2018年ドラフト総決算(3)高校生の選手達~高3編~

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高校2年目までに存在感を示した根尾昂藤原恭大小園海斗野村大樹万波中正が最後の夏を迎え、そしてプロへと旅立っていく。

打倒大阪桐蔭

黄金世代で最も注目される選手になったのは、大阪桐蔭の根尾昂藤原恭大、そして報徳学園の小園海斗となった。藤原と小園は2年生ながら甲子園後にU18代表に召集され、清宮、安田、中村奨成とともにプレーをし、そこでチーム一番の打撃と足をみせつけた。そして藤原の足は世界にも衝撃を与えた。

そしてこの世代の目標は、打倒・大阪桐蔭となった。根尾・藤原・柿木蓮・中川などを擁し、投手では根尾、柿木、そして横川凱がローテーションで先発をしていた。攻撃でも1番に藤原、3番に中川、4番に根尾が座り、他にも小泉航平捕手、宮崎仁斗選手、山田健太選手が固めるスキのないチームで、大阪桐蔭も明治神宮大会、センバツ、春の近畿大会、夏の甲子園、国体を5冠を無敗で獲ることを目標とした。

しかし大阪桐蔭の5冠は秋にいきなり崩される。まず近畿大会で優勝を納め明治神宮大会に出場した大阪桐蔭は、明治神宮大会でも初戦に横川を先発させて勝利し、2回戦の創成館戦では柿木が先発する。しかし柿木が夏の甲子園で投げたような140キロ中盤の球が見られず、3回で4失点し降板をしてしまう。その後、横川、根尾がリリーフで登板したもののそれぞれ失点を重ね7点を奪われた。そして創成館はプロ注目の川原陸投手など、140キロ前後を投げる3投手が継投し、大阪桐蔭の強力打線を4点に抑えた。そしてこの大会では明徳義塾が優勝をする。高知大会から一人で投げぬいた市川悠太投手が横から140キロ中盤の速球を投げ、プロ注目投手の一人となった。敗れた大阪桐蔭のメンバーは、優勝する事の難しさを夏に続いて味わった。

センバツ

センバツには過去最高のチームといわれた聖光学院や秋日本一の明徳義塾、さらに智弁和歌山や智弁学園などが打倒大阪桐蔭を目標に挑む。その大阪桐蔭は初戦を突破すると、3回戦では明秀日立と対戦する。明秀日立には中学時代に中川とチームメイトだった増田陸がいた。しかし根尾選手が増田選手を2三振ノーヒットに抑えると、11奪三振で1失点完投勝利を収めた。

準々決勝、準決勝を勝利した大阪桐蔭だが、柿木、横川が調子がいまいちで、準決勝では根尾が5回から延長12回まで8回を無失点に抑えるなど、この大会は投手・根尾に託された。そして迎えた決勝は智弁和歌山、この大会でも2大会連続となるホームランを放っていた林を始め、高島監督も含めて昨年夏のリベンジに燃えていたが、根尾が9回を2失点に抑えた。この大会は藤原も足を故障しており4番を打っていたが、根尾選手を中心にチーム力で優勝をした。

夏へ

早稲田実の野村大樹も最後の夏を迎える。2年春に清宮選手とともに甲子園に出場したが、清宮選手が抜けた新チームになってからは捕手も任され、2年まで量産していたホームランも止まっていた。しかし春の東京大会で、前年の春季大会決勝の日大三戦以来となる公式戦のホームランが飛び出すと再びこの大会3本塁打を記録しペースを上げた。そして夏はサードで出場し4回戦では1年夏に甲子園出場を阻まれた八王子高校と対戦、野村選手は2本塁打を放ったものの試合は6-7で敗れ、野村選手の夏の甲子園の出場は夢と消えた。学力も優れ、早稲田大進学の噂もあったが、清宮選手が既に活躍を見せ始めたプロの舞台に飛び込む決断をするのだった。

天理の太田椋も2年連続の夏を目指す。冬に鍛えた打撃が花開き、夏は特大のレフト場外へのホームランを放つと、逆方向へのホームランも見せ、また安定した守備にも磨きがかかり、関西ショートBIG3として小園海斗根尾昂とともにプロからの視線は熱くなっていた。しかし、太田選手も奈良大会決勝で奈良大付に敗れ、最後の夏の甲子園には手が届かなかった。進学の噂も流れたが、もともとプロ志望で、甲子園に出場できなかったものの高い評価を維持して秋を迎える。

U15で太田選手とチームメイトで、関西BIG3として注目された報徳学園の小園は、2年春しか甲子園に出場できておらず、最後の夏にかける思いは強かった。何より永田監督が小園選手の力を見込んで退任した事に、強い思いを感じていた。個人的にも守備と足の評価が高く、打撃も広角に打てる能力は評価されていたが、巧打者タイプの打撃が、木製となり強い球を投げるプロで通用するためには、もっとパワーがほしいという声もあった。しかし小園選手はその課題を見事に埋めた。夏の東福岡大会ではバックスクリーンに放り込む打撃を見せ、パワーアップした打撃でチームを引っ張り、見事に2年春以来の甲子園出場を掴んだ。

