュ投手はアマチュア野球マニアでもあり、アマチュア野球で活躍する選手をチェックするのが趣味だということを聞いたことがある。そんなダルビッシュ投手がドラフト会議で指名された2004年のドラフトを振り返ってみる。
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2004年ドラフト番付 投手編 / 野手編 当時のドラフト番付です!
2004年ドラフト新聞 2004年の1年間のニュースです。ページの下から見ていってください。
2004年は大学・社会人選手に限りドラフト上位2人までを自由に獲得できる自由枠ドラフトの最盛期であり、また最後の年でもあった。また球界では近鉄とオリックスの合併騒動により、1リーグ制移行による球界再編などの動きが盛んだった。新球団東北楽天が誕生したのもこの年だった。
各球団とも自由枠候補の獲得に向けて積極的に動く。注目候補としては明大・一場靖弘、シダックス・野間口貴彦、日大・那須野巧が挙げられ特に一場投手は最速154kmのストレートを軸に大学選手権で完全試合を達成するなど、9球団が獲得を狙った。 しかし6月には巨人が一場、野間口の自由枠での獲得が決まるなど巨人が圧倒的な力を見せた。各球団はもう一人の目玉だった那須野投手獲得に動くが横浜を指名しここで自由枠競争は終わるかに見えたが、巨人スカウトが一場投手に金銭を渡していた事が発覚、当時オーナーだった渡辺恒雄氏が辞任する事件となった。一場投手は在京球団である横浜入りを発表した(もし決まっていたら一場、那須野という自由枠になっていた・・・)が、そこで横浜スカウトも金銭を渡していた事が発覚、翌日には阪神も同様に金銭を渡していた事がわかった。結局一場投手は新球団・東北楽天が獲得した。
その様な動きの中で高校生注目投手だったダルビッシュ投手は150kmをマークしセンバツでノーヒットノーランを達成(相手は熊本工・岩見優輝投手だった)すると、西武、日本ハムがマーク、特に日本ハムは2月の段階でダルビッシュ投手の1位指名を決めていた。その後西武が涌井投手にシフトしていった。
ドラフト指名選手一覧
チーム | 自由枠・1位 | 自由枠・2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 |
横浜 | 那須野巧 日大 |
染田賢作 同大 |
– | 藤田一也 近大 |
岸本秀樹 近大 |
石川雄洋 横浜 |
橋本太郎 大体大浪商 桑原義行 日大 松家卓弘 東大 斉藤俊雄 三菱自動車岡崎 |
オリックス | 金子千尋 トヨタ自動車 |
光原逸裕 JR東海 |
– | 町豪将 JR九州 |
田中彰 法大 |
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広島東洋 | 佐藤剛士 秋田商 |
– | 森跳二 関西外大 |
丸木唯 輪島実 |
小島紳二郎 国士大 |
梅津智弘 國學院大 |
金城宰之左 中部商 田中敬人 JFE西日本 |
千葉ロッテ | 手嶌智 新日本石油 |
久保康友 松下電器 |
– | 竹原直隆 三菱自動車岡崎 |
大松尚逸 東海大 |
木興拓哉 北海道栄 |
青松敬鎔 上宮太子 |
阪神 | 岡崎太一 松下電器 |
能見篤史 大阪ガス |
– | 橋本健太郎 日本新薬 |
大橋雅法 北陽 |
赤松真人 立命大 |
高橋勇丞 済美 辻本賢人 マタデーHS 玉置隆 市和歌山 水落暢明 信太高 |
日本ハム | ダルビッシュ有 東北 |
– | 橋本義隆 ホンダ |
マイケル中村 ブルージェイズ |
市川卓 菰野 |
菊池和正 上武大 |
中村渉 三菱製紙八戸C 鵜久森淳志 済美 工藤隆人 JR東日本 |
読売 | 野間口貴彦 シダックス |
三木均 八戸大 |
– | 亀井義行 中大 |
木村正太 一関一 |
星孝典 東北学院大 |
東野峻 鉾田一 |
福岡ダイエー | 江川智晃 宇治山田 |
– | 高橋徹 横浜創学館 |
中西健太 北大津 |
高橋秀聡 九州共立大 |
加藤領健 青学大 |
定岡卓魔 福岡工大城東 |
ヤクルト | 田中浩康 早大 |
松岡賢一 九州東海大 |
– | 川本良平 亜大 |
上原厚治郎 沖縄電力 |
丸山貴史 愛工大名電 |
|
中日 | 樋口龍美 JR九州 |
中田賢一 北九州市大 |
– | 川井進 日通 |
鈴木義広 中部大 |
石井裕也 三菱重工横浜C |
中村一生 国際武道大 小山良男 JR東日本 金剛弘樹 日通 鎌田圭司 トヨタ自動車 澤井道久 東海理化 普久原淳一 法大 |
西武 | 涌井秀章 横浜 |
– | 片岡易之 東京ガス |
山岸穣 青学大 |
星秀和 前橋工 |
藤原虹気 琴丘 |
|
(新)東北楽天 | 一場靖弘 明大 |
渡邉恒樹 NTT東日本 |
– | 西谷尚徳 明大 |
塩川達也 東北福祉大 |
大廣翔治 東洋大 |
平石洋介 トヨタ自動車 |
ちなみに、一場、那須野を獲得できなかった阪神は現在エースとなっている能見投手を、また千葉ロッテが獲得した久保投手も阪神に移籍している。巨人は野間口を獲得したもののドラフト7位で指名した東野投手が現在はローテーションに入り活躍している。
横浜は一時は一場、那須野を自由枠で獲得しそうになった。一場投手の事件発覚後には同大の染田投手を自由枠で獲得し、4位以降でも藤田一也選手、岸本秀樹投手など他球団が上位で狙っていた選手を横浜を逆指名させて獲得するなどかなり積極的な戦略をしていた。後に那須野投手に5億円の裏金が渡っていたことも発覚している。しかし一場投手、那須野投手ともプロでは活躍できず、自由枠競争によって即戦力投手の評価がインフレ化していたのではないかと思う。
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