全国高校野球選手権群馬大会では健大高崎が前橋工業に7-0で8回コールド勝ちし、ベスト8進出を決めた。この試合で、昨春のセンバツ優勝の原動力となった二枚看板、石垣元気投手(3年)と佐藤龍月投手(3年)が、昨夏の群馬大会決勝以来となる公式戦での継投を披露。石垣投手が自己最速に迫る155キロをマークすれば、佐藤投手も左肘のトミー・ジョン手術から復帰し自己最速タイの147キロを計測。盤石の布陣が整ったことを、ネット裏に集結した8球団のスカウトに見せつけた。
アクシデント乗り越え…石垣元気投手、圧巻の155キロ!
エースナンバー「1」を背負う石垣元気投手が、圧巻の投球で夏の初戦を締めくくった。8回にマウンドに上がると、初球から152キロを計測。続く打者の2球目には、今春のセンバツで記録した甲子園最速タイに並ぶ155キロを叩き出した。1イニングを無安打2奪三振無失点。「まだまだ、いい投球はできると思う。球速はもっと上げられる」と、160キロ到達も視野に入れる剛腕は、余裕の表情を見せた。
実はこの日、試合前にアクシデントに見舞われていた。佐藤投手とのキャッチボール中、ボールが股間に直撃。「当たった瞬間、意識が飛びそうで、本当に痛かったっす」と、一時は登板回避も検討されるほどだったが、「マウンドに上がったら痛みはなくなった」と、気迫のピッチングを披露した。その投球に、広島の高山スカウトもその成長に舌を巻いた。
広島・高山スカウト:「力感のないフォームで投げられるようになり、ボールを前で離すことができている。それにより、変化球を自在に操れるようになった」
357日ぶり公式戦、佐藤龍月投手は涙の復活マウンドで147キロ
「いろんな方に支えられて、ここまで来られた。感動しました」。6回、2番手としてマウンドに上がった佐藤龍月投手は、こみ上げる思いを噛み締めながら腕を振った。昨年8月に左肘のトミー・ジョン手術を受け、実に357日ぶりとなる公式戦のマウンド。スタンドからの温かい拍手に背中を押され、盟友の石垣投手からは「龍月が帰ってきたぞ」と声が飛んだ。
先頭打者への3球目、高めに浮いたボールは自己最速タイとなる147キロを計測。最後は145キロのストレートで空振り三振を奪った。後続にヒットを許したものの、1イニングを無失点。手術前からの持ち味である内角へのクロスファイアも健在だった。「1年間、つらい時もあったのですが、その時期を乗り越えてマウンドに立てたことが、すごくうれしい」。その投球に、青柳博文監督も「正直自分としては投球に感動した」と目を細めた。
リハビリ期間のトレーニングで体に力が付き、この日の平均球速は故障前より4キロほど速い約144キロを記録。視察に訪れたスカウトは「以前は切れで勝負するタイプだったが、球に力強さが出てきた」とその進化を認めた。
“両輪”復活で目指すは日本一
昨春のセンバツでは、二人の継投で全国の頂点に立った。その「甲子園Vコンビ」が、最後の夏にそろって帰ってきた。石垣投手は、復活した佐藤投手のブルペンでの投球を見て、「やばいなと。ストレートの威力が数段レベルアップしていて、びっくりしました」と、うれしそうに笑う。互いに刺激し合う二枚看板が、再びチームを日本一へと導く。
石垣元気投手 プロフィール
- 氏名:石垣 元気(いしがき げんき)
- 生年月日:2007年8月16日
- 出身地:北海道登別市
- 経歴:幌別西小1年で軟式野球を始める – 洞爺湖シニア(登別西陵中) – 健康福祉大学高崎高校(3年)
- 投打:右投両打
- 身長・体重:180cm・78kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速158キロを誇る今秋ドラフト1位候補右腕。2025年夏の群馬大会3回戦で今夏初登板し、1回無失点、最速155キロを記録。広島など8球団のスカウトが視察。昨秋の関東大会で2年生史上最速の158キロを計測。
佐藤龍月投手 プロフィール
- 氏名:佐藤 龍月(さとう りゅうが)
- 生年月日:2007年7月13日
- 出身地:神奈川県川崎市
- 経歴:今井西町少年野球部(大戸小1年) – 東京城南ボーイズ(西中原中) – 健康福祉大学高崎高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:173cm・80kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:プロ注目左腕。2024年8月に左肘トミー・ジョン手術を受け、2025年7月19日に357日ぶりに公式戦復帰。復帰登板で自己最速タイの147キロをマーク。2024年春のセンバツでは22回無失点で優勝投手となった。ジャイアンツジュニア、U15侍ジャパン選出経験あり。50メートル走6秒1、遠投115メートル。





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