東京六大学秋季リーグは19日、明治大学が4連覇を狙う早稲田大学を1-0で下し、開幕8連勝の完全優勝で5季ぶり44度目の頂点に立った。今秋ドラフト上位候補の4番・小島大河捕手(4年=東海大相模)が攻守にわたってチームを牽引。エースの毛利海大投手(4年=福岡大大濠)や守護神の大川慈英投手(4年=常総学院)ら、ドラフト候補選手たちが躍動し、宿敵を破っての劇的な優勝を飾った。
攻守の要・小島、4投手を完封リレーに導く
「打てる捕手」として注目される小島大河選手、この日は内野安打1本だったものの、今季は打率.429(リーグ3位)で1本塁打、7打点と4番として8連勝での優勝に大きく貢献した。
そして捕手としての力も見せた。この日は4人の投手陣を巧みにリードし、王者・早稲田打線を完封。は「普段厳しいことを言ってきましたが、神宮では思い切り投げてこいと。打たれたらキャッチャーの責任だから」と投手陣を鼓舞。チーム防御率0点台を誇る投手陣を支える大黒柱として、その存在感を存分に示した。
優勝の瞬間、マウンドに駆け寄ったが、守護神の大川投手と頭をぶつけてしまうハプニングも。「うれしかったのが一番ですが、痛かった」と、喜びと痛みと共に5季ぶりの栄冠を噛み締めた。
東海大相模の2年秋まで二塁手としてプレーするも、その秋に当時の門馬監督から「キャッチャーをやってみろ」と言われた。最初は戸惑いの連続だったが、高校の1年、そして明治大でも捕手を続けてきて、2年生の春からスタメンで出場し、リーグ優勝に貢献した。
しかし、その後は優勝から遠ざかってしまう。強力投手陣がいる中であと一つを勝ちきれなかったが、この日は2年生の大室亮満投手から、3年生の三浦心空投手、そして4年の勝利の方程式・菱川一輝投手・大川慈英投手へとつなぎ、1−0の厳しい戦いを完封リレーで勝利した。
打撃が注目されるが、捕手としても成長した姿を大いに見せた。ドラフト会議ではドラフト1位指名が有力視され、プロでも捕手としてプレーを続けられる所を見せてくれた。
エース・毛利投手の快投、大川が胴上げ投手
優勝への流れを作ったのは、前日のエースの快投だった。春の優勝決定戦で早大に敗れ、涙をのんだ毛利海大投手。「この日のためにやってきた」と、宿敵のエース・伊藤樹投手に投げ勝ち7回2失点の力投で王手をかけると、この日は盤石の投手リレーが完成。最後は守護神の大川慈英投手が試合を締め、見事な胴上げ投手となった。
大川投手は2イニングを投げてノーヒット3奪三振のパーフェクトピッチング。抜群の伸びを見せる150キロのストレートを連発し、最後の打者も150キロの速球で空振り三振を奪い、マウンド上で大きくガッツポーズをして胴上げ投手となった。
投げている球の割に、なかなかスカウトからの評価が聞かれないのだが、この日の球はプロでも当てるのがやっとというものだっただろう。ドラフト会議では上位指名の可能性もあると思う。リリーフが必要な球団は欲しい投手だろう。
就任1年目、戸塚監督を男に
4季連続で2位に甘んじ、特に昨秋と今春は早大に優勝を阻まれてきた。その悔しさを知る4年生がチームを引っ張った。就任1年目の戸塚俊美監督を「男にしたい」がチームの合言葉。主将の木本圭一選手が決勝打を放つなど、まさに4年生の執念がもたらした優勝だった。「誰よりも悔しい思いをしてきた選手たちが一つになって戦った」と、指揮官も選手たちの頑張りを称えた。
16年連続のドラフト指名が確実視される逸材たちが、最高の形で有終の美を飾り、運命の日を待つ。
小島 大河 プロフィール
- 氏名:小島 大河(こじま たいが)
- 所属:明治大学 4年
- 出身:東海大学付属相模高校
- ポジション:捕手
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト上位候補。「打てる捕手」として世代トップクラスの評価。攻守でチームを5季ぶりのリーグ優勝に導いた。13試合連続安打中、今季打率.429。
大川 慈英 プロフィール
- 氏名:大川 慈英(おおかわ じぇい)
- 所属:明治大学 4年
- 出身:常総学院高校
- ポジション:投手
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト候補。最速155キロの右腕。明治大学の“守護神”として優勝決定試合を締め、胴上げ投手となった。
毛利 海大 プロフィール
- 氏名:毛利 海大(もうり かいと)
- 所属:明治大学 4年
- 出身:福岡大学附属大濠高校
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト上位候補。最速150キロ。宿敵・早大との1回戦で7回2失点と好投し、優勝に王手をかけたエース左腕。






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