夏の甲子園3日目は、各チームのエースが力のあるピッチングを見せた。聖光学院の斎藤郁也投手は今大会初完封、141キロを記録した。
完封一番乗り
聖光学院の斎藤郁也投手はこの日、テイクバックが大きく担ぎ上げるようなフォームから、腕をしっかりと振り切り躍動感のあるフォームで、ストレートは141キロを記録した。また、同じフォームから鋭く沈むチェンジアップを投げ、おかやま山陽打線から12個の三振を奪った。
斎藤投手は昨年の甲子園でも1回戦のクラーク国際戦で2番手として登板し、4回1/3を4安打無失点、準々決勝の北海戦でも3番手で登板し、3回2/3を4安打1失点に抑えた。三振は0だった。その後に右肘を痛め、冬は投げることができず走り込みとトレーニングで体力を強化し、登板再開をした春にチェンジアップを覚えると、今年夏の福島大会では17回を投げて20三振を奪った。
それでも不安はあった。福島大会準決勝の日大東北戦で8回2失点の好投を見せたが、その試合でマメをつぶし、決勝のいわき光洋戦は登板できず、その後は8月に入ってからもなかなか投げることができなかった。ゆで卵の薄皮を患部に貼って保湿効果を高め、皮膚の再生を促すことで何とかこの日の初戦に間に合わせると、9回5安打12奪三振4四死球で完封の快投につながった。
2年生も
聖心ウルスラの184cm右腕・戸郷翔征投手も2年生ですでに143キロを記録し注目されてる。この日もスリークォーターから141キロを記録し、得意のスライダーを決め球に使い、11三振を奪う。9回を投げ切り8安打11奪三振2失点で堂々の完投勝利だった。
バランスの良いフォームで変化球も良くコントロールもある。このまま球速が1ランク上に上がってくれば、来年はかなりの評価を受ける可能性がある投手だと思う。次戦は聖光学院と対戦、斎藤投手と投げ合うかもしれず、結果を残せるか。
綱脇・清水で完封
花咲徳栄は綱脇慧投手が先発し8回を7安打2奪三振無失点、149キロ右腕・清水達也投手が1回をノーヒットで無失点に抑え、完封リレーした。
綱脇投手は大きくて伸びやかなフォームで、球速は139キロながら角度のある球を投げる。角度をつけるためか、テイクバックの後にややぎこちなさもあるものの、昨年よりも大きなフォームになっており好感を持てる。下半身の土台もしっかりしており、下半身の力で投げている。変化球も低めに集めた。今後、将来に向けて大きく成長する投手ではないかとあらためて感じさせた。
また清水投手はこの日は変化球のコントロールに苦しんだ。スプリットを多投したがすべて抜けて頭に死球も与えた。ストレートは145キロ以上の球が多く、最速は148キロ、右バッターの外角低めにも決まり、軌道の素晴らしい真っすぐだった。綱脇投手とは違い、コンパクトなフォームからの力のある球で打者はタイミングを取りづらいが、開き気味な所など今後、直すべき課題もある。
それでもこれだけの力のある球を投げ、こちらも将来が楽しみな投手。
この日はいろいろなタイプの好投手が登場し、それぞれに結果を残した。
初回、いきなり1死三塁のピンチ。それでも「切り替えて向かっていこう」とギアを上げ3、4番をチェンジアップとスライダーで連続三振に仕留めた。これで勢いに乗り、最速141キロの直球に変化球を低めに集め、12三振を奪った。戦後最多の11年連続出場。右腕は昨夏も中継ぎで登板し、今夏は甲子園初先発で結果を残した。
斎藤にとって、岡野祐一郎投手(現東芝)がエースだった2012年から聖光学院は憧れの学校だ。岡野先輩は気迫を前面に出す投球が持ち味。さらに、楽天・則本昂大投手もイメージし「気持ちで押す投球」を常に心掛けている。この日は最速141キロの直球にスライダー、チェンジアップがさえて、5安打4四死球も12三振を奪った。
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