沖縄尚学が悲願の夏初優勝、2年生Wエースが導いた琉球旋風で15年ぶり深紅の大旗が沖縄へ

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第107回全国高校野球選手権大会は決勝が行われ、沖縄尚学(沖縄)が日大三(西東京)に3-1で勝利し、創部初の夏の甲子園制覇を成し遂げた。沖縄県勢としては2010年の興南以来15年ぶり2度目の快挙。大会前から注目投手として名前が挙がっていた2年生エース左腕・末吉良丞投手と、今大会で成長を見せた2年生右腕・新垣有紘投手が一気に日本一へと駆け上がった。

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2年生Wエースが“強打の三高”を封殺!

決勝のマウンドを託されたのは、背番号10の2年生右腕・新垣有紘投手だった。比嘉監督も「一番状態がいい投手」として迷いなく選んだ。

「一番楽しかった」と語る聖地の決勝マウンドで、7回2/3を6安打1失点と堂々たるピッチングを披露。初回に先制を許すも、得意のスライダーを中心に討ち取っていく。さすがにこれまでの疲労が見て取れ、さらに右足ふくらはぎに違和感も感じていたという、いつものような下半身と体幹で投げるのではなく、上体の力を使っておりやや投球に力みやブレも見られた。それでも、武器となったスライダーは日大三の強打線を封じた。粘りの投球で強打線に追加点を許さなかった。

そして8回2死一塁、満を持してエースの末吉良丞投手がマウンドに上った。「ここからは任せろ」と新垣投手に声をかけた。9回には1死一、三塁のピンチを招くも、最後の打者をスライダーで遊ゴロ併殺に仕留め、ゲームセット。その瞬間、いつもはポーカーフェイスの笑わない男が、両手を突き上げ感情を爆発させた。「夏の舞台で最後に自分が投げているのは、入学前から想像していた。それと重なってうれしい」。最高の景色を、最高の仲間と分かち合った。

世代No.1左腕の右腕へ

今大会、末吉投手の名は全国に轟いた。初戦の金足農戦での14奪三振無四球完封を皮切りに、全6試合に登板。34イニングを投げ防御率1.06、39奪三振と圧巻の成績を残した。その活躍が認められ、大会後には2年生で唯一、U-18高校日本代表に選出。「沖縄県民や日本の思いを背負いながらプレーしたい」と、世界の舞台での活躍を誓った。

その成長の裏には、今春センバツでの悔しさがあった。横浜との2回戦で打ち込まれた経験から、「全国で戦える球がない」とスライダーに磨きをかけた。プロの平均を上回るという回転数を誇る宝刀が、聖地で面白いように決まった。元ヤクルトの宮本慎也氏も「大会NO.1ピッチャー。このまま順調にいけば、ドラフト1位の可能性は高い」と絶賛した。

新垣投手も来年のドラフト候補として注目される存在となった。センバツでは横浜戦で先発に抜擢されたものの、阿部葉太選手に一発を浴びるなど1回3失点で降板した。その後、ストレートの強さとともに父親から教わったというスライダーを磨き上げたが、沖縄大会では、それぞれの球は素晴らしかったが、それぞれがまだバラバラな感じで失点もしていた。

しかし甲子園でそれがつながった。2回戦の鳴門戦で先発すると、初回に二塁打と四球などで1アウト2,3塁のピンチとなり、沖縄大会と同じように良いたまを投げても失点するかと思われたが、このピンチを無失点に抑えて勢いに乗った。この試合は5回を投げて4安打8奪三振無失点に抑えると、東洋大姫路戦で6回2安打7奪三振1失点、準決勝の山梨学院戦はリリーフで登板し、3回1/3を投げて2安打5奪三振で無四球で無失点、そして決勝で先発し7回2/3を投げて6安打4奪三振1失点、疲労により普段の投球ではなかったが、新たな一面を見せる投球となった。

末吉投手は来年のドラフト1位指名は、よほどの事が無い限り、間違いない所にいると思う。そして新垣投手は今大会で一気に駆け上り、来年は織田翔希投手や市和歌山の丹羽涼介投手、山梨学院の菰田陽生投手とライバルになってくる可能性を見せた。

戦後80年、沖縄に届けた希望の光

沖縄にとって、特別な夏だった。戦後80年という節目の年。沖縄尚学の比嘉公也監督は、「巡り合わせの年に出場させていただいた。こういう大会があること自体、平和だからできている。とにかく沖縄が高校野球を通じて盛り上がってくれたら一番いい」と語る。準決勝の日には那覇の街から人が消え、決勝へ向かう飛行機は臨時便が10分で完売したという。

その期待を背負い、ナインは躍動した。4番の宜野座恵夢捕手(3年)は決勝で決勝打を含む3安打2打点の大活躍。阪神ファンで、梅野隆太郎捕手に憧れる男が、聖地で最高の輝きを放った。父が果たせなかった甲子園の夢を、兄弟で叶えた新垣有絃・瑞稀選手。そして、チームをまとめ上げた選手たちが、沖縄に15年ぶりの深紅の大優勝旗を持ち帰る。

末吉良丞投手 プロフィール

  • 氏名:末吉 良丞(すえよし りょうすけ)
  • 生年月日:2008年11月18日
  • 出身地:沖縄県浦添市
  • 経歴:仲西ヴィクトリーBBC(仲西小2年) – 仲西中学校(軟式野球部) – 沖縄尚学高校(2年)
  • 投打:左投左打
  • 身長・体重:175cm・89kg
  • ポジション:投手
  • 主な特徴や実績:最速150キロを誇る2年生左腕。2025年夏の甲子園で沖縄尚学を初優勝に導き、胴上げ投手に。大会後、2年生で唯一U-18高校日本代表に選出された。今大会6試合に登板し、防御率1.06、39奪三振。愛称は「ポポ」。

新垣有絃投手 プロフィール

  • 氏名:新垣 有絃(あらがき ゆいと)
  • 所属:沖縄尚学高校(2年)
  • ポジション:投手
  • 投打:右投
  • 主な特徴や実績:2年生右腕。2025年夏の甲子園決勝で先発し、7回2/3を1失点と好投。今大会4勝を挙げ、防御率0.82。兄・瑞稀選手も同校野球部に所属。名前の由来はダルビッシュ有投手。
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この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

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