186cm85kgの大型左腕で最速152キロを記録する明治大の久野悠斗投手(4年=報徳学園)は、昨年4月に左肘のトミージョン手術を受け、今秋のリーグ戦に復活をかけるドラフト候補の一人。この日は東都の覇者・青山学院大とのオープン戦に先発すると、5回を無安打1四球に抑える完璧な投球を披露し、秋の復活に向けて先発ローテーション入りへ大きく前進した。
王者・青学大を手玉に取る圧巻の投球
復活を期す左腕が、その存在感を強く示した。東都大学リーグ5連覇中の強豪・青山学院大を相手に、久野悠斗投手は圧巻の投球を見せた。当初は4回の予定だったというが、「感じが良かったのでもう1回行かせてもらいました」と、自ら続投を志願。終わってみれば5回を投げ、許した走者は四球の一つのみ。外野へは一本の打球も飛ばさせず、奪った15個のアウトのうち11個が内野ゴロという、打たせて取る見事な投球術を披露した。
球数もわずか50球と、省エネ投球で試合を作った久野は、「変化球中心だったけどカーブ、チェンジアップ、スライダーがしっかり投げられた。ストレートのスピードはまだまだですが、指に掛かったら出る感覚をつかめました」と確かな手応えを口にした。
久野投手は報徳学園で大型左腕として注目されるも、1学年上の坂口翔颯投手(2024年横浜DeNAドラフト6位)や、同学年の田村剛平投手(京都産業大)などとともに切磋琢磨していたが、2020年は新型コロナのために夏の大会が中止となっていた。
明治大に進学すると、1年目の秋にリーグ戦デビューし、13イニングを投げて15奪三振という威力を見せた。2年秋には7試合に登板して最速152キロに到達した球威を見せ、次世代の明治のエース候補として注目されたものの、肘の故障により離脱、3年4月にトミー・ジョン手術を受けた。
1年間と言われるリハビリ期間で、今春の復帰が期待されていたが、春のリーグ戦では登板がなく、大学最後のシーズンとなるこの秋に向けて調整を進めている。
激化する先発2番手争いへ
9月20日の東京大学戦で秋季リーグ戦の開幕を迎える明治大学。1回戦の先発は春のリーグ戦で6勝を挙げ、侍ジャパン大学代表でも活躍を見せた毛利海大投手(4年=福岡大大濠)で決定しているが、2回戦の先発は同じく復活を目指している高須大雅投手(4年=静岡)、大室亮満投手(2年=高松商)などが争う激戦区となっている。
この日の快投で久野投手が2番手として急浮上。明治大は強力な左の2枚看板で優勝を目指す可能性が高くなった。久野投手も「最後のシーズンなので走り抜けたい」と語り、覚悟を示すシーズンとなる。
久野 悠斗 プロフィール
- 氏名:久野 悠斗(ひさの ゆうと)
- 所属:明治大学 4年
- 出身:報徳学園高校
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 主な特徴や実績:2024年4月に左肘のトミージョン手術。リハビリを経て、2025年9月11日の青山学院大学とのオープン戦で5回無安打1四球の好投を見せ、完全復活をアピール。秋季リーグ戦での先発ローテーション入りが期待される。

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