夏の甲子園でドラフト指名を掴んだ選手たち

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夏の甲子園はドラフト会議とかなり密な関係にある。昨年のドラフト会議でも、星稜の奥川恭伸投手は夏の甲子園で154キロの速球と精度の高い変化球で準優勝の活躍を見せ、2018年も金足農の吉田輝星投手が素晴らしいストレートで準優勝に輝き、ドラフト会議では1位指名の栄冠を勝ち取った。

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集大成

プロのスカウトはもちろん、甲子園だけをチェックし、甲子園に出場した選手だけを指名しているわけではない。全国各地で試合や練習試合をくまなくチェックし、足を使って選手を探している。

しかし、甲子園はそのスカウティング活動の集大成の場ともいえる。自らがチェックした選手が大舞台でどのようなプレーを見せてくれるのか、大勢の観客の前で、毎日が大舞台ともいえる環境でプレーするプロ野球選手になるためには、甲子園での活躍はスカウトにとって、球団に推薦するための最後の一押しとなるし、甲子園ではスカウト部長や他の地区のスカウトにその選手をお披露目する舞台ともなる。

そうすると、必然的に甲子園に出場した選手が最終的に推薦を受け、ドラフト会議で指名される事になる。昨年、阪神が「甲子園に出場した選手した選手ばかりを指名した」と言われたが、高校生を獲得する上で、甲子園でプレーをすることはやはり有利だ。

ドラフト1位指名となった選手

昨年のドラフト会議で3球団が1位指名で競合した星稜の奥川恭伸投手、もちろん甲子園に出場できていなくても、154キロの速球と抜群の変化球を投げるこの投手は、ドラフト1位で間違いなく指名されていたであろう。しかし、奥川投手の場合、高校2年生春のセンバツから甲子園に登場し、その夏に2年生ながら150キロを記録すると、3年春は履正社相手に驚異的なピッチングを見せ、3年生の夏に全国準優勝を果たした。智弁和歌山戦での14回23奪三振のピッチングは記憶に新しい。奥川投手は甲子園と共に成長し、ドラフト1位で競合する選手となった。

ただし、3年夏の甲子園に限定すると、やはり2018年の金足農・吉田輝星投手が印象的だろう。吉田投手は注目投手には挙がっていたものの、3年生の春の時点ではドラフト上位にも名前の挙がる選手ではなかった。しかし、最後の夏、秋田大会で140キロ後半の速球と鋭いスライダーで好投を続けると、夏の甲子園でも準決勝までを一人で投げぬき、ストレートの質の高さにスカウトも目を見張った。決勝戦で力尽きたもののその投球は評価を抜群に上げ、進学を視野に入れていた本人の進路も変えてドラフト1位で指名された。

2017年の広陵・中村奨成選手もそうだ。夏の前の時点で、強打と強肩の捕手として注目選手として挙げられていたものの、夏の甲子園では大会新記録の1大会6本塁打を放ち、ディフェンス面でも抜群のフットワーク、フィールディング、強肩を見せ、ドラフト会議では広島と中日がドラフト1位で競合した。

2016年は特に印象深い。ドラフト会議では創価大の田中正義投手の注目度が高く、何球団が1位指名してくるかが注目されていたが、ふたを開けてみると、1位指名3番目の東北楽天が横浜高の藤平尚真投手を指名すると、東京ヤクルトが履正社の寺島成輝投手を続いて指名し、その次の埼玉西武が作新学院の今井達也投手を指名した。

藤平投手と寺島投手は元々評価は高かったものの、夏の甲子園が最後の一押しとなった。そして今井投手は夏の大会前まではチームでもあまり投げていない選手で、栃木大会でも主戦として投げているわけではなかった。しかし、夏の甲子園で152キロを計測し、インコースへの強い球で甲子園を制覇し、ドラフト1位指名の栄冠をつかんだ。最後の夏の甲子園がなかったら、ドラフトでの指名があったかどうかわからなかった。

最後の夏にプロ入りを掴む

2019年の指名選手を見て見ると、佐々木朗希投手や森敬斗選手、紅林弘太郎選手のように甲子園に出場が無くても高く評価されて指名された選手ももちろんいるが、阪神2位の履正社・井上広大選手、阪神5位の中京学院大中京・藤田健斗捕手、東北楽天7位の明石商・水上桂捕手は最後の夏の甲子園での活躍が、ドラフトの指名に大きな影響をしたのだと思う。

また東北楽天ドラフト2位の智弁和歌山・黒川史陽選手、横浜DeNA4位の智弁和歌山・東妻純平選手は5回出場した甲子園で1年生からの成長を見せ続けたし、広島4位の花咲徳栄・韮澤雄也選手、巨人5位の星稜・山瀬慎之助選手、東京ヤクルト6位の八戸学院光星・武岡龍世選手も甲子園に出場する事で成長をした選手だと思う。

甲子園はプロ野球選手のゆりかごのような存在といえる。春、そして夏の甲子園が失われようとしている今年、ゆりかごの無い中で子供はどこで成長ができるのか。高校生は子供ではない。たぶん別の場所を見つけ、立派に成長をしていくのだと思いたいが。

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