横浜の万波中正はギリギリまで追い込まれていた。3年生になっても打撃の不振から立ち直るきっかけはつかめず、最後の夏のベンチ入りメンバー発表でも名前はなかった。しかしその後、必至の練習を重ねると、平田監督の目に留まって背番号13を獲得してギリギリでベンチ入りをする。しかし神奈川大会では、1年生の時のバックスクリーン弾を再現するようなホームランを放つと、広角に長打を打ち4番を任せられる。また、投げても147キロの速球を投げ、再びその能力を見せつけた。チームも見事に甲子園に出場を手にしていた。

100回大会として注目されたその夏に、新たな光りが差し込んだ。金足農の吉田輝星と浦和学院の渡邉勇太朗である。吉田は中学時代に軟式でプレーし、地元の金足農に進学すると、2年夏には秋田大会決勝まで勝ち上がり、明桜の山口航輝と投げ合いを見せる。その試合は146キロ右腕の山口が勝利をしたが、この試合で肩を脱臼してしまう。そして3年夏に二人はまた決勝の舞台で対戦したが、山口は4番として吉田を迎える。そして吉田は昨年から大きく成長する150キロの球を投げ込み、昨年のリベンジを果たした。

浦和学院の渡邉は190cmの大型右腕として早くから期待された選手だった。しかし1年冬には寮を逃げ出し、ナインから手紙をもらって戻ってきた事もあった。それでも2年夏にはエース格として投げておりその力を見せた。しかし3年生の春は故障のためほとんど投げられずにいた。紆余曲折を経て迎えた3年夏だったが、その能力が開花した。大谷翔平投手のフォームを見て似てきたフォームからの球速は140キロ後半を記録した。

他にも甲子園常連となっている智弁和歌山の林晃汰、右の大砲として注目される花咲徳栄の野村佑希と近江の北村恵吾、そして2年夏に140キロ中盤から後半の速球を投げ注目された高岡商・山田龍聖と広陵の森悠祐、昨年秋に大阪桐蔭を倒している創成館の川原陸、静岡大会で打率8割以上を記録した常葉菊川の奈良間大己、また中学時代にU15代表で、大阪で打倒大阪桐蔭を目指していた大石晨慈も甲子園に出場を果たした。

100回目の夏は大阪桐蔭のものとなった。秋から春にかけて調子のよくなかったエース・柿木投手が、春のミニキャンプで球威を戻すと、150キロ級の速球を投げ込んだ。横川投手も西谷監督に直訴して先発し、結果を残した。3回戦では高岡商の大会NO.1左腕・山田投手を、準々決勝ではプロ注目右腕の浦和学院・渡邉投手を攻略した。そして準決勝で済美を下すと決勝では金足農と対戦する。

金足農の吉田は、さすがに疲労をしていた。もしもっと早く大阪桐蔭と対戦していたらどうだっただろう?それでもおそらく、1番から9番まで強打者のそろう大阪桐蔭では、吉田投手得意のペース配分を考えた投球は出来ず、終盤にはつかまっていたかもしれない。それでも100回大会を大きく盛り上げる投球を見せ、決勝では敗れたものの主役の座を奪った形になった。根尾選手、藤原選手は3度の甲子園制覇、そして春・夏連覇を勲章に、ドラフト会議を迎える。そして吉田投手もプロから大いに注目され、その後、プロ入りの決断をしていく。

そして、報徳学園の小園も100回目の夏を鮮やかに彩った。初戦の聖光学院戦では3本の2ベースヒットを放ち、そのパワーを証明した。これにより、プロのスカウトも心配なく小園選手を1位指名できる形になった。万波選手は初戦で4打数ノーヒット、2戦目で5打数ノーヒットだった。しかし3戦目に5打数2安打を記録した。まだまだ課題もあり、甲子園でアーチを描くことは出来なかったが、堂々とプロ志望を表明した。

その後、U18では、根尾・藤原・中川・柿木に、小園・吉田・山田・渡邉・奈良間を加え、宮崎でU18アジア選手権を戦ったが、台湾、韓国に敗れ3位となった。そして国体では雨天のため日程がなかなか消化できず、大阪桐蔭、金足農、浦和学院、近江の4校が1位となり、大阪桐蔭が春・夏の甲子園と国体を無敗で制した。

2018年10月25日、高校生の主役となった選手たちが壇上の光の中で、小さなころからの夢を叶えた笑顔を見せていた。

2018年ドラフト会議 指名選手一覧
2018年のドラフト候補一覧
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2018年度-高校生外野手のドラフト候補リスト

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