大阪桐蔭で、186cmから最速151キロの速球を投げ、今年のドラフト1位候補として注目される松浦慶斗投手は、10年前の3月11日に、宮城県石巻市で津波に遭っていた。
7歳で被災
松浦慶斗投手は宮城県石巻市に住んでいたが、7歳のときに東日本大震災に遭い、迎えに来た父とともに、目前に迫る津波から逃げて助かった。「そこまで津波がきていた」と話す。バスに乗っていた小学校の友人は津波に流されて亡くなったという。
父は北海高校で2度の甲子園に出場し、社会人野球の日本製紙旭川でプレー、その後、日本製紙石巻へ転勤しており、そこで被災した。震災後、再び北海道へ移住すると本格的に野球を始め、中学時には道NO.1と注目される投手となった。
「野球をやりたくてもできない人もいると思う。みんなの分までというか」と、10年間、その思いを持ってプレーをしてきた。そして今は目前のセンバツ大会初戦に気持ちを集中させている。
初戦の相手は、昨年秋の近畿大会決勝で破れた智弁学園、松浦投手が先発したが、5回4失点で降板している。この日は約100球の投げ込みを行い、「捕手の後ろにもう1人いる気持ち。走者一、二塁の想定で圧をあげ、ピンチでは十二割で」と、ピンチを想定しながら強めの投げ込みを行った。
「同じ相手に2度も負けるわけにはいかない」と話す。センバツ初戦の松浦投手の投球に、みんなが注目をする。
2019年に千葉ロッテに1位指名された佐々木朗希投手が、小学生の時に陸前高田市で津波に遭い、父親などを亡くしているが、多くのものを持って野球をしてきた選手が、様々な思いを胸にプレーをしている。
7歳のとき、宮城県石巻市で被災した。自宅は無事。通学路に迎えに来てくれた両親のおかげで自身も無傷だったが、バスに乗った友人がそのまま流され亡くなった。眼前まで押し寄せた濁流は、今も脳裏に焼き付いて離れない。
決戦の日まで精神力を高め続ける。西谷監督が見守る前で約100球。ブルペンで松浦の投球練習に力が入る。
「捕手の後ろにもう1人いる気持ち。走者一、二塁の想定で圧をあげ、ピンチでは十二割で」
昨秋の近畿大会決勝で3-7で敗れた智弁学園との初戦。5回4失点で降板した二の舞はご免だ。

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