3日間行われた侍ジャパン大学代表選考合宿の評価をしてみる。今日は投手編です。野手編はこちら。
代表選出投手
代表に選出された投手については、まず危なげなく選ばれると思ったのは東洋大・細野晴希投手と青山学院大の常広羽也斗投手、明治大の村田賢一投手の3人。
細野投手は紅白戦の初戦に先発し、余裕を持ったフォームから153キロを記録、2回を1安打4奪三振1四球で無失点に抑えた。すべてにおいて問題なしという評価ができた。また、紅白戦の表の最後に登板した常広投手は、一人だけ1イニングのみの投球となり、大学野球選手権での疲れが考慮されたのではないかと思うが、選手権のあの投球でもう合格だったと思う。紅白戦でも152キロを記録し1回1安打1奪三振無失点だった。
村田投手はリーグ戦では140キロ前半の球でコントロールよく投げる投球が持ち味だが、紅白戦では2回のみとあって150キロを記録、140キロ後半を連発した。今合宿で一番驚かされた投手だった。持ち前の制球も素晴らしく、インコースへのストレートと動く球も良かった。
この他では下村海翔投手も最速は151キロを記録し、2回をパーフェクトに抑えた。ストレートの強さだけでなく左右に曲がり、球速差もつけられる多彩な変化球をコントロールして投げ、全く危なげない投球だった。ただし、ストレートを狙って強く振ってくるアメリカの打者にどんな投球をするか注目したい。
名城大の岩井俊介投手はストレートはすべて150キロ台を記録して最速は153キロ、前日のブルペン投球でも2700回転を記録するが、ストレートの回転の良さはあまり感じられず、軸の方向が良くないのかもしれない。それでもスライダーの曲がりが大きく、スイーパーと言って良さそう。この球が必殺球となるがフォークも試したかったと話し、日米大学野球ではリリーフで重宝されそうだ。
大商大の上田大河投手は昨年の代表も経験しており、選ばれる可能性の高い投手だったが、12月の合宿の調子が良くなく、今回はそれだけが確認したかった。最速は150キロ、2回1安打1奪三振無失点、スプリットで空振り三振を奪っており、日米大学野球ではこの球が多くなるかもしれない。
亜細亜大の草加勝投手は最速146キロで2回3安打も無失点、内容は良くなかったものの、得意の沈む球に緩いカーブも使い、あとはリーグ戦での安定感が評価されたと見られる。九共大の木村仁投手は150キロを記録し2回ノーヒット3奪三振1死球で無失点、肘をあまり使わない投げ方がやや課題かなと思ったが、結果でねじ伏せて代表入りを勝ち取った。リリーフで期待される。明治大の蒔田稔投手は2回をノーヒット投球、最速は147キロだが腕の振りが速く、フォームとのギャップがある。それを活かしたいのと、気持ちの強さが魅力。
神奈川大の古謝樹投手はホームランを浴びるなど2回2安打3奪三振2失点だったものの、151キロの速球と緩急をつけたカーブなど、左腕投手としても良い特徴がある。国学院大の武内夏暉投手は2回2安打2奪三振1失点、最速は148キロだったがリーグ戦よりもキレが無く、変化球も対応されていた。調子が戻れば細野投手に次ぐ2番手の左腕として期待できる。
代表漏れ組
中央大の西舘勇陽投手は最速151キロを記録し、2回2安打1奪三振で無失点に抑えた。強いストレートで見逃しのストライクを取るなど良い球もあったが、所見の打者に強くスイングされて、痛烈なピッチャー返しや、打ち取った当たりも外野の奥深くに良いあたりをされており、アメリカの打者に狙われると考えられたかもしれない。また、決め球となる変化球も課題となりそうだ。
名城大の松本凌人投手は、オーソドックスなサイドスローになっており、2回ノーヒット2奪三振でパーフェクト投球、最速は149キロを記録した。良い状態に戻ってきたと思われ、変則フォームもあり選ばれるかと思ったが、春のリーグ戦の成績が影響したのか、またはチームメイトの岩井投手が選ばれた事が影響したかもしれない。
専修大の西舘昂汰投手は長身からの149キロの球に威力があり、2回1安打1奪三振、多彩な変化球も投げるなど器用な所を見せたが、まだ素材型という印象を感じさせた。法政大の篠木健太郎投手は155キロを記録するも制球に苦しんで4四球3安打で3失点、力みがあり独り相撲となってしまった。
平成国際大の冨士隼斗投手も149キロを記録し2回1安打も三振は奪えず、昨年春のストレートが威力があり、今回はやや調子をあわせてこられなかったか。星槎道都大の滝田一希投手も左から150キロを記録し2回をノーヒット1奪三振。アウトコースの球が強く、時折くるインコースの球が打者にとって怖そう、チェンジアップが決め球となるがその精度を高めたい。こちらも素材型という印象が残った。
東北福祉大の北畑玲央投手、白鴎大の松永大輝投手はやや力を見せられなかった。
代表入りした選手が漏れた選手よりもドラフト会議における評価で上ということはないが、日米大学野球やU18代表との試合でアピールするチャンスが増える事になる。ただし、代表入りした選手は秋のリーグ戦に影響が残ることもあり、その点は注意が必要だ。
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