侍ジャパンU18代表は、初戦で格下と見られていたスペインに7回まで2点のリードを許す展開だったが、8回に集中打で逆転し4-2で勝利した。
守備と運
野球の国際ランキングでは、トップを走る日本に対しスペインは26位で、今大会の出場国では最下位だった。かなり粗い野球になるかと思われたが、事前の調査では守備の良いチームと分析されていた。その通り、内野陣の守備は堅く、高い身体能力と合わせたプレーを見せた。
侍ジャパンは4回、ランナー1,2塁の場面でライトへの大きな飛球を、横山陽樹選手が強い風の影響もあって目測を誤り2点タイムリー3ベースヒットにしてしまう。対するスペインは7回にランナー、1,2塁で武岡龍世選手のライナーの打球をレフトがダイビングキャッチし得点を防いだ。
しかし侍ジャパンは先発の池田陽佑投手も5回まで2失点の好投を見せていたが、6回から前佑囲斗に交代すると、野手の守備にもリズムの良さが現れる。そして8回、抑えられていたスペインの先発・ルナ投手が交代すると、一気に力を見せた。興南高校で4番も打つ宮城大弥選手が代打で登場すると、高く弾んだショートへの内野安打で出塁し、森敬斗選手がセカンドゴロに倒れるも、2番・坂下翔馬選手がセーフティーバントを試み、タイミングはアウトだったが、捕手の送球が高く外れてセーフとなった。
そして3番・韮澤雄也選手がセンターにはじき返して1点を奪うと、4番・石川昂弥選手がレフト線に痛烈な打球を打ち同点に追いつく。そして遠藤成選手の左中間へのタイムリー2ベースヒットで走者一掃し4点を奪った。9回は飯塚脩人投手が締め、4-2で勝利した。
序盤は痛烈な三塁線の当たりもファウルになり、スペインの打球は良い所に飛んでいた。しかし終盤に坂下選手のセーフや石川選手の打球がフェアに入り、ようやく運も味方につけた。
この日も多くの球団が日本からスカウトを派遣し、首脳クラスも視察をしているが、巨人の長谷川スカウト部長も視察をした。高校の後輩でもある遠藤選手の打撃について「W杯という舞台で、タイミングが合ったら積極的に振っていけるのは、打者として大事なこと。金属バットとスイング軌道もそんなに変わらない」と話し評価をした。
追い込まれて、打者がどんな打撃をするのか、投手がどんな球を投げるのか、U18W杯の舞台は夏の選手権の戦いと共に、選手のそのようなものが見られるので、最後の判断材料の一つになる。
大きな勝利
格下に苦戦したという事も言えるが、0-2と劣勢だった8回に逆転をしたという事は、非常に大きい。今後も同じような展開を迎えても、焦りだったり、あきらめムードというようなものにはならず、「終盤に逆転した」という事が大きな自信になる。
今年の侍ジャパンU18代表は奥川投手が疲労のため万全ではなく、しかもエースとして期待されていた佐々木投手まで血マメの影響で登板できる状態になっていない。大きな試練を抱えての1次ラウンドとなっているが、ここで勝利をすれば、スーパーラウンド、そして決勝には大きな自信と力を得て戦えるようになる。苦しみながら1次ラウンドを突破できれば、今度こそ優勝が見えてくるのではないかと思う。
打線について
苦しんだものの、侍ジャパンは3番、4番、5番のタイムリーという最高の形で得点を奪った。序盤に韮澤選手が2ボール0ストライクから高めの球を打って内野ゴロになったり、4番の石川選手が甘目のストライクの球を2つ見送って、ボール球で空振り三振をしたときにはどうしようかと思ったが、それでも韮澤選手は7回にうまく内野の頭を越える打球を打ち、石川選手は4回に風が無ければホームランの大きなレフトフライを打っている。ようやく持ち味を見せ始めてきた。
1番の森選手はヒットこそなかったが、2つの四球を選んだ。2年生の横山選手は3ベースヒットにしてしまったプレーや、打撃でも内野ゴロと見逃し三振に倒れ、8回は代打を送られた。今日は横山選手の日ではなかったが、これをバネに今日の南アフリカ戦で調子を取り戻し、1日のアメリカ戦に挑んでゆきたい。
コメント