明治神宮野球大会の準決勝が11月18日に行われ、46年ぶりの決勝進出を目指した名城大学(北陸・東海三連盟)は、立命館大学に0-1で惜敗し涙をのんだ。しかし、この敗戦の中で強烈な輝きを放ったのが、最速153キロを誇る2年生右腕・天野京介投手(2年・愛産大工)だ。ビハインドの場面で登板し、圧巻の奪三振ショーで全国にその名を轟かせた。
0-1のビハインドで魅せた「3者三振」
0-1で迎えた8回、天野京介投手がマウンドに上がった。「名城は9回最後の攻撃まで諦めないので、打線につなげる投球をすることだけを考えていました」。その言葉通り、気迫の投球でスタジアムをどよめかせた。
先頭打者には11球粘られたものの、最後は自慢の直球で空振り三振。続く打者も139キロの沈む変化球で空振り三振に切って取った。3人目こそ四球で歩かせたが、4人目の打者も空振り三振に仕留め、この回のアウトすべてを三振で奪う快投を見せた。この日の最速は148キロ。自己最速の153キロには及ばなかったものの、キレのあるボールで相手打線をねじ伏せた。
全国に刻んだ「名城大のエース」としての矜持
天野投手は15日の初戦・杏林大戦でも先発し、7回1/3を2失点と好投。今大会通算で四球はわずか1つと、球速だけでなく高い制球力も証明した。
試合後、「監督さんと4年生を優勝させられなかったことが、悔しいです」と唇を噛んだ天野投手。「チームのエースという立場。責任は果たせたのかなとは思った」と振り返りつつも、決勝進出を逃した責任を背負い込んだその姿は、来年以降のさらなる飛躍を予感させた。
恩師・安江監督のラストゲームに涙
この試合は、今大会限りでの退任を表明していた安江均監督にとってのラストゲームとなった。天野投手にとって安江監督は、野球の技術だけでなく人間としての在り方を教えてくれた恩師だ。
「私生活やプレーしているときの所作をずっと言われていた。切り替えること、自分が落ち込んだときの周りへの対応をものすごく言ってもらい、いっぱい助けてもらいました」
涙ながらに感謝を語った天野投手。恩師から受け継いだ「人間力野球」の精神を胸に、剛腕はまた一つ大きくなって神宮のマウンドに帰ってくるはずだ。
天野京介 プロフィール
- 氏名: 天野 京介(あまの・きょうすけ)
- 所属: 名城大学(2年)
- 出身: 愛知産業大学工業高等学校
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 主な特徴や実績: 最速153キロの直球を武器にする本格派右腕。名城大では下級生の頃から主戦として活躍。2年生ながら全国大会で堂々たる投球を見せ、来年以降のドラフト候補としても注目を集める。








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