今夏の甲子園に出場した仙台育英からは、最速147キロ左腕・吉川陽大投手(3年)がプロ志望届を提出し、10月23日のドラフト会議を待つ。須江監督も吉川投手のポテンシャルを評価し、伸びしろについて語った。
中学では無名の存在
吉川陽大投手は広島で生まれ、横浜市で育つ。小学校3年の時に茅ケ崎エンデバーズで野球を始め、茅ケ崎中時代は横浜都筑シニアでプレーをしたものの、それほど目立つ存在ではなかった。しかし仙台育英の須江監督が他の選手を視察する機会に吉川投手を見て、そのポテンシャルを見出した。父は元バレーボール女子日本代表監督の吉川正博さん、母も元バレーボール日本代表の吉川博子さんで、その潜在能力は高かった。
そして仙台育英では須江監督が 「2年生の春くらいまでは僕らが想像したよりも早いスピードで成長していました。」と話すように急成長を見せたという。そして2年の夏には「吉川が投手陣の中心の1人として活躍する予定でやっていたんですけど、夏が近づくにつれてパフォーマンスが落ちてしまった。」と話し、「最上級生になった秋も背番号1を付けてはいましたが、本当の意味での信頼を得ていたわけではなかった。昨年の10月時点ではそのような状況でした」と話す。
それでも、そこから再び急成長を見せると、最速147キロを記録するようになり、鋭いスライダーを投げるようになった。毎年140キロを越す球を投げる投手が数人出てくる仙台育英で背番号1をつけるだけでも素晴らしい能力だが、今夏の甲子園でも鳥取城北戦で9回5安打12奪三振完封、開星を7回途中4安打9奪三振自責点1で勝利すると、沖縄尚学戦では延長11回までを一人で投げて10安打10奪三振、タイブレーク前の9回まで3失点と優勝したチームに好投を見せた。
「今が買い」の伸びしろ
吉川投手の良さについて須江監督は、「ストレートと同じ腕の振りで変化球を投げられることですね。言葉で言うのは簡単ですが、投げた瞬間に変化球だと思われないことが大事」と話し、ストレート、カットボール、スライダー、チェンジアップ、カーブを同じフォームから投げ分けることができる。「これは特殊能力ですよ。プロに行く理由になると思いますね」と評価する。
また吉川投手は175cm73kgと、近年の注目高校生投手の中では体が大きくない。例えば昨年のドラフト会議でオリックスに3位で指名された仙台育英の先輩・山口廉王投手は193cm95kgの体があった。須江監督はそれについて、
さらに須江監督は、吉川投手の将来性について 「実は吉川の測定された筋力、ジャンプ力などの数値はまだ高校3年生のレベルに到達していない。身体能力的にはまだ高校2年春くらいの数値しかないんです。それでも投手として高いパフォーマンスが出せているので、プロの食事、トレーニング環境に入ったら大きく成長を期待できる。仮に大学進学を選んだ場合のドラフト候補になるタイミングには1位指名を狙える素材だと思います。」と話し、その高いポテンシャルを評価する。
そして「大学に進学して4年後にドラ1を目指すこともいいと思いましたが、彼は高卒でプロに行きたいと。変な言い方ですし、僕の言うことではないかもしれませんが、今が買い。彼には数字に裏付けされた、根拠のある伸びしろがあるんです」と話した。
国スポで最後のアピールへ
ご両親がバレーの日本代表選手で、175cm73kgという体は逆に意外という感じもするだろうが、肉体的な質の高さはあるのは間違いなさそうで、少なくとも体重が80kgを越すくらいになったときには、まず150キロは確実に出ているだろう。その上で、変化球を同じ振りでできていれば、非常に魅力的な投手となる。
仙台育英は月曜日(29日)に国民スポーツ大会の初戦で日大三と対戦する。その時の吉川投手の投球が非常に注目される。
吉川 陽大 プロフィール
- 氏名:吉川 陽大(よしかわ あきひろ)
- 所属:仙台育英高校 3年
- 出身:神奈川県横浜市(広島県生まれ)
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:175cm・73kg
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト候補。最速147キロ。ストレートと同じ腕の振りで多彩な変化球を操るのが武器。父は元バレーボール女子日本代表監督の正博さん、母も元日本代表の博子さんというアスリート一家。

